まずは一読するだけでも“地震対策”の一つとなるはずです。
先週(2024年)8月8日(木)に「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表され、大きな地震発生の可能性が高まったと言われるなか、市民が何をすべきかを伝えているのが、「よこはま地震防災市民憲章」と具体的な取り組み内容をまとめた「防災よこはま」という小冊子です。
東日本大震災から2年後の2013(平成25)年3月11日に制定された「よこはま地震防災市民憲章」は、災害の発生を完全に防ぐことはできないものの、被害を減らすことは可能という考え方で、“乗り越えるための具体的な行動指針”を示しているのが特徴です。
そのなかには「備え」「発災直後」「避難生活」「自助・共助の推進」という項目ごとの行動指針と、具体的に何をすべきかの内容が盛り込まれました。
たとえば“備え”という面では、
- 自宅の耐震化と、家具の転倒防止をしておきます。
- 地域を知り、地域の中の隠れた危険を把握しておきます。
- 少なくとも3日分の飲料水、食料、トイレパックを備蓄し、消火器を設置しておきます。
- 家族や大切な人との連絡方法をあらかじめ決めておきます。
- いっとき避難場所、地域防災拠点や広域避難場所、津波からの避難場所を確認しておきます。
- 家族ぐるみ、会社ぐるみ、地域ぐるみで防災訓練に参加します。
という6つの項目を提示。「自宅の耐震化」や年に数回しかない「防災訓練」への参加は今すぐには難しいにしても、そのほかは比較的容易に取り組めそうな内容です。
さらに細かな内容は小冊子「防災よこはま」(概要をまとめたハンドブック版もあり)で具体策が示されており、家の中の安全対策をはじめ、備蓄品や非常持出品の中身などを知ることができます。
地震が発生した際の場所ごとに分け、デパートやスーパーにいる時は「衣類や手荷物、買い物カゴを使って頭を守る」、職場では「窓際やロッカー、書棚から離れ、机や作業台の下に身を隠す」、地下街は「柱や壁際に身を寄せ、揺れのおさまりを待つ」、エレベーターでは「全ての階のボタンを押して、停止した階で降りる」などの対応策が書かれています。
子どもが小・中学校や特別支援学校に通っている場合は「保護者が引き取りに来るまで、児童生徒を学校で預かります」とし、保育所では「保護者の引き取りまで、保育を継続し、保育所で預かります」との方針も書かれていました。
また、市民憲章には地震発災直後の対応指針も書かれており、「揺れが収まったら速やかに火の始末を行います」や「避難する時は、ガスの元栓と電気のブレーカーを落とし、備蓄食料と常用薬を持って行きます」といった基礎に加え、「噂やデマに惑わされないよう常に冷静を保ちます」とのアドバイスも。
このほか、2022年3月に公開されたスマートフォン向けアプリ「横浜市避難ナビ」では、地盤による液状化や震度の強弱を示すハザードマップを地図上に重ねることができたり、一人ひとりの行動計画“マイ・タイムライン”が作成できたりといった機能を備えており、こちらも防災対策で活用できそう。
いつ発生するかが予測できない大地震に対し、被害を減らすためのポイントをあらためて学び、今できることを少しでも実行しておくことは現時点で一番の地震対策となるはずです。
(※)この記事は「横浜日吉新聞」「新横浜新聞~しんよこ新聞」の一部共通記事です
【関連記事】
・港北区内70カ所超で「震度」観測、地域によって異なる揺れのデータが確認できる(2024年1月29日)
【参考リンク】
・横浜市「よこはま地震防災市民憲章」(具体的な対応策が盛り込まれている、横浜市内だけでなく日本中で活用できそうな内容)
・横浜市の小冊子「防災よこはま」(PDF版や動画版など)
・スマートフォン向けアプリ「横浜市避難ナビ」(避難所のチェックやハザードマップを重ねることもできる)