新綱島駅で建設中「港北区民文化センター」、愛称をどう付けるか? | 横浜日吉新聞

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新駅の駅名に続き、少し頭を悩ませる“宿題”が区民に出されました。港北区は東急新横浜線(相鉄・東急直通線)の新綱島駅で建設を進める文化・芸術活動拠点「港北区民文化センター(仮称)」について、施設の愛称案を来年(2022年)1月末まで募集しています。応募された愛称のなかからまずは4案程度に絞り、来年夏ごろまでに区民投票で最終決定する計画です。

港北区民文化センター(仮称)の400人収容ホールの完成イメージ(横浜市提供)

区民文化センターは、横浜市内18区のうち11区(瀬谷区は2022年3月開館予定)に設けられており、各区区民が音楽や演劇、展示会といった芸術活動を行ったり、観覧したりする場として活用されています。

講演会などで人が集まる場として設けられた「港北公会堂」(大豆戸町)のような“集会施設”とは異なり、区民文化センターは芸術活動に適した音楽ホールや練習室などを設けているのが特徴です。

区民文化センターのロビー完成予想図、一部の天井に使われるピンク色は、港北区の木「ハナミズキ」の花と、綱島の桃をイメージ(横浜市提供)

港北区の区民文化センターは、2023年度下期(10月~2024年3月)に開館する予定としており、新綱島駅が開業(2022年度下期=10月~2023年3月)した後、半年から1年後までに稼働する見通し。

駅の地上部に建設されている29階建て再開発ビル(マンション「ドレッセタワー新綱島」など)のうち、商業施設などが入る7階建て「North(北)棟」の上部2フロアを使い、400人収容の「ホール」をはじめ、ギャラリー(2室)や防音の「練習室」(3室)、100人程度の発表会に使える「音楽ルーム(リハーサル室)」を設ける計画となっています。

港北区で「地域名」入れた愛称は困難?

区民文化センターの「愛称」募集を知らせる案内チラシ(港北区サイトより)

【コラム】港北区民文化センターの基本理念としては、「ハートでつながる 私たちのまち」との“キャッチフレーズ”を設定。

そのうえで、「花びらが集まり花になるように、大地に根を張り未来へ伸びる若木のように、区民の多様な文化が集い、触れ合い、港北区をさらに心豊かな文化のまちにしていく拠点」「人のハート(HEART)には、アート(ART)があります。アートを通じて、区民が思い思いに交わり、つながりながら、ハートを通わせる」などとうたいます。

愛称は、こうしたコンセプトをもとに考えていく必要があるとみられ、区民全体の施設となるため、区名以外の地域名を入れた愛称を選ぶことは難しい可能性があります。

市内11区にある区民文化センターを見ても、愛称に地域名が入っているのは磯子区の「杉田劇場」だけ。これは、地元出身の歌手・美空ひばりさんが舞台に立った歴史を持つ劇場が近くに存在していたことにちなむもので、他の10施設は区名をモチーフとしたり、地域名とは無関係の言葉を使ったりしています。

メインとなる4階ロビーの完成予想図。左手には可動壁の「ギャラリー」も見える(横浜市提供)

かつて、港北区民文化センターのコンセプトを議論していた頃、建設地である綱島に由来する「ピーチ(桃の意味)」を盛り込もうという声が上がりましたが、古くから綱島を知る年配の参加者からは、ピンクの色合いが綱島温泉街にかつて存在した“色街”を想起させかねないとして難色を示す意見が出て、立ち消えとなったこともありました。

また、綱島や日吉、大倉山、菊名、新横浜など、駅がある場所だけでも拠点となるような著名な街が点在し、核となるエリアが見つからない港北区だけに、すべての区民が納得できるような地域名を付けづらい現状もあります。

1978(昭和53)年に“港北の歌”として選ばれた「港北音頭」では、「大倉山」「小机城址」「綱島座敷酒」「新幹線」など区の南北バランスを取ったかのような歌詞(地域名)が散りばめられおり、区を代表する街が見当たらない苦心が40年以上前の歌からも見てとれます。

港北区を象徴するのは木や花、そして区のキャラクター「ミズキー」しかない?

やはり、“最終手段”としては区の木と花である「ハナミズキ」や「ウメ」に登場してもらうしかないのでしょうか。あるいは区民に広く関係するという意味では鶴見川あたりになるのかもしれません。ぜひ妙案の投稿を。

愛称案は、港北区在住・在勤・在学者を対象に区サイトの応募フォームなどから来年1月31日(月)まで受付中です。

応募された愛称案のなかから区が4案程度に絞ったうえで、来年夏ごろまでに区民の投票によって愛称を最終決定するとのことです。

<参考>横浜市内11区にある「区民文化センター」の愛称とリンク

)カッコ内は区民文化センターの最寄り駅

  • 鶴見区民文化センター「サルビアホール
    (JR京浜東北線/鶴見線・鶴見駅または京急・京急鶴見駅)
  • 神奈川区民文化センター「かなっくホール
    (JR京浜東北線/横浜線・東神奈川駅または京急・東神奈川[旧仲木戸]駅)
  • 青葉区民文化センター「フィリアホール
    (東急田園都市線・青葉台駅)
  • 緑区民文化センター「みどりアートパーク
    (JR横浜線/東急田園都市線/東急こどもの国線・長津田駅)
  • 旭区民文化センター「サンハート
    (相鉄・二俣川駅)
  • 港南区民文化センター「ひまわりの郷
    (京急/ブルーライン・上大岡駅)
  • 磯子区民文化センター「杉田劇場
    (JR根岸線/シーサイドライン・新杉田駅)
  • 戸塚区民文化センター「さくらプラザ
    (JR東海道本線・横須賀線/ブルーライン・戸塚駅)
  • 栄区民文化センター「リリス
    (JR根岸線・本郷台駅)
  • 泉区民文化センター「テアトルフォンテ
    (相鉄いずみ野線・泉中央駅)
  • 瀬谷区民文化センター「あじさいプラザ
    (相鉄・瀬谷駅、2022年3月開館予定)
  • 都筑区民文化センター(現在建設中=名称未定
    (ブルーライン/グリーンライン・センター北駅、2024年度中に開館予定)

【関連記事】

綱島の歴史も意識した内装に、新駅の「区民文化センター」で完成予想図(2020年10月8日、館内の詳しい設備など)

<東急電鉄>新横浜線の新駅は「新綱島」に決定、“綱島温泉”は2番目の多さ(2020年12月21日、駅名も区民の投票で選ばれた)

43年前の熱き思いを再び、人間国宝が残した港北公会堂「緞帳」の価値とは(2021年12月14日、緞帳(どんちょう)のデザインは鶴見川が選ばれている)

【参考リンク】

港北区における区民文化センターの整備について(港北区、施設の詳細や「愛称」の募集など)

港北区民文化センター(仮称)の愛称を募集します~あなたの考えた名前が、港北区の新しい文化芸術活動拠点の愛称に(港北区、2021年12月22日)


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