厳かな雰囲気の中、学校の歴史やルーツ、また地域特有の人々の熱き想いを知ることができる式典の時間となりました。
横浜市立樽町中学校(樽町4、八木範夫校長)では、先週末(2024年)10月12日(土)11時より「創立50周年記念式典」(同実行委員会主催)を開催。
学校関係者や地域などからの来賓や同中学校の生徒代表や教職員など200人超が集い、これまでの歩みを共有。これから続く10年、20年後、そして100周年に向けての思いを分かち合う時間を過ごしました。
生徒が主催し行われた神奈川県民ホール(中区山下町)での「合唱祭」はすでに全校生徒や教職員、保護者らが集い10月8日(火)午後に開催。
この式典の日についても、「施設の都合や諸事情により、大掛かりに企画を行うことができず申し訳なく思っています」と八木範夫校長が語るように、来賓と一部の生徒が集う「式典のみ」で祝賀会は開かれないといった“コロナ禍”の影響をまだ一部受けての開催スタイルとなりました。
「慎ましく厳(おごそ)かな式典」(柿﨑政治実行委員=19代PTA会長)としての開催となりましたが、「ここまでたくさんの人々が集まれることが嬉しい」との声も聞かれるなど、50年の歴史や歩み、また一人ひとりの想いあふれるかの時間を過ごしていました。
新たな「50年先」に向けてのスタートの日となった「記念式典」当日の模様を写真でレポートします。

生徒たちの作った「花道」から体育館の式典会場へ

「現在では生徒数が増加傾向で嬉しいが、教室数が足りない事態を避けたい。体育館が来年(2025年)4月から改修工事に入ることになった。長年思い出がつまっているが老朽化には勝てない。校舎の改修や、武道場の新設についても今後検討したい」と語る嶋村公実行委員長(17代PTA会長)

八木校長は開校当時の「校章の原画」を掲出し、「樽町地区ゆかりの菖蒲(しょうぶ)をモチーフとしている。今も生徒が校章を付けて登下校している学校はそれほど多くない」と熱く学校やこれまでの歴史への想いを語っていました

下田教育長は「20年前に港北区役所に着任していた頃に嶋村実行委員長ほか参列されている皆さんには大変お世話になりました」と当時を振り返り、今回の祝賀の席に立ち会いたいと強く感じたとの思いを語っていました

竹下幸紀港北区長は開校当時人口約6千人だった時代からの変遷を振り返り、「現在の樽町地区の人口は約1万8千人。夏祭りに若い乳幼児のお子さんやベビーカー連れのファミリー層が多数いらっしゃる。地域のイベントに、中学生の皆さんが大人たちとともに防災訓練に参加している姿も非常に心強く思っています」と、“将来も地域に戻ってきてほしい”との想いを伝えていました

小泉亨樽町連合町内会長は「10年ほど前に誕生した樽町のキャラクター『たる坊としょーぶちゃん』も中学生からアイデアをいただいた」と語り、「樽町中学校を巣立って行ったあとにも誇りをもって“樽町中出身”だと思ってもらえるように願っている」と、“ふるさと”としていつか感じてもらえる学校づくりへの意欲を示していました

生徒を代表して海野生徒会長が「歴史感じられる記念式典を開催できること嬉しく思っている。樽町中学校は、自分に大きな影響を与え続けてくれる場所。多くの人々とのつながりや笑顔があふれるこの学校を10年20年守っていってほしい」との言葉を述べていました

元樽町連合町内会の横溝正二さん(右)と木村繁さんが樽町中学校が出来た頃のエピソードを披露。学校は元々は「田んぼ」があった場所にできたこと、当時は「樽町の蕪(かぶ)」が名産品だったことなどを明かしていました

実行委員で第4期卒業生(22代PTA会長)の関根芳之さんがかつて樽綱橋はなく、橋ができるまでは大綱橋や鷹野人道橋経由で綱島から片道1時間近く、毎日7km歩いていた生徒もいた。橋が出来たときは夢のような橋だと思った」と1990(平成2)年6月に竣工した樽綱橋の誕生について振り返っていました

第2期卒業生で高野山真言宗長光寺(大曽根台)住職の木曽孝宣さんは「合唱部が長光寺でイベントを行ったがコロナ禍で中断してしまっていることもあり、また再開できれば」と地域の力になりたいという思いを熱く語っていました

第28期生で元生徒会長の須佐美樹さんは元吹奏楽部。入学する前までは「学校が荒れていた」時期もあったとのこと。生徒会長時代は自動販売機の導入に取り組み、吹奏楽部での経験を活かし現在は大綱中学校の吹奏楽部の顧問として活躍しています

実行委員で第3期卒業生(18代PTA会長)の猿渡功さんは、「100周年の時は112歳。まだ現役バリバリでこの場に立ち祝賀会を盛大に行いたい。この場で乾杯をできれば」と、嶋村実行委員長の発案で乾杯を行うことを提案しました

参加者に配られた記念品の数々。「創立50周年記念誌」はフルカラー23頁、株式会社横浜綜合写真(新横浜1)が印刷、「記念誌編集委員会」が編集。記念品の「モバイルバッテリー」は生徒の発案に拠るものとのこと
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【参考リンク】
・「学校紹介」沿革~学校のあゆみ(同)
・「学校紹介」校歌・校章(同)