卒業祝う「黒板アート」が日吉の小学校に、学び舎の想い出と感動を“いつまでも” | 横浜日吉新聞

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桜の花と学び舎、ソーラン節の想い出をいつまでも――日吉の小学校で、卒業記念の「黒板アート」が初登場しました。

日吉南小学校の6年生児童に「黒板アート」を披露。運動会で披露した、想い出の「新世代ソーラン2020」をイメージした作品が描かれていた

日吉南小学校の6年生児童に「黒板アート」を披露。運動会で披露した、想い出の「新世代ソーラン2020」をイメージした作品が描かれていた(3月3日、日吉南小学校撮影・提供)

日吉本町4丁目、各学年130人超の児童が通う横浜市立日吉南小学校では、例年、卒業式の挙行後に行われていた、同校の保護者が企画・運営する「謝恩会」を、新型コロナウイルス感染症の影響と緊急事態宣言の発出中ということも考慮し、開催中止に。

保護者からなる「卒業記念係(卒業係)」のメンバーがこの中止を受け、卒業生のために何かできないかと思案する中、想い浮かんだのが「黒板アート」を描くことだったと、同係の左右田(そうだ)美矢さんは説明します。

左右田さんとともに図書ボランティアなどの活動を通じて、児童たちへの想いを体現してきたという同係の杉本笙子(しょうこ)さんが中心となり、6人の有志で「黒板アート」を制作。

「黒板アート」が描かれた日吉南小学校のPTA会議室(3月17日)

「黒板アート」が描かれた日吉南小学校のPTA会議室(3月17日)

先月(2021年)2月22日から3月2日までの完成まで延べ5日間、約18時間もの時間をかけて描いたというこの「黒板アート」には、それぞれ色が異なるように工夫し描いたという「校舎」と、同校のキャラクター「ひよたん」、そして、卒業生にとって大切な想い出になったという運動会で披露された「ソーラン節」の姿が、満開の桜の中に描かれています。

立体感と躍動感にあふれる「黒板アート」とともに、メインで作画した杉本さん、左右田美矢さん、中里校長、光城(みつしろ)めぐみPTA副会長(写真左より)

立体感と躍動感にあふれる「黒板アート」とともに、メインで作画した杉本さん、左右田美矢さん、中里校長、光城(みつしろ)めぐみPTA副会長(写真左より)

今年度(2020年度)は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、昨年度(2019年)3月から5月まで続いた臨時休校、そして感染症対策の中での学校行事の中止といった事態に陥ってしまったものの、「今までになかった初めての試みを行ったこともいっぱいありました」と、中里純子校長も、“前向きに”この難局を乗り越えようと尽力してきたという日々を振り返ります。

「どこへ行こうとも、ずっと忘れないよ」と英語でつぶやく、日吉南小学校キャラクター「ひよたん」の姿も

「どこへ行こうとも、ずっと忘れないよ」と英語でつぶやく、日吉南小学校キャラクター「ひよたん」の姿も

中でも、全校生徒が800人超にも上ることから、「運動会を、保護者の参観の中で一斉に行うことはできませんでした。しかし、子どもたちだけでは全校一斉に会し、6年生が立派に最上級生としての役割を果たしてくれたのです」と、“唯一”の開催ともいえる大型行事の「運動会」が、6年生にとっての晴れの舞台であったこと、その姿を、後輩たちに“立派”に見せてくれたことを称(たた)えます。

杉本さんら図書ボランティアが図書室に描いた「火の鳥」(上)、「HIYOMINA(ひよみな)2021」(下)の2作品。「火の鳥」は6年生のために製作したという(杉本笙子さん提供)

杉本さんら図書ボランティアが図書室に描いた「火の鳥」(上)、「HIYOMINA(ひよみな)2021」(下)の2作品。「火の鳥」は6年生のために製作したという(杉本笙子さん提供)

運動会そのものは、学年ごとに保護者にも別日程でそれぞれ披露されたといい、「6年間の想い出の中で、ソーラン節が最も心に残りました手作りの法被(はっぴ)を纏(まと)い、それぞれが好きな漢字を背中に一文字ずつ入れて踊る姿に感動しました」と、左右田さん、杉本さんも、最も心に焼き付いたという「ソーラン節」の感動、そしてその児童らの姿を思い起こし、「黒板アート」の作成にあたったと説明します。

光城さんらPTAメンバーが制作し全校児童に配布した「ひよたんからの挑戦状」(パズルゲーム)。「子どもたちも大喜びでした」と中里校長も、PTAの取り組みを称(たた)えていた

光城さんらPTAメンバーが制作し全校児童に配布した「ひよたんからの挑戦状」(パズルゲーム)。「子どもたちも大喜びでした」と中里校長も、PTAの取り組みを称(たた)えていた

卒業生には、各クラスごとに3月3日から3月9日までの間に披露されたといい、「卒業係の皆様のアイデア、そしてあたたかなお心遣いに、子どもたちは感謝、感激の様子でした」と中里校長。

当たり前のように毎年行われてきた、日光への修学旅行も中止となり、代わりに日帰りで訪れた「さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト」(相模原市緑区)では、「フリーチケットで思い切り遊んでもらう試みも行いました。6年生にも、楽しんでもらえたのではないかと思います」と、コロナ禍でこそ“行うべきチャレンジ”があったのではと感じる日々だったといいます。

卒業生には卒業係から記念品も配られる予定とのこと

卒業生には卒業係から記念品も配られる予定とのこと

毎年、地域ぐるみで行っているステージイベント「パートナーズフェスタ イン ひよみな」についても開催が行えず、また地域の人々を卒業式にも招くことができないことから、「今回の『黒板アート』について多く地域の皆様にも知っていただき、卒業生の船出を祝ってもらえたら」と、PTA会長の左右田智宏さん

「黒板アートを作ることで、卒業係の保護者同士でも、“心が通じ合う”時間を過ごせました」と杉本さんが語るように、保護者の支え、そして地域ぐるみでの想い出づくりこそが、未来の子どもたちがいつかこの街に帰ってくる、またこの街の想い出を起点に、その夢を大きく花開かせる、そのきっかけの一つになるのかもしれません。

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【参考リンク】

横浜市立日吉南小学校公式サイト ※卒業式準備についても記載


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