綱島の歴史伝える「古民家」から、子どもたちが学んだものとは――新綱島駅の開発地に隣接した綱島東1丁目の「池谷(いけのや)家住宅」を、今月(2023年)2月3日(金)、周辺地区の5つの小学校から3年生児童約650人と引率する教員らが訪問、学びの機会を共有しました。
地域の歴史や古民家での生活について知り学ぶ「特別授業」は、新型コロナウイルス感染症拡大のため2021年、2022年は中止となっていましたが、3年ぶりの開催になったといいます。
今回の学習では、綱島周辺エリアに位置する横浜市立北綱島小学校(綱島西5)、箕輪小学校(箕輪町2)、綱島小学校(綱島西3)、大曽根小学校(大曽根2)、そして至近の綱島東小学校(綱島東3)の順に、午前と午後各50分ずつ滞在。
同家の16代目当主・池谷道義さんや弟の池谷聡さん、17代目の池谷晃麻(あきま)さんや同家を支える関係者が交代で登壇し、「古民家」についてや「昔の道具」、「桃の歴史」や「綱島温泉」、「戦争」、そして最後に「鶴見川」についての話をおこない、地域の歴史や文化を子どもたちに伝えていました。
今回の訪問では、2020年4月に開校したばかりの箕輪小学校が初参加。
社会科に造詣が深い同小学校の大滝文平副校長は、「小学校3年生の社会科授業では、“昔の暮らしや道具”について学ぶ単元があり、どのように子どもたちに学んでもらおうかと思案していました」と、綱島東エリアも一部学区とする同小学校らしく、初めて訪問する地域の古民家で、実際に見聞きしての「昔の暮らし」を体感できたことを喜びます。
今回の訪問を3年ぶりに受け入れた同家の池谷道義さんは、「箕輪小学校の受け入れにより、人数が大幅に増えたことから、それまでの個別での案内スタイルから、集合形式での説明に方法を変更しました」と語ります。
地域や同家につたわる歴史、街の移り変わりについてなど、一人ひとりの「講師」が丁寧に子どもたちに新たに語り伝える方法での特別授業をおこなっていました。
同家の隣接地では、東急新横浜線(相鉄・東急直通線)の新綱島駅開業(3月18日)にともなう「新綱島駅前地区市街地再開発工事」が進行しています。
同家では、綱島の桃の栽培の歴史を伝える桃の木が植えられていた「生産緑地」の一部を横浜市に寄贈、約100台分の「平面駐輪場」が鉄道開業を機にオープンする予定です。
歴史の保存と再開発をどのように共存させていくのかという問題も含め、地域の子どもたちに古き「綱島の歴史」を伝える授業の再開は、地域まちづくりの機運の醸成や人々の営みを後世に伝えていくという点においても意味ある試みといえそうです。
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【参考リンク】
・令和5年2月13日~3年生「池谷家見学」(横浜市立北綱島小学校)
・【みのわ日記】2月3日 週末ふりかえり(横浜市立箕輪小学校)※「地域の古民家に見学」として写真なども掲載