きょう卒業式を迎える小学校。6年間の想いを乗せた「風船」が青空に舞い、子どもたちの歓声が高らかに響きました。
環状2号線にも近い師岡町にある横浜市立師岡小学校で、きのう(2022年)3月17日(木)12時ごろ、卒業式を前日に控えた6年生の卒業を祝う初の「サプライズ」企画を敢行。
事前に卒業生に知らせず用意された4クラス約150人の児童それぞれに配られた「風船」が、カウントダウンの後、一斉に青空に放たれました。
今年度(2021年度)の卒業生は、2020年2月以降の新型コロナウイルス感染症拡大による学校の休校や行事の中止により、「5年次、そして6年次も、2年連続で宿泊体験や宿泊をともなう修学旅行をおこなうことができませんでした」と、今回の“風船飛ばし”を企画したPTA会長の横溝和宏さん。
少しでも、一つでも、卒業生の心に残る「演出」をと考えた横溝さんは、今月に入り企画内容をPTA役員や教職員、地域住民らによる学校ボランティア「師岡小学校学援隊」のメンバーに打診、それぞれの快諾と協力を経て、昨日の実施に至ったといいます。
きょう3月18日(金)に予定されている卒業式に、例年は出席している5年生も、新型コロナウイルス感染症対策により参加ができないことから、「5年生は、ランドセル姿で最後に登下校する6年生を直接見送るため」(横溝さん)にと校庭に。
1年生から4年生までの児童は「校舎」から見送り、また録画した直後の、風船が青空に舞う様子をおさめた動画をクラスで閲覧し、その感動を分かち合っていました。
6年生の保護者にも、児童に気付かれないようにするためにと、児童が登校した後に“風船飛ばし”を、学校のメール連絡システムで急きょ告知。
約40人が来校し、児童とともに青空に舞う風船を目で追いかけながら、小学校を去る日が近づいていることを実感しているかのようでした。
同校の川村智子校長は、「青空に吸い込まれていくように、風船が小さく飛び去っていくのを、皆がずっと見ていました。風船に一人ひとりの想いが込められていると思い、想像以上に想いがぐっと込み上げ感動しました」と、目の前の風船が、それぞれの想いを乗せ、大空に飛び立った瞬間を振り返ります。
横溝さんも、「急なお願いだったにもかかわらず、学援隊やPTAの皆さんの協力があり風船をスムーズに準備することができました。また、先生方がしっかりと段取りを組み、計画を実行してくれたことで、予定の時間通りに風船を放つことができました」と、 “子どもたちのために”と、“思いひとつに実行”できたことを喜びます。
「何より、風船を見つめる子どもたちの“笑顔”が嬉しかった」と横溝さん。
「新型コロナ禍」を受け、市内最多の児童数を抱える同校ならではの問題にも向き合い、共働き家庭が増加している時代ならではのPTA改革にも取り組んできたという横溝さんらPTA役員の想いを、学校、そして地域がしっかりと受け止め、一人ひとりの“笑顔”につながった好事例として、これからも広く地域内外に語り継がれていくことになりそうです。
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