自治会・町内会に「PayPay」、新羽での挑戦は担い手不足の一助となるか | 横浜日吉新聞

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自治会・町内会活動の担い手不足をデジタル化で解決策を探る動きが港北区内でも見られるようになりました。

新羽駅近くの住宅街で約400世帯が加入する「新羽町自治会」では、バーコード(QRコード)読み取りによる電子決済サービス「PayPay(ペイペイ)」をこのほど導入し、夏祭りでの模擬店や自治会費の決済などで活用を始めました。

「PayPay」の公式サイト、2024年8月時点での登録者数は6500万を超えたという

PayPayはソフトバンク傘下のPayPay株式会社(東京都港区)が2018(平成30)年10月に始めたスマートフォン(スマホ)向けの決済サービスで、同社の集計によると今月(2024年)8月10日時点の登録者(ユーザー)数は6500万を超えているといいます。

スーパーやコンビニなどでスマホの画面上にバーコードやQRコードを提示してレジで読み取ってもらうか、または店舗側が用意したQRコードを購入者がスマホで読み取って金額を入力し、銀行口座やクレジットカードから支払いを済ませる仕組みです。

主にPayPayは店舗での支払い時に使われていますが、これを自治会・町内会の活動でも活用しようという動きが見られるようになりました。

今年6月に保土ヶ谷区内の町内会がいち早く導入したのに続き、7月には新羽町自治会がPayPayとの契約を済ませ、夏祭りの模擬店で活用を始めたものです。

新羽町自治会で会長をつとめる豊岡さん(7月28日)

同自治会で会長をつとめる豊岡修さんは「自治会業務の負担をできるだけ減らし、深刻な担い手不足に陥らないためにも、今アクションを起こさなければという思いがあった」といい、保土ヶ谷区の町内会が正式に導入したことを知ってすぐに連絡を取り、自ら書類を揃えて導入にこぎつけています。

豊岡さんは、自治会・町内会活動への参加を促すには業務の効率化が重要な鍵になると見ており、同自治会では情報共有にコミュニケーションアプリ「Yumicom(ユミコム)」を活用するなど、業務効率化へ向けた取り組みを始めたところでした。

PayPayは会員が自治会費を支払う際に現金を用意する手間が省けることに加え、自治会費を集める役割を担う班長や役員の負担軽減につながると考えて導入を決めたもので、同自治会が主催する夏祭りの模擬店でも活用を始めています。

新羽町自治会が主催した夏祭りの模擬店では「PayPay」が使えるようになっていた(7月28日、新田緑道)

一方、PayPayを導入するまでの手間や活用時には課題もあるといい、たとえば法人格を取得した自治会・町内会以外は“任意団体”という扱いになっていることから、PayPayとの契約は団体ではなく代表者である会長本人が結ぶことになり、本人確認書類の用意など負担が生じることになります。

また、自治会・町内会の会費がPayPayで支払われた場合、自治会・町内会側に入金額は通知されるものの、支払った側の名前などの個人情報が分からないため、その確認手段を考えなければならないといいます。決済時には2%程度の手数料負担も必要です。

それでも最初にPayPayを活用した模擬店では30人以上が利用するなど導入の手応えを感じているといい、今週8月17日(土)に新羽町全体で開く「新羽サマーフェスティバル」(新羽町連合町内会など主催)に出店する新羽町自治会の模擬店でもPayPayでの支払いに対応する予定です。

保土ケ谷区での導入がきっかけとなり、自治会・町内会で「PayPay」を導入しやすくなった(PayPayのニュースリリースより)

自治会・町内会での情報伝達や書類は「紙」を中心とし、会費のやり取りも「現金」という長年の考え方が変化し、業務を効率化するきっかけとなるのか。市でも「自治会町内会DX応援事業」を立ち上げてデジタル化の後押しを始めています。

定年の延長や共働き世帯のさらなる増加、そして少子高齢化も加わり、自治会・町内会活動の担い手不足が一層深刻になることは避けられないだけに、新羽町自治会の挑戦は注目する価値がありそうです。

)この記事は「横浜日吉新聞」「新横浜新聞~しんよこ新聞」の一部共通記事です

【参考リンク】

自治会や町内会でも「PayPay」の導入が可能に(PayPay株式会社、保土ケ谷区での導入がきっかけとなり自治会・町内会でも活用しやすくなった)

2024年8月17日(土)16:00~「新羽サマーフェスティバルのお知らせ」(新羽地域ケアプラザ・コミュニティハウス、新羽町自治会の模擬店ではPayPay活用を予定)


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