金融機関が築50年の店舗改装で「カフェ」との初コラボ店に生まれ変わりました。
首都圏最大の信用金庫として知られる城南信用金庫(東京都品川区)は、先週(2022年)3月18日(金)、東急東横線・目黒線元住吉駅から徒歩約6分のブレーメン通りに位置する「元住吉支店」(中原区木月3)を改装オープン。
2021年8月に開店50周年を迎え、築50年となった店舗のリニューアルにともなう新チャレンジとして、「ドトールコーヒーショップ城南信用金庫元住吉店」とのコラボ店舗とすることでの新たな「地域コミュニティ拠点」と目指すことになりました。
同信金が「ドトールコーヒー」(株式会社ドトールコーヒー、東京都渋谷区)のフランチャイズとしてコラボ店舗を導入するのは、昨年(2021年)10月に相鉄瀬谷駅前に移転しオープンした「瀬谷支店」(瀬谷区瀬谷)以来、2店舗目。
すでにある金融機関の店舗スペースを「改装」することでのドトールコーヒーとのコラボ店舗の実現は初の試み。
ドトールコーヒーは、1962(昭和36)年に創業者の鳥羽博道氏がコーヒー豆の焙煎(ばいせん)・卸売業としての会社(当時は有限会社)を設立してから、ちょうどこの春で60周年となる節目のタイミングでの新チャレンジとなりました。
開店初日の朝8時すぎに行われたオープン記念の式典には、同信金の川本恭治理事長や株式会社ドトールコーヒーの星野正則社長、モトスミ・ブレーメン通り商店街振興組合の伊藤博理事長が出席。
店舗の運営を行う城南フーズ株式会社(東京都品川区)の松永正己社長、同信金元住吉支店の越智義和支店長らとともにテープカットをおこない、新たな店舗が誕生する喜びを分かち合いました。
同支店の誕生について、城南信金の川本理事長は、「最近のわれわれ金融機関の支店には、機械化の進展により、店舗スペースが余るという共通の悩みがあります」と、おそらく全ての金融機関が直面しているであろう、IT時代ならではの既存の“リアル店舗”におけるスペース活用に舵(かじ)を切るきっかけを語ります。
特に、土日の店舗スペースの活用についても、「せっかく、こんなにいい場所で営業しているのにもかかわらず、お役に立てていなかった」と、土曜・日曜も営業をおこなう「カフェ」ならではのメリットを、ドトールコーヒー側の協力により実現できたことを喜びます。
神奈川県商店街振興組合連合会(事務局:中区尾上町)の理事長としても活躍するブレーメン通りの伊藤理事長は、「新店のオープンはわれわれにとっても嬉しい限り。50周年ということでそんなに(時が)経ったのかと感慨深い」と、同支店の半世紀にわたる日々の事業の継続をまずは称えます。
元・理事長の吉原毅(よしわら・つよし)さんが2010(平成22)年に就任(退任は2015年)して以降の、同信金が「社会に対する貢献」を理念として全面に打ち出した方針についても触れ、また「若い人の意見を中心に企業は意思決定をするべき」と吉原さんが語っていたエピソードについても言及。
また、「ブレーメン通りで活動するために結成された音楽活動をおこなう『ブレーメン・バンド』が、福島での復興支援としての演奏活動をおこなった際にも多大なる寄付をいただいた」と、東日本大震災が発生(2011年)して以降の復興支援についての感謝の意を表します。
同信金によるこれまでの社会貢献への姿勢や実績の一つとして、明治学院大学(経済学部経営学科)で2014(平成26)年の秋から冬にかけておこなわれた同信金による寄附講座でも、吉原さんらとともに登壇したことを振り返ります。
「ドトールさんがいろいろな販促の取り組みをおこなっていますが、商店街にないツールもある。(それらを活かし)地元の皆さんと馴染めるような、商店街とのいろいろなコラボをお願いしながら、繁栄いただけたら」と、これからの店舗運営についての期待感についても熱く語っていました。
最後にあいさつしたドトールコーヒーの星野社長も、「城南信金さんが目指す取り組みとして、金融機関の枠を超えてお客様の幸せをつくっていく、そんな企業を目指すというお話をうかがいましたが、私たちドトールコーヒーの理念も『1杯のおいしいコーヒーを通じて、お客様にやすらぎと活力を提供する』これが当社の企業理念となってます」と、まずは企業経営についての共通項を感じてのコラボのきっかけだったことを明かします。
昨年オープンの瀬谷の店舗に引き続き、「まだ2号店目、進化はたくさんできるという思いを抱いています。店舗のオペレーションをおこなう城南フーズさんともよく連携しながら、地域の皆さまにとって『なくてはならない』店を目指していきたい」と、これからの店舗の経営に向けての決意を披露していました。
オープン記念の式典の後には、8時30分からの開店を待ちわびた来店客が店舗前に並び、開店以降は列を作りながら、“大正ロマン”をイメージしたという店舗のつくりや、金融機関とのコラボ店舗ならではのにぎわい、またコーヒーや注文したメニュー一つひとつの味わいを、一人ひとりがそれぞれのペースで楽しんでいるかのようでした。
さらに30分後、9時からの営業をスタートした同信金側の店舗も、ドトールコーヒーとの相乗効果を示すかのような新たな「活気」を創出。新たな“ビジネスのチャンス”が、日々、お互い“乗り入れ”しあうことでの強みを増しながら展開されていくことになりそうです。
特に新型コロナ禍においても、日吉東急アベニュー(日吉2)が一時期臨時休業していた頃に、大変な人出で混み合ったという話題も思い起こされる元住吉ブレーメン通り。
金融機関とカフェ企業の「一大コラボ」のみならず、その両者を支え、支えられる商店街の取り組みや、来店客一人ひとりの“笑顔”が、ここ元住吉、そして中原区近郊に新たな活力を生み出していくことになりそうです。
【関連記事】
・信金店舗が業界初の「カフェ経営」に挑戦、未来の金融店舗をモデル提案(新横浜新聞~しんよこ新聞、2021年10月11日)
【参考リンク】
・店舗のご案内~元住吉支店(もとすみよししてん)(城南信用金庫公式サイト)
・ドトールコーヒーショップ 城南信用金庫元住吉店(株式会社ドトールコーヒー公式サイト)
・金融機関併設「ドトールコーヒーショップ城南信用金庫元住吉店」3月18日、グランドオープン(株式会社ドトールコーヒーのニュースリリース)
・城南信用金庫が地域ニーズに応じた店舗活用の一環として敷地内にシェアサイクル「ダイチャリ」を初導入(シナネンホールディングス株式会社のニュースリリース)※城南信金としての初導入となった