新型コロナによる最も大きな影響を受けたともいわれる「芸術」分野。苦難を乗り越え、“歓喜”の歌声が綱島から日本へ、そして世界へと高らかに響きわたりました。
綱島地区が発祥の港北第九合唱実行委員会は、先週(2021年)12月11日(土)午後、綱島地区センター(綱島西1)の体育館で、2021年度「第九発声教室」の最終講義となる成果発表会を開催。
例年は、港北公会堂(大豆戸町)でステージをおこなってきた「こうほく第九」ですが、新型コロナ禍により昨年(2020年度)の演奏会の開催は断念。今年度は、3月に2日間、また9月から全13回(今回開催含む)のスケジュールでの「発声教室」を同地区センターで実施してきました。
今回は、コロナ対策により、同実行委員会の佐藤誠三会長(綱島地区連合自治会会長)や高橋静明副会長(大曽根自治連合会会長)、小泉亨副会長(樽町連合町内会会長)や中森伸明実行委員長(綱島商店街連合会会長)、綱島地区の各自治会・町内会長らが、周辺地区の“観客代表”として出席。
ベートーヴェン作曲「交響曲第9番」第4楽章の「第九」を、冒頭部など、前奏など通常のオーケストラ演奏部分を、例年とは異なり省くことなくピアノ連弾で演奏。「ソロ」および「コーラス」部分もピアノ伴奏で披露しました。
“無観客”で実施せざるを得ない状況を踏まえ、「港北ふるさとテレビ局」(伊藤幸晴代表)による録画収録を実施し、インターネット上で展開する「港北映像ライブラリ」でも後日公開予定となるなど、“リアル”での開催時とは異なり、公開映像を通じて自宅などからでも演奏や“地元開催”ならではの雰囲気を楽しむことができそうです。
今回の演奏について、前回(2019年)にも演奏を率いた指揮者の湯川晃さんは、「コロナ禍で、最も影響を受けたのは、クラシック音楽の中でも“声楽”の分野。飛沫(ひまつ)も飛びやすいことから、演目としてもハードルが高いといわれる第九の本番を実施できたことは本当に素晴らしいこと」と、高らかに響いた一人ひとりにとっての“歓喜”の想いを代弁すべく、言葉を選びながらその感想を語ります。
「こうほく第九」を草創期から支えてきたアルト(ソロ)のオペラ歌手・北澤幸さんは、「地域の皆様がこの地区センターの“体育館”を場所として提供してくださり、2年ぶりの合唱を披露することができました。“誰一人欠けても”今回の第九は実現できなかったのではないか。一人ひとりが、この第九にとって“なくてはならない人”と感じています」と、コロナ禍を乗り越えてのステージが実現できたこと、またステージを作り上げた一人ひとりへの“感謝の想い”を語っていました。
当初、「綱島第九」として発祥した「こうほく第九」は、発足当時は演奏披露も同地区センターでおこなっていた経緯もあり、「当時が懐かしい」という声もあがっていました。
今回の演奏が実現したことを受け、佐藤会長は、「来年(2022年)は港北公会堂で、またその翌年(2023年)に完成予定の港北区民文化センター(綱島東1)でのこけら落としでも、ぜひ第九を披露してもらえたら」と、綱島で誕生した第九を“より高らかに”響かせるプランについても言及していました。
いよいよ来年度末(2022年10月~2023年3月末)までに迫る東急新横浜線(相鉄東急直通線)の開業、そして区民文化センターの完成へと進む港北区の歴史を刻む“第九”の披露。
「コロナ禍」を乗り越えるプロセスとして、また、鉄道開業後の新たな未来に向け、「文化・芸術」の大切さを語り継ぐ機会としても、大きな節目となる貴重な演奏会であったといえそうです。
【出演者】 ※敬称略
- 指揮: 湯川晃
- ソプラノ: 新藤昌子
- アルト:北澤幸
- テノール:松原悠馬
- バス:北村哲朗
- ピアノ:児玉ゆかり・大隝(おおしま)恵
- 合唱: 港北第九合唱団(港北第九合唱実行委員会主催「第九発声教室」参加者約50人)
- 司会:宮田佳奈
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【参考リンク】
・2021年度「第九発声教室」成果発表会(港北映像ライブラリ)※リンク追記