新綱島駅の駐輪場、地下に自動収容する「機械式」で500台超を確保 | 横浜日吉新聞

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自転車を地下のスペースに自動で出入庫する形の「機械式駐輪場」が新綱島駅に導入されます。

「杭(くい)」工事に関する機械などを展開する株式会社技研製作所(東京都江東区)は、来年(2023年)3月開業の新綱島駅に自社で開発した機械式駐輪場「エコサイクル」が2基採用されたことを発表しました。

技研製作所の「エコサイクル」紹介ページ

技研製作所は、建物の基礎などに使う「杭」を振動や騒音を抑えながら地中に押し込んでいく「圧入(あつにゅう)」と呼ばれる技術を強みとする東証プライム(旧東証1部)上場メーカー。

この技術を応用する形で1998(平成10)年に実用化したのが地下空間を円筒形に掘り抜く形で設ける機械式駐輪場「エコサイクル」だといいます。

機械式駐輪場「エコサイクル」のイメージ(技研製作所のニュースリリースより)

エコサイクルは、地上部に自転車を収容する“エレベーター”のような出入庫ブースのみを設置し、ここに自転車を置くことで地下へ自動で収容され、出庫の際はカードをかざせば十数秒で地上部まで自転車を戻す仕組みの駐輪場システム。

1998年に高知県内の大学内で採用されたことを皮切りに、地上部の土地を有効活用できる利点もあって都市圏の駅前を中心に同社システムの採用が増えており、新綱島駅で全国26カ所目(計63基)になるとのことです。

技研製作所によると、新綱島駅に導入されるシステムは1基あたり252台を収容できる同社で最大のものになるといい、日吉寄りの地下最大15メートルまでの空間に2基を設置する計画となっています。

すでに設置工事の準備は始まっており、現時点で完成時期は未定となっているものの、新綱島駅が開業する来年3月をメドに工事が進められるものとみられます。

新駅工事に左右されず設置が可能

当初は新綱島駅の地下空間2300平方メートルを使い、写真の日吉駅地下のような約1000台収容の駐輪場を設置するとしていたが、新駅工事との兼ね合いやコスト面から機械式に変わった

新綱島駅の駐輪場は当初、地下駅と道路(地上)の間(あいだ)にある地下空間を使って約1000台分を設ける計画となっていましたが、「完成時期(工期)が新駅工事の状況に左右されるうえ、費用の面でも課題があった」(横浜市綱島駅東口周辺開発事務所)として別の形での駐輪場設置を模索。

少ない地下空間を使った駐輪場システムとして都市部で導入が進んでいた全自動の機械式に着目し、類似のシステムを展開している国内大手2社から提案を受け、技研製作所のシステムを選んでいます。

左側が当初の計画、右側が機械式を採用した新たな計画、1000台超のうち500台(2基=第24号)は東口の再開発に合わせて綱島街道近くに整備する計画(2021年9月、綱島駅東口駅前地区「都市計画市素案説明会のお知らせ」より)

今回、新綱島駅側に500台超(2基分)を確保する一方、今後再開発が行われる綱島駅東口の綱島街道付近にも同様に500台超(2基分)を設置し、分散させる形で1000台超の駐輪場を確保する形となりました。

なお、これらの“地下機械式”は、出入庫の際に専用のカードが必要となることもあり、主に定期利用者向けとして使われる予定です。

新綱島駅では地下機械式とは別に地上部で約100台分の平面駐輪場を確保する計画もあり、機械式では収容できない特殊な自転車の駐輪スペースなどとしても活用したい考え。

新綱島駅周辺の工事状況案内図、図の「3」の部分(赤い丸)に機械式駐輪場を設置し、「6」の部分に約100台収容の平面式駐輪場を整備する計画。水色の「4」のエリアは新綱島駅の上部に新設される道路(2022年8月「綱島駅東口周辺まちづくりニュース」第9号より)

同開発事務所によると、新綱島駅に新たな駐輪場が設置された後も綱島駅の周辺にある既存の駐輪場統合したり廃止したりする計画は、現時点で無いとのことです。

【関連記事】

綱島東口「駅前再開発」、新駅の定期券や駐輪場など生活者視点の質問も(2021年10月19日)

【参考リンク】

横浜市で「エコサイクル」初採用、2023年3月開業予定の東急新横浜線・新綱島駅前に2基。504台収容(株式会社技研製作所、2022年8月23日)

新綱島駅自転車駐車場整備事業(過去の計画が掲載されている)


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