人口流入が続く綱島東や樽町、箕輪町、日吉などがけん引し、港北区の平均年齢は首都圏でも“かなり若い”という結果でした。国が昨年(2021年)11月末に発表した「令和2年国勢調査」の集計結果をもとに、横浜市が詳細をまとめた概要が今月(2022年)2月7日に公開されています。
横浜市の概要によると、一昨年(2020年)秋に全国で実施された「令和2年国勢調査」で、港北区の居住者における平均年齢は「43.8歳」となり、市内では都筑区の「43.1歳」に次いで市内で2番目の低さでした。
前回、5年前に行われた「平成27年国勢調査」で港北区の平均年齢は「42.7歳」、都筑区は「40.7歳」だったため、港北区では上昇が低く抑えられていたことになります。
国の「人口等基本集計」によると、港北区の「43.8歳」は、自治体別では全国6番目の低さにある川崎市(43.7歳)や同7番目の福岡市(43.9歳)と同水準。政令市を除くと、東京都中央区(42.0歳)や港区(42.9歳)には及ばないものの、文京区(43.0歳)や品川区(43.9歳)と同様のレベルといえます。
都筑区や港北区など東京都心に近く、近年になって住宅開発が進んだ行政区ほど平均年齢は低い傾向が見られ、武蔵小杉が位置する川崎市の中原区は「41.2歳」。これは全国の「自治体」でもっとも低かった東京都千代田区(41.9歳)よりも若くなっていました。
港北区のなかで“若い町”とは
国が今月2月10日に公表した「人口等基本集計」のうち、神奈川県内の小地域集計を見ると、港北区内の各町では「綱島東」「樽町」「箕輪町」「日吉」「岸根町」などで平均年齢が低く、特に綱島駅と日吉駅周辺の町で若い人口が流入していることがうかがえます。
近年にマンションを中心とした再開発が行われた町ほど平均年齢が低くなっていた一方、高度経済成長期など早い時期から宅地化が進展していたり、現在も農地が目立っていたりする町は、比較的高い平均年齢となっていました。
区内「各町」における平均年齢は次の通りです。
港北区内「各町」の平均年齢
※カッコ内は人口。なお、1年半以上前の2020年秋に実施された「令和2年国勢調査」によるデータのため、現在の人口や平均年齢は変動している可能性があります
- 綱島東(18,354人):38.79歳
- 樽町(17,900人):39.97歳
- 箕輪町(11,980人):40.42歳
- 日吉(23,552人):41.65歳
- 岸根町(4,248人):42.06歳
- 綱島上町(4,344人):42.16歳
- 綱島西(20,408人):42.49歳
- 新横浜(13,473人):43.15歳
- 日吉本町(28,594人):43.20歳
- 綱島台(2,273人):43.74歳
- 【参考】港北区(358,530人)平均:43.8歳
- 菊名(14,261人):43.83歳
- 篠原町(12,019人):43.84歳
- 篠原東(5,736人):43.87歳
- 大倉山(25,534人):43.90歳
- 小机町(12,826人):44.12歳
- 師岡町(10,356人):44.16歳
- 新吉田東(24,081人):44.46歳
- 錦が丘(1,983人):44.84歳
- 篠原西町(3,456人):45.02歳
- 鳥山町(7,547人):45.04歳
- 大曽根(8,367人):45.22歳
- 高田東(8,335人):45.55歳
- 仲手原(6,972人):45.69歳
- 篠原北(4,445人):45.82歳
- 新羽町(12,486人):45.82歳
- 大豆戸町(14,967人):45.96歳
- 富士塚(4,979人):46.14歳
- 篠原台町(2,800人):46.23歳
- 高田西(9,397人):46.29歳
- 北新横浜(1,146人):46.43歳
- 大曽根台(2,616人):46.83歳
- 下田町(13,635人):46.96歳
- 高田町(695人):51.13歳
- 新吉田町(4,765人):52.96歳
区内で平均年齢が40歳を切っていたのが綱島東と樽町でした。
綱島東では、古くから一戸建ての宅地開発が行われていた綱島東5丁目を除き、すべての「丁目」で40歳を切っており、来年(2022年)3月の新綱島駅の開業後も人口流入が見込まれ、さらに平均年齢が下がったり、現状を維持できたりする可能性があります。
ちなみに綱島東の「38.79歳」という平均年齢は、タワーマンションが林立する武蔵小杉駅周辺の中原区小杉町3丁目(39.15歳)や新丸子東3丁目(39.68歳)よりも若干低い水準でした。
樽町は、大倉山寄りの1丁目を除き、工場跡地などで宅地化が進む4丁目や3丁目、2丁目で平均年齢が低く、特に樽町中学校のある4丁目(38.78歳)や、大型マンションの目立つ3丁目(39.38歳)は40歳を切っています。
平均年齢が低かった町の「丁目(町丁)」別に上位20カ所を並べると次の通りでした。
平均年齢が低かった「町丁」上位20カ所
- 北新横浜1丁目(309人):36.85歳
- 綱島東4丁目(4,591人):37.22歳
- 綱島東3丁目(3,684人):37.23歳
- 綱島東6丁目(1,252人):37.53歳
- 樽町4丁目(3,362人):38.78歳
- 綱島東2丁目(1,910人):39.02歳
- 樽町3丁目(5,473人):39.38歳
- 日吉3丁目(2,918人):39.46歳
- 新吉田東4丁目(1,231人):39.47歳
- 綱島東1丁目(2,970人):39.57歳
- 日吉6丁目(2,964人):40.05歳
- 箕輪町1丁目(2,396人):40.27歳
- 箕輪町2丁目(6,757人):40.41歳
- 箕輪町3丁目(2,827人):40.58歳
- 日吉5丁目(4,922人):40.59歳
- 樽町2丁目(4,669人):40.61歳
- 新吉田東3丁目(2,539人):40.62歳
- 綱島西4丁目(3,019人):40.76歳
- 日吉4丁目(2,163人):40.86歳
- 大倉山1丁目(3,491人):40.90歳
綱島東と樽町以外では、箕輪町が1丁目から3丁目まですべての場所が入っていたのが特徴。今回の国勢調査は2020年の秋に行われたため、2丁目で進む大規模再開発にともなう転入は一部しか反映されていない可能性があります。
日吉では、慶應大学日吉キャンパス(日吉4)と矢上キャンパス(日吉3)が位置する日吉3丁目と4丁目に加え、工場跡などに狭小一戸建ての分譲が目立つ6丁目や5丁目も低い平均年齢でした。
新吉田東は、全体でみると44.46歳と区の平均以上でしたが、平均年齢の低かった2カ所は、「四ツ家」バス停近くの東4丁目と、高田駅に近い大型スーパー「オーケー」のある東3丁目で、いずれも一昨年(2020年)12月に開通した都市計画道路「宮内新横浜線」に接しているという共通点があります。
なお、平均年齢の低さで区内トップとなっていた北新横浜1丁目は、地下鉄ブルーラインの北新横浜駅の周辺。工場系事業所と商業施設、地下鉄の新羽車両基地が多くを占めており、住宅は主に単身者向けに数棟の賃貸マンションしかない地域となっています。
【参考リンク】
・令和2年国勢調査「人口等基本集計結果 横浜市の概要」(横浜市政策局、2022年2月7日)
・令和2年国勢調査「人口等基本集計(全国)」(政府統計ポータルサイト「e-Stat」)
・令和2年国勢調査「神奈川県の小地域集計」(県内各地域の細かなデータ)(「e-Stat」)