日吉台西中・樽町中など5校が交流会、無観客の横浜アリーナで「悲願の演奏」 | 横浜日吉新聞

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地元中学生の“悲願”の演奏が、夢の「横浜アリーナ」に高らかに響きました。

今月(2020年)10月4日午後に開催された「港北区中学校吹奏楽部交流会」。横浜アリーナが会場提供を行い、区内5校の吹奏楽部の生徒たちの“思わぬ夢”が実現した

今月(2020年)10月4日午後に開催された「港北区中学校吹奏楽部交流会」。横浜アリーナが会場提供を行い、区内5校の吹奏楽部の生徒たちの“思わぬ夢”が実現した

横浜市港北区役所(大豆戸町)と横浜アリーナ(新横浜3)は、地元・港北区内の横浜市立中学校5校による演奏会「港北区中学校吹奏楽部交流会~響け!私たちの音楽in横浜アリーナ」を、今月(2020年)10月4日午後に開催。

日吉台西中学校(日吉本町5)、樽町中学校(樽町4)、城郷中学校(小机町)、篠原中学校(篠原町)、大綱中学校(大倉山3)の5校の吹奏楽部の部員218人が、最大収容人数1万7千人を誇る市内最大級の音楽ステージで、初となる無観客での演奏を披露しました。

開会にあたり、今回の企画を取りまとめた城郷中学校の青石哲也校長があいさつ

開会にあたり、今回の企画を取りまとめた城郷中学校の青石哲也校長があいさつ

今回の企画は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、演奏の機会を失った中学生に「発表の機会を」との、学校現場からの声に区役所が応えるかたちで会場探しを行い、横浜アリーナが会場を提供。区内の公立中学全9校に声掛けした中、学校行事などの都合もあり参加できなかった4校を除く5校が参加し実現に至ったもの。

来月(2020年)11月に開催される市内初のオンライン区民祭り「ふるさと港北ふれあいまつりon-line」(同実行委員会主催)内でも映像作品として披露することを目的に、演奏の録画収録もあわせ行われていました。

各校がそれぞれ独自に作成した吹奏楽部の紹介動画が流れた後、演奏スタート

各校がそれぞれ独自に作成した吹奏楽部の紹介動画が流れた後、演奏スタート

区学校連携・こども担当の廣瀬綾子課長は、「運動部は、コロナ禍を経て活動を再開する機会があるものが比較的多かった一方で、文化部については発表の場が全くないのでどうしたらよいか”という切実な声が各校の校長が集まる“校長会”を通じ寄せられていました」と、今回の企画が立ち上がることになった経緯について説明します。

市内初オンラインでの「ふるさと港北ふれあいまつり」の開催をすでに計画していたなかで、「イベントの目玉となる11月14 日(土)のコアデイに演奏動画を披露する予定です。いずれも会場を提供してくれた横浜アリーナの皆さんには心から感謝したい」と、区地域振興課の小林野武夫課長も、市内の他の多くの区民祭りが中止となったままの現状を踏まえ、中学生による演奏披露の場を持てたことへの感謝の想いを表します。

日吉台西中学校は人気のディズニー・ナンバーでチームワーク感じる演奏を披露

日吉台西中学校は人気のディズニー・ナンバーでチームワーク感じる演奏を披露

会場を提供した横浜アリーナの市川素久総務部長は、「この日開催を予定していた大型イベントの中止が決定、区役所からの打診もあり、2カ月も前から会場を押さえていました。 中学生の皆さんには、いつかアーティストとして、この“ホームグランド”に戻ってきてくれれば」と、普段は地元のアマチュア組織や団体に場所を提供できることは難しいこともあり、今回の開催による子どもたちにとっての“夢の実現”を、いつかの“未来の夢”にもつなげてもらいたいと熱く語ります。

