電子書籍は不足する学校図書の切り札となるでしょうか。
横浜市教育委員会は今年(2024年)7月から箕輪小学校(箕輪町2)や師岡小学校(師岡町)、日吉台中学校(日吉本町4)など児童・生徒数の多い市内9校に電子書籍サービスを試行導入しました。
市教委が株式会社ポプラ社(東京都品川区)と連携協定を結び、試行導入したのは同社が提供する電子書籍サービス「Yomokka!(よもっか!)」。
小学生から高校生までを対象とした同サービスは“読み放題型電子図書館”と銘打ち、2022年4月の開始以降は参加出版社の数を増やしており、8月時点で38社・約4300冊の電子書籍をタブレット端末などからインターネット経由で読むことが可能です。
市教委によると、箕輪小(4月時点の児童数1164人)や師岡小(同1241人)、日吉台中(同1077人)といった大規模な小・中学校であっても図書室のスペースや蔵書数は大きく変わらないため、学習資料や課題図書などで図書室の本を用いる際に数が不足してしまうケースもあるといいます。
同サービスを使った電子書籍の場合は、タブレット端末やパソコンがあれば何人でも同時に電子書籍を開くことができるため、複数のクラスで図書や辞書などを使う場合でも図書室に同じ本を何冊も購入しなくてもいいメリットがあります。
2020年4月に開校した箕輪小では、児童数の増加で休憩時間に図書室を全学年が同時に使えない状態となっており、現在は学年ごとに開放日を決めているといい、児童の数に対して図書数も不足気味です。
今回、試行導入した電子書籍サービスは「児童がすいすい使用している様子」(箕輪小)で好評だといい、「今後、タブレット端末を持ち帰るようになれば、自宅でも『借りている』感覚で本を読むことができるのではないか」(同)と話していました。
紙の本に親しんだ世代には浸透が進んでいるとは言えない電子書籍ですが、学校で1人1台のタブレット端末を使っている児童らには、本の形態が紙でも電子でも大きな違和感はないようです。
市教委では今回導入した9校で1年程度試行したうえで、その結果を見て他の市立学校へも導入を検討する予定です。
【関連記事】
・<横浜市>全ての小・中学校に1人1台のタブレット配備、ネット環境も刷新(2021年2月15日、すでに小・中学校には全児童・生徒分の端末がある)
【参考リンク】
・4300冊の本がいつでも、どこでも、好きなだけ読める~過大規模校の学校図書館における電子書籍試行導入(横浜市教育委員会事務局、2024年7月11日)
・読み放題型電子図書館「Yomokka!(よもっか!)」の紹介サイト(株式会社ポプラ社)