<情報拡充>土地の「成り立ち」や「リスク」が見える便利な防災地図サイト | 横浜日吉新聞

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今、住んでいる場所災害リスク土地の成り立ちを調べてみませんか。国土交通省は、各種地図を一元的に閲覧できる「ハザードマップポータルサイト」で、大規模盛土(もりど)造成地の情報をこのほど追加。特に日吉や高田エリアで目立つ、盛土によって造成された住宅地なども容易に知ることができるようになっています。

地図上からあらゆる防災情報を探すことができる国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」

このハザードマップポータルサイトでは、洪水の浸水想定区域土砂災害の警戒区域、道路防災情報などを地図上や航空写真に重ねて表示できる機能を備えており、土地が持つリスクが視覚的に分かるのが特徴。

国交省が「住民の方々の避難を迅速化し『逃げ遅れゼロ』を目指す取組みの一つ」として、2007(平成19)年4月に開設して以降、提供情報の拡充をたびたび行っており、今月(2020年)7月15日には、全国の市区町村が個別に公開していた「大規模盛土造成地マップ」を集約し、2万5000分の1相当の精度で表示できるようにしています。

大規模盛土造成地とは、盛土の面積が3000平方メートル以上である造成地や、盛土をする前の地盤面の水平面に対する角度が20度以上で、かつ盛土の高さが5メートル以上の造成地のこと。

「大規模盛土造成地」の定義(国土交通省「大規模盛土造成地の滑動崩落対策について」より)

こうした大規模な造成地は「その宅地が必ずしも危険であるということではありません」(横浜市建築局のQ&A)との見解ですが、東日本大震災などの大地震では、大規模に谷を埋めた造成宅地が崩れたり、沈下したりするなどの被害が発生していることから、全国規模で調査が行われていました。

横浜市では、宅地造成等規制法が施行された1962(昭和37)年以降に、「港北ニュータウンに代表されるような、傾斜地の山を切り崩し、谷部を埋め立てて平坦化する大規模なもので、宅地造成や開発許可の基準に基づき造成されおり、市域北部(港北区、緑区、青葉区、都筑区)及び市域南部(港南区、金沢区、栄区)に多く見られます」(市建築局のページ)というのが特徴。

地図上から「大規模盛土造成地」の位置を確認できるようになった(「重ねるハザードマップ」より)()画像説明からのリンクはいずれもパソコンで表示の場合のみ有効です。スマートフォンの場合はリンク先で情報選択が必要です。

ハザードマップポータルサイト上では、「重ねるハザードマップ」で見たいエリアを表示したうえで、「すべての情報から選択」をクリック。「土地の特徴・成り立ち」を選ぶと、一番下に「大規模盛土造成地」の項目が現れ、この部分をクリックすると、地図上に大規模盛土造成地の位置が表示されます。

日吉・綱島・高田の周辺で見ると、大規模盛土造成地日吉本町から下田町、高田エリアにかけて点在しており、一方で、綱島は綱島台の一部を除いてほとんどなく、日吉1~7丁目や箕輪町も、日吉駅近くの一部にとどまっています。

「地形分類(人工地形)」を表示し、詳細を知りたい場所でクリックすると土地の成り立ちや地形の自然災害リスクが表示される(「重ねるハザードマップ」より)

ただ、大規模盛土造成地はなかったエリアでも、「土地の特徴・成り立ち」から「地形分類(人工地形)」を選ぶと、多くが「盛土地・埋立地」であったり、山地や台地の縁などの斜面を切取りにより造成した「切土地」であったりすることが表示され、「高さが十分でない場合には浸水のリスクがある」「切取り斜面によっては、大雨や地震により斜面崩壊のリスクがある」といった解説も。

「地形分類(自然地形)」を選択すると、すべての土地で土地の成り立ちや地形の自然災害リスクを知ることができる(「重ねるハザードマップ」より)

また、「地形分類(自然地形)」の情報を選択すると、すべての土地で一般的な自然災害リスクを知ることが可能となっています。

たとえば、綱島や日吉に目立つ「氾濫平野」は、「河川の氾濫に注意。地盤は海岸に近いほど軟弱で、地震の際にやや揺れやすい。液状化のリスクがある」と紹介。

日吉本町や下田町、高田エリアに多い「台地・段丘」は、「河川氾濫のリスクはほとんどないが、河川との高さが小さい場合には注意。縁辺部の斜面近くでは崖崩れに注意。地盤は良く、地震の揺れや液状化のリスクは小さい」との評価。

また、日吉本町4丁目の周辺などに広がる「後背低地・湿地」は「河川の氾濫によって周囲よりも長期間浸水し、水はけが悪い。地盤が極めて軟弱で、地震の際は揺れが大きくなりやすい。液状化のリスクが大きい」との表示。

矢上川沿いの一部で見られる「旧河道」では、「水はけが悪い。地盤が軟弱で、地震の際は揺れが大きくなりやすい。液状化のリスクが大きい」と説明されています。

このほかにも、「災害リスク情報」では「洪水浸水想定区域」や「土砂災害危険箇所」などを表示することも可能で、すべての土地に何らかのリスクを抱えていることが分かります。

「重ねるハザードマップ」には過去半世紀ほどの航空写真を表示する機能もあり、防災以外でも活用できそう(写真は1945年~50年の日吉駅付近

情報が多すぎるため、あまり見すぎると心配事が増えてしまいそうですが、あらかじめ土地の特徴を知っておくことで、防災意識を高めることにもつながりそうです。

【関連記事】

横浜市が「古地図」を復活公開中、昭和初期と30年代の日吉・綱島・高田の姿(2020年6月18日、古い地図から過去の土地利用を知ることも可能)

<町名別の数値公開>日吉や綱島はどこも「揺れやすい土地」であるとの認識を(2016年4月20日、揺れやすさの目安を知ることができるサイトも)

【参考リンク】

ハザードマップポータルサイト~身のまわりの災害リスクを調べる(国土交通省)

重ねるハザードマップで「日吉駅周辺」を表示(左側または上部から情報を選択し、地図上に重ねることができる)


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