
日吉に隣接した中原区木月4丁目の「第二機動隊」の訓練用プールで初めて行われた港北警察署の風水害対策訓練。ボートにはバランスよく乗らないと転覆してしまう危険性も。リーダーを決め、声を掛け合って漕ぐことが大切
大型台風や豪雨が襲来した際に備えます。港北警察署(大豆戸町、太刀野一夫署長)は、全国的に大きな被害が頻発している台風や豪雨などにより発生する風水害に備えた「風水害対策訓練」を、今週(2020年)8月5日午前に、日吉地区に隣接した中原区木月4丁目の綱島街道沿いにある「第二機動隊」内の訓練用プールで実施しました。
風水害や、水難事故が発生することを想定し、初動対応能力の向上と、安全管理の徹底を図るために前後の日をはさみ3日間にわたり行われたもので、講師に危機管理のプロフェッショナルと言われる、神奈川県警察本部から危機管理対策課即応対策チームの講師3人を招へい。
この日は、同署で勤務する県警本部直轄警察隊(関東管区機動隊)の8人や、区内の交番で勤務する地域課若手署員12人が受講参加し、「いざ」という時の風水害発生時の対応についての訓練を行いました。
例年、本格的な台風シーズンの前に鶴見川多目的遊水地(小机町)で訓練を行ってきましたが、今回の訓練は、今年4月から同署に着任した保坂誠警備課長が、前任地の県警本部で危機管理対策課で勤務していた縁もあり、同機動隊内の施設で初めて実施されたもの。
救命用ボートの組み立て方から乗り方、人命救助の方法や、川などで水に流されそうになる要救助者に紐(ひも)が付いたスローバッグや浮きとなるペットボトルやポリタンクなどを投げ込み、河岸に引き上げる場面を想定した投てき訓練を約1時間半にわたり行っていました。

スローバッグを川の流れに合わせ投げ込むのは難しい。相手に届くよう声を掛けて投げ入れる。ペットボトルやポリタンクなど、代替できるものがあれば使用することが可能。「水着でない着衣で水の中に入ると(身体が)重い」との声も
保坂課長は昨年(2019年)10月に襲来した台風19号による大きな被害を受けた相模原市緑区の土砂崩れ現場にも対応したこともあり、「昨年は多摩川の氾濫(はんらん)で川崎市の高津区や中原区エリアが浸水するなど、この地域エリアでも、風水害の危機がより迫ってきていることを感じます」と、自身が現場で目の当たりにした災害現場での経験も踏まえ、若手署員らとその対応力を磨きたいと語ります。
訓練に参加した新横浜駅前交番(新横浜2)勤務の鈴木裕崇(ひろたか)さんも、「初めてボートを漕ぎました。ボートに乗った全員が呼吸を合わせないと、漕ぐのは難しいと感じました。訓練で学んだことを、いざ災害が発生した際の現場でも活かし、一人でも多くの人々を助けることができれば」と、災害発生時に向けての決意を表明します。
想定外の被害甚大な豪雨災害が7月中旬には九州(熊本県、大分県など)、同下旬には山形県で発生したこともあり、「身近な場所」での風水害への対策がますます求められる状況下での、同署による新たな学びの機会は、一人ひとりの署員の適応能力の向上のみならず、地域社会での防災対策のさらなる必要性を、より強く訴えていくことにつながりそうです。
【関連記事】
・<新横浜公園>台風19号で鶴見川から流れ込んだ水は過去3番目の量に(新横浜新聞~しんよこ新聞、2019年10月21日)
・<コラム流域思考>暴れ川だった「鶴見川」の記憶、未来にそなえる流域思考の連携へ(2017年5月1日)※鶴見川の治水対策について
・神奈川県警、木月4にある「第二機動隊」(警察学校併設)のマイクロバスなど売却(2016年11月30日)
【参考リンク】
・港北警察署のサイト ※一般的な風水害の初動対応は消防が対応、大規模災害時には自衛隊も交え対応することになる
・港北警察署案内(同)※警備課についての詳細あり。直轄警察隊は他の都道府県で起こる大規模災害に応援部隊として派遣されることも
・暮らしの安全情報~台風・竜巻や大雨に備えて(神奈川県警察本部のサイト)