【レポート】新型コロナウイルスの影響と連日の猛暑で外へ出かけづらい2020年の夏。買物や小さな行楽先として、日吉や綱島から東横線で1本、20分以内で行ける「横浜駅」へ出掛けてみると案外楽しい、と話すのが港北区在住のライター・田山勇一氏。大きく変わる同駅の今をレポートしました。
東横線の改札至近に「シァル」出入口
東急東横線の利用者にも横浜駅が買物面で便利になっている。地下5階にある東横線の「正面改札口」(渋谷寄り)を出ると、目の前に「シァル(CIAL)横浜」の地下2階に直結する出入口が今年6月から新設された。
食料品を中心とした20件ほどのテナントが並ぶシァル横浜の地下2階は、「勝烈庵(かつれつあん)」や「つばめグリルDELI」といった著名店の総菜をはじめ、ミニスーパーの「Daily Table KINOKUNIYA(デイリーテーブルキノクニヤ)」や鮮魚店「吉川水産」「大川水産」、精肉店「ニュー・クイック」、青果店「横浜水信(みずのぶ)」など、日常の食料品が揃うフロア。
街中のスーパーに比べると若干値は張るものの、JR線などからの乗り換え時に買物し、自然な導線で東横線に乗ることができる。あまり調理したくない日の夕食などに活用したいところ。
さらに上のフロア「地下1階」にも和洋菓子やベーカリー、ワイン・日本酒専門店など20ほどのテナントがあって嗜好品も揃う。
ちなみに、「地下3階」には「ハマチカ」と名付けられた“フードコート”的な飲食スポットも設けられ、ちょっと一杯、という需要にも対応している。
8~10階は海を見渡せるレストラン街
CIAL(シァル)横浜が設けられているのは、6月にオープンした26階建ての駅ビル「JR横浜タワー」の地下部分。
上層階(13階~26階)はオフィスフロアだが、1階から10階まではJR東日本の商業施設「ニュウマン(NEWoMan)横浜」として、115のテナントによる一大買物スポットとなっており、東横線の改札口に近い地下エレベーターからも直接アクセスすることができる。
「GUCCI(グッチ)」(1階)や「TIFFANY(ティファニー)」(1階)といった高級ブランド店をはじめ、どちらかというと女性向けのファッション店舗が多いものの、「無印良品」(6階)や、神奈川県にこだわった「2416マーケット」(6階、雑貨・ベーカリー・ワイン・酒ほか)など、上の階へ行けば雑貨や食品を購入できる店も揃う。
8階から10階は14の店が並ぶレストランフロアで、店内から海まで見渡せる店もあり、少し贅沢なランチやディナーに活用したいところ。6階の「2416マーケット」にもパスタやピザ、クラフトビールを味わえる飲食店がある。
12階は自由に眺望が楽しめる屋上庭園
買物だけにとどまらないのがJR横浜タワーの特徴で、ニュウマン横浜の8階にはシネマコンプレックス「T・ジョイ横浜」に直結しており、計1200人超を収容できる9つのシアターを備える。
そして、必ず訪れたいのが12階にある屋上庭園「うみそらデッキ」と6階の広場「ニュウマンガーデン」で、いずれもビルの屋外へ出て自由に眺望を楽しむことが可能だ。
横浜港が眺められる12階の屋上庭園には、景色を眺めやすい位置にテーブルやベンチが置かれ、同じフロアにあるコンビニ「gooz(グーツ)」(スリーエフ運営)などで購入した飲食物を食すこともできるのが特徴。横浜駅の真上で海を見渡せる貴重なスポットとして、観光客にも喜ばれそうだ。
6階の屋上広場は、12階と比べて景色はそれほど期待はできないものの、緑の多いスペースは買物途中の息抜きにも最適(本記事の見出し左側の写真参照)。
屋外に設けられたエスカレーターは、JR横浜駅ホームを眼下に見ながらビルを降りていくという楽しみも。
このエスカレーターを降りていくと、4階から1階までが吹き抜けのアトリウムにつながっており、途中には横浜に関する展示物や椅子が置かれた休憩スペース、観光案内所なども設置されている。
これまでカフェなど以外では“居場所”の少なかった横浜駅で、自由に使える公開空間が多くなっているのは、散策の際にも嬉しいビルだ。
東横線跡の「別館」に食品スーパー
西口に建てられた駅ビル「JR横浜タワー」だけでも見どころは多いが、この夏までに新たなスポットが2つ加わっている。
一つはJR横浜タワーから「連絡デッキ」でつながった「JR横浜鶴屋町ビル」で、ここはかつて地上を走っていた東横線の跡地を使って整備された。
9階建てのJR横浜鶴屋町ビル自体は、ホテルや駐車場が多くを占めるが、下層階は「シァル(CIAL)横浜」の別館的な「ANNEX(アネックス)」と名付けられた商業施設となっている。
手軽に使える4つの飲食店に加え、東京23区と神奈川県内に展開するスーパーチェーン「文化堂」も設置されているのが特徴。
駅からは少しだけ歩くことになるが、比較的安価なスーパーへ直結しているのは、巨大ターミナル駅では貴重な“日常買物スポット”といえそうだ。
JR改札内に小さな“エキナカ”開業
そして、もう一つのスポットが今月8月10日にオープンしたばかりの「エキュートエディション横浜」。こちらはJRの改札内にあるため、JRに乗る際しか使えない。
メイン通路となっている「中央南改札口」と、桜木町寄りにある横浜中央郵便局に近い「南改札口」を貫通させて、ホームの下に5つの店舗と待ち合せスペースを設けたもので、いわゆる“エキナカ”施設だ。
横浜DeNAベイスターズが展開する飲食店舗「&9(アンド・ナイン)」や寿司&日本酒バー「横浜すし好」など飲食・カフェ4店舗と、シェアオフィス「STATION DESK横浜」の合計5テナントという小規模な“テナントゾーン”だが、JR横浜駅構内では数少ない飲食店街となっている。
ここには「サウスコート(SOUTH COURT)」と題した広場も新設されており、「踊り子」や「成田エクスプレス」、「サンライズ瀬戸・出雲」といった特急列車の発車時刻より早く着いても、待てる場ができたのは朗報といえそうだ。
新型コロナウイルスの再度の蔓延により、遠方へは出掛けずらい今夏。日吉や綱島の近所にありながら、新たな見どころの多い横浜駅を探索する“小さな行楽”を楽しんでみてはいかがだろうか。猛暑が続くなか、クーラーが効いていて涼しいエリアが多いのもありがたい。
【関連記事】
・<変わる横浜駅>JR改札内も刷新、“エキナカ”に待ち合わせ広場やカフェ(2020年8月3日、「エキュートエディション横浜」の記事)
・横浜駅での乗り換え時に「買物環境」拡充、駅ビルは6/18(木)から開業(2020年6月10日)
【参考リンク】
・シァル(CIAL)横浜(東横線の正面改札から本館地下2階はすぐ、食品中心)
・ニュウマン(NEWoMan)横浜(1階~10階、ファッション・レストランなど)
・シネマコンプレックス「T・ジョイ横浜」(ニュウマン横浜の8階から直結)
・エキュートエディション横浜(桜木町寄りのJR改札内)