学校のIT化を促進する「GIGA(ギガ)スクール構想」に先駆けて、IT端末を活用したコラボ授業が行われています。
高田町にある横浜市立高田中学校(横田由美子校長)では、昨年(2019年)に入学した生徒(現2年生)約90人に、「社会とつながる学び」の授業を行っています。
総合的な学習の時間、美術科、また家庭科の食育の授業として実施されているこの「学び」の時間は、元々は同校の美術科・竹下恭介教諭が実施していた「カップ麺のパッケージをデザインする」という授業の課題から着想を得て発展したといいます。
授業には、同校から授業のコラボを依頼したという、「マルちゃん」ブランドで有名な大手食品メーカー・東洋水産株式会社(本社:東京都港区)からCSR(企業の社会的責任)の一環として担当者らが来訪。
生徒が1年次の昨年11月に食育講座「だしの秘密」、今年(2020年)2月には「カップ麺開発担当者に話を聞こう」、3月には「コンセプト設計(商品企画検討)」、さらに「カップ麺パッケージデザイン検討」の美術の授業も実施。
新型コロナウイルス感染拡大の影響による学校の休校により授業はやむなく中断したものの、デザインを行うという課題を生徒たちがこなした上、9月には個人のプレゼンテーションによる、作品のデザインや商品コンセプトについてのクラス代表を決定するというチャレンジも。
先週11月6日には、学年代表決定の商品発表会が同校の体育館で行われ、生徒の投票による最優秀作品と、同社の審査員による特別賞の2作品を最終選考。横浜市における「GIGA(ギガ)スクール構想」の関係者らも駆け付けるなど、会場は多いに盛り上がっていました。
今回の授業では、生徒一人ひとりがタブレット端末を活用し発表プレゼンを行うなど、まさに「これからの新学習指導要領でいわれている、“生きる力を育む新たなとりくみ”の試行といえるかもしれません」と横田校長。
「主体的・対話的で深い学び」、また「プログラミング」などのプロセスを重視した対話や体験を重視した学習の一環として、また“コロナ禍”にも負けない、自ら取り組み、提案し、課題解決を目指す新時代の「学び」に合致しているのではと、横田校長は今回の東洋水産とのタイアップを心から喜びます。
6日の発表会時には、生徒たちも「楽しい」、「面白い」といった声を止むことなく上げており、美術を担当した竹下教諭は、「本来は“食”の部分も体験もより深めるプログラムでしたが、新型コロナウイルスの影響で、最終的に授業内で体験し仕上げるのは、事実上は“デザイン”に限られる展開となりました」と、新型コロナの影響を嘆きます。
それでも、「生活の中にある“美術”を、今回の学習を通じて生徒たちも気づいてくれたのでは」と、歴史的・伝統的な美術作品とはまた異なるアプローチでの学びの体験を得られていると、今回の“大企業とのコラボ”という壮大な試みに発展したことについての「大きな手応え」感じたとのこと。
この日は東洋水産の真喜屋理恵子常務も来訪するなど、同社にとっても「初」となる中学生とのコラボ授業に“全力投球”。
今月下旬には、選ばれた2作品をデザイナーが試供品として製作、全生徒に寄贈するという「贈呈式」も予定されているとのことです。
次世代を担う子どもたちが、この先「どのような未来」を描いていくのか。新しい学びの機会、そして「社会とのつながり」を得られた生徒たちの、学びの意欲の向上、そして地域社会への“創造力”に満ちた貢献も、今後楽しみにしたいところです。
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【参考リンク】
・つなぎ塾トーク<第3回:高田のみなさん>(同)※地域と高田中学校との将来的なタイアップ希望についても言及している
・つなぎ塾トーク<第4回:子育て支援・教育現場のみなさん>(横浜市港北区役所・一般社団法人地域インターネット新聞社)※「横浜市におけるGIGA(ギガ)スクール構想」についても触れている