樽町中学校は楽曲の音程の幅広さと重層感を伝えるクオリティの高い演奏で聴き手を魅了していた

樽町中学校は楽曲の音程の幅広さと重層感を伝えるクオリティの高い演奏で聴き手を魅了していた

この日は、各校が独自に制作した吹奏楽部の紹介映像をそれぞれの演奏前に流した後、日吉台西中学校が「リメンバー・ミー」「アンダー・ザ・シー」、樽町中学校が「ARSENAL(アーセナル)」「J-BEST ARASHI-Troublemaker」をそれぞれ披露。

最後に、5校が「栄光の架橋」を合奏し、約1時間40分の演奏会のフィナーレを華やかに飾っていました。

城郷中学校吹奏楽部顧問の境谷教諭の指揮でフィナーレを彩った

城郷中学校吹奏楽部顧問の境谷教諭の指揮でフィナーレを彩った

最後の全体指揮を行った城郷中学校の吹奏楽部顧問・境谷(さかいや)征一郎教諭は、「(コロナ禍で)文化祭やコンクール、地域の演奏会もなく、目標を失う日々でした。区役所やアリーナの皆さんから声をかけていただき、憧れの場所で演奏できたことで、子どもたちの表情は晴れやかになっていました。今回の経験は、子どもたちにとっての“大きな力”に変わっていくのではと思います」と、8カ月ぶりに全体での演奏ができたこと、生徒たちが“思う存分吹けた”ことへの感謝の想いを語ります。

横浜アリーナのキャラクター・ヨコアリくんも「アリがとう!」とコメント

横浜アリーナのキャラクター・ヨコアリくんも「アリがとう!」とコメント

演奏会後に、全国系や地元メディア5社の取材に応じた5校の部長たちからも、「こんなに広い空間で演奏したことはなく、演奏していて嬉しくなった」といった声や「コロナの影響で、練習そのものも困難だったが、“音楽で心を1つにする”ことを忘れずに、聴き手を笑顔にできるように演奏することを心掛けた」といった声があがっていました。

新型コロナウイルスの影響で、ソーシャルディスタンスを保つことが難しいイベントが中止に追い込まれてきた中、偶然にも「会場を提供することができた」横浜アリーナが、地域貢献としての尽力を行ったことが今回の開催の後押しにもなったことも、区との日頃からのつながり、信頼関係の構築が背景にあり、今回のイベントの成功における特筆すべき点とも言えそうです。

日吉台西中の大内さん、樽町中の中川さんら各校の部長がメディア5社の取材にも対応、それぞれの「晴れの舞台」を振り返った

日吉台西中の大内さん、樽町中の中川さんら各校の部長がメディア5社の取材にも対応、それぞれの「晴れの舞台」を振り返った

来月開催予定の「ふるさと港北ふれあいまつり」に向け、「素晴らしい演奏会となりました。今回の企画も、ふるさとまつりも、こういった取り組みを行うことで、新しい交流が生まれ本当によかった」と(区地域振興課の)小林課長がしみじみと語るように、より大きな成果という名の“果実”、そして生徒や教職員らにとって生涯忘れられなかろう、かけがえのない「想い出」を生み出した今回の事例。

それぞれの組織・団体が日頃からゆるやかにつながり、地域まちづくりへの協力体制を築き上げておくことこそが、「コロナ」という危機的状況下でも多くの人々をつなぎ、よりよい方向へと導くことにつながるエピソードとして、これからも広く語り継がれることになりそうです。

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【参考リンク】

全国初!コロナ禍でも明るい音色を 横浜アリーナで中学生の吹奏楽演奏会を開催!(2020ふるさと港北 ふれあいまつりon-line特設サイト)

横浜アリーナ公式サイト ※公式SNS(Twitter・Facebookページ)で今回の企画についても紹介している

秋のヨコアリくんまつりオンライン開催(同)※「ふるさと港北ふれあいまつり」コアデイと同日(11月14日(土))にオンライン配信予定


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