「新聞に掲載されない」地元で発生した事件の情報は、どこまで地域社会に届くのでしょうか。
港北警察署が読売新聞の販売店に協力依頼を行い発行された「4月中の新聞にのらない『じもと』の事件簿」
港北警察署（田村淳一署長）は、港北区内で発生した先月（2021年）4月中の窃盗や特殊詐欺の情報をまとめた「4月中の新聞にのらない『じもと』の事件簿」2021年5月号（生活安全課）をこのほど制作。
発行協力業者である読売新聞の販売店に印刷を依頼、各販売店が印刷を行う方法での発行、それぞれの販売店の新聞講読者への配布を行っています。
今回、配布協力を行った読売新聞の販売店は、読売センター日吉（日吉本町3）、読売センター高田NT（高田西4）、読売センター綱島上町（新吉田東5）、読売センター菊名大倉山（大倉山4）、読売センター新横浜（鳥山町）の5店舗。
「港北警察署から依頼があり、チラシを折り込むことはしばしばあります」と、読売センター高田NTを経営するウイングレット株式会社の乙幡幸雄社長は、地域貢献の一環としての無償での印刷、そして配布を行っていると説明します。
港北警察署のサイトでは「港北区の犯罪発生状況」を月別の件数を集計するかたちで公表している
「『じもと』の事件簿」は単色刷りで、原稿は警察から郵送で届くといい、今回配布された5月号では、「ひったくりに注意」という見出しと注意事項の記載の下に、大倉山で発生したひったくりや、鳥山町で発生した部品ねらい、新横浜で発生した車上ねらいなどの「窃盗事件」を抜粋して掲載しています。
また、4月中に区内で5件の発生があったという「特殊詐欺」については、日吉本町や日吉、新吉田町で発生した事例について挙げており、「キャッシュカード」を取りに来る犯罪についての注意を最下部のコーナーで強く呼び掛けています。
港北区の「防犯情報メール」は、空メールを送信することで登録できる（港北区のサイト）
乙幡社長は、「大きなメディアでは掲載されない事件の情報を折り込むと、読者からの反響も大きく、“気を付けていかねば”と防犯活動などにもその情報を活かしてもらえるようです」と、大きなメディアで報道されにくい犯罪が、区内で多く起きていることについても警鐘を鳴らします。
具体例が掲載されているもののほかにも、万引き8件、オートバイ盗4件、自転車盗が30件、置引き2件、部品ねらいが2件も発生しているとの記載で注意喚起を行う同事件簿。
「これからも、依頼があれば配布を継続していきたい」と、乙幡社長は、地域貢献への決意を抱き、警察への協力を惜しまない姿勢を示します。
港北区連合町内会を通じて市民に公表される「港北区内犯罪発生状況」（2021年4月末）の1ページ目（PDFファイル）。2ページ目以降に町名別の発生状況も
港北警察署からの情報発信は、港北警察署のホームページや、港北区役所（大豆戸町）を通じて発信される「防犯情報メール」、大手メディアなどに出される記者発表（記者クラブ）や取材によるもののほか、毎月1回、前月分を「港北区内犯罪発生状況」としてまとめた町名別などの集計資料（港北区連合町内会などを通じて市民に公表）などとなっています。
一般市民が、パソコンやスマホなどによるSNSなどでの情報受発信やシェアを行える時代になったものの、パソコンなどを使いにくい「高齢世帯」などに対し、犯罪に関する情報をどのようにリアルタイムに発信し、地域社会で共有していくのか。
さらには、「新聞を購読していない」世帯や世代には、どう情報を届けていくべきなのかといった課題についても、継続した議論が必要となっていきそうです。
【関連記事】
・＜白バイも出動＞入学式を安心・安全に、港北警察が新たな門出をバックアップ（新横浜新聞～しんよこ新聞、2021年4月7日）※「コロナ禍」により防犯キャンペーンなどの実施も難しくなっているという
【参考リンク】
・港北区内犯罪発生状況（港北区連合町内会、2021年5月「定例会」会議資料一覧、PDFファイル）※2021年4月末現在
・港北AAA（安全で安心な明日を）（港北区のサイト）
・防犯情報メール（同）※警察からの提供情報を区役所から発信。登録方法など。メール本文には、近年、「丁目」の記載がなくなり（個人情報の保護が目的とのこと）、具体的な場所がわかりにくくなったが、「強盗傷害」事件の発生時などは公表されることもある
