“やり抜く力”見せたい、プロアイスホッケー開幕へ「グリッツ」が決意 | 横浜日吉新聞

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ファーストシーズンにユニフォームを着られることを誇りに思う――。今月(2020年)10月10日(土)に北海道で開幕戦を迎えるプロアイスホッケーの「横浜グリッツ(GRITS)」(本拠地:KOSE新横浜スケートセンター)は、きのう4日にトレッサ横浜で「出陣式」を開き、選手や監督、運営者らが思いを述べるとともに、公式チアリーダーがパフォーマンスを見せ、公式キャラクターも初めて登場しました。

臼井社長(左)と御子柴ジェネラル・マネージャー、2人が着用しているチームロゴの入ったシャツはメーカーズシャツ鎌倉(鎌倉市)の製造で、マスクもオリジナルだという

アイスホッケーでも、ビジネスマンとしても一流を目指す今までとは違う形態のプロチームだ」と運営会社のGRITSスポーツイノベーターズ(中区新山下)の臼井亮人社長が力を込める横浜グリッツは、全員が企業などに所属しながらプロ選手として活動する「デュアルキャリア」を実践することを基本としているのが特徴。

この日、トレッサ横浜でのトークショーに登壇したキャプテンの菊池秀治選手は、東北フリーブレイズで活躍後に著名保険会社で勤務しており、日光アイスバックスのゴールキーパーとして長年チームを引っ張ってきた小野航平選手(武相高校・早稲田大卒)も退団後に新横浜の企業で営業マンをつとめ、浅沼芳征監督も自ら事業を営みながら現場の重責を担うなど、スタッフを含めほぼ全員が“アイスホッケー専業”ではないという環境で結成されています。

9月に行われた日光アイスバックスとのプレシーズンマッチは2戦とも2対6で敗れた(9月26日、新横浜)

昨年(2019年)5月にチームができ、今年3月には新横浜でプロチームとのテスト対戦を経て、日本最高峰の「アジアリーグ」へ参戦することを目論んでいたところ、新型コロナウイルスの影響ですべての動きがストップ

参入自体は5月に認められたものの、現在までカナダ人のヘッドコーチや、2人の外国人選手も来日できていない状態だといいます。

先週9月26日と27日に新横浜と栃木県日光市で行われたプレシーズンマッチでは、両日とも日光アイスバックスに2対6で完敗。ゴールキーパーの小野選手は「不甲斐ない内容だった」と悔しがります。

2試合で2点ずつ取れたのは収穫だった(9月26日、新横浜)

ただ、御子柴高視ジェネラル・マネージャー(GM)は、「日光アイスバックス相手に2試合で2点ずつ取れた。これからは守りも強化する。ホーム開幕戦へ向けて調子が上がってくるはずだ。エキサイティングな試合を見せたい」と前向きです。

また、浅沼監督も「1年前は(日光アイスバックスとの練習試合に)4対0で完敗したが、両試合とも2点を取れたことはひとつの進化で、(選手が)プロのスピードにも慣れてきた。ベテラン勢が盛り上げており、反省点を生かせば良い試合ができるのではないか」と冷静に分析します。

渡米するまでの予定で加入した平野選手

そして、チーム内で大きな存在となっているのが、平野裕志朗選手。米国NHL(ナショナルホッケーリーグ)を目指し、昨年はNHLの2部相当となるチームの試合にも出場するなど、“日本で一番NHLに近いプレーヤー”と言われています。渡米する11月下旬までの期間限定ながら9月からグリッツに合流しました。

グリッツにとって大きな選手」(菊地選手)、「スティックを弓のようにしならせて打つシュートがすごく、ゴールキーパーとして一番怖い」(小野選手)とチームメイトから評される平野選手。

新ユニフォームを披露した小野選手(左)、菊地選手(右2人目)、平野選手(右)、左2人目は浅沼監督

自分の夢は、日本のアイスホッケーをメジャーにすること。今までは大都会にチームがなかったが、横浜にチームができたことは、メジャーになるチャンス」といい、「(チームが)横浜という名を背負っていることは重い。アイスホッケーがメジャーな存在となった時、それが始まったのは横浜だ言われるように、自分はここに居る」と明確な目標を口にします。

父親も叔父もアイスホッケー選手という環境もあって、3歳の時から氷上に立ち、現在は米国を主戦場とする平野選手。初めてのプロリーグ参入となるチームでは、心強いポイントゲッターとなりそうです。

チアリーダーも躍動「一緒に応援を」

パフォーマンスを披露した「GRITS TOPAZ(グリッツトパーズ)」

この日、トレッサ横浜の「リヨン広場」で開かれた出陣式には、チアリーダーズの「グリッツトパーズ(GRITS TOPAZ)」も登場。

マウスシールドを付けながらも激しいパフォーマンスで会場を沸かせ、岩橋綾音キャプテンが「アイスホッケーをより身近に感じていただき、アイスリンク(スケート場)へ来場した方に楽しんでいただければ。一緒に応援していきましょう」と会場に呼びかけました。

初シーズンの「出陣式」はリヨン広場で開かれた

そのトパーズでディレクターをつとめ、自身もチアダンス世界大会で優勝経験などを持つ大嶋夏実さんが司会に立ったトークショーでは、菊地、小野、平野の3選手と浅沼監督が登壇。

グリッツブルー」と呼ばれる明るい水色の新たなユニフォームが披露され、4人が開幕への意気込みを語るだけでなく、平野選手は「アイスホッケーを初めて見る人は展開が早いので大変かもしれない。パック(黒く堅い円形のボール)も半端ない速さで、スピードに慣れないという声を聴くことが多い」と観戦時のポイントも解説しました。

トークショーではぶっちゃけ話も

時おり、選手の“ぶっちゃけトーク”も飛び出し、平野選手1本4万円するスティックを1年で30本以上使う「金食い虫」(同選手)であることや、小野選手は愛車のパワーウィンドウが故障したことを突如明かし、「トレッサ横浜で車を見たい。(新車を買う)そのためにも活躍しなければ」とユニークな決意表明でチームメイトと会場から笑いを誘っていました。

会場には、シロイルカをモチーフとし、公募で名前が決まった公式キャラクター「グルーガ」も初めて登場し、子どもたちから早速人気を集めていました。

公式キャラクターの「グルーガ」も初登場し、子どもたちに人気を集めていた

なお、グリッツの「ジャパンカップ2020(新型コロナで海外チームが参加できないため日本5チームのみの変則リーグ)」の開幕試合は、10月10日(土)・11日(日)に北海道苫小牧市で前年3位の王子イーグルスと対戦。

翌17日(土)・18日(日)には本拠地の新横浜で「ひがし北海道クレインズ(旧日本製紙クレインズ)」と2連戦が行われます。本拠地開幕戦のチケットは12日(月)から発売予定となっています。

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<レポート>アイスホッケーの楽しみ加わる、新横浜が本拠地「グリッツ」開幕(新横浜新聞~しんよこ新聞、2020年10月19日、開幕戦の様子)

プロアイスホッケーの「グリッツ」、トレッサで10/4(日)に初の“出陣式”(2020年10月2日)

【参考リンク】

横浜GRITS(グリッツ)の公式サイト

10月17日(土)・18日(日)ジャパンカップ2020「横浜GRITS対ひがし北海道クレインズ」新横浜開催チケット情報(横浜GRITS)


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