未知のウイルス(新型コロナウイルス)への懸念から、気軽に行楽へ出かけづらくなっている今年(2020年)3月、春をいっぱいに感じ、目も心も癒されるようなスポットが綱島エリアに登場し、大人から子どもまで散策を楽しむ様子がみられています。
そのスポットは、大綱橋に近い鶴見川の河川敷にある「菜の花畑」こと、ビオトープ(生きものの暮らす場所)。
綱島西の高水敷(こうすいじき)と呼ばれる緑地帯にある100メートルほどのエリアには、約5万株の黄色い菜の花が先週後半ごろから咲き乱れ、昨日(3月15日)には満開に。
このビオトープは、12年前の2008(平成20)年から、港北区制70周年の記念事業として、この緑地帯の一部を横浜市港北区が占用、綱島地区連合自治会(佐藤誠三会長)と、河川敷近くに本部を置くNPO法人鶴見川流域ネットワーキング(綱島西2)が共同で管理しています。
「蝶(ちょう)の繁殖や訪花を促(うなが)す」ことを目的としたビオトープとして、大綱橋に近い最も下流に近いエリアでは、ハナウド、シロツメクサ、小松菜(菜の花のなかま)、野草のハマカンゾウやノカンゾウを育成し、キアゲハなどの蝶の繁殖や訪花を誘導する事業を行っているとのこと。
この緑地帯では、保育園や幼稚園児の散歩先として子どもたちが走り回ったり、天気の良い日は家族でお弁当を広げたり、ただ川や鉄橋を眺めたりと、「のんびり過ごせる川辺のスペース」として、綱島周辺では有名な“癒しスポット”としての輝きを放っています。
昨年(2019年)は、菜の花の育成がうまくいかなかったとのことで、今年、河川敷の通行者や、鉄橋を渡る東急東横線の車窓からも黄色い花畑を楽しめる光景が広がることに安堵(あんど)の声も。
多く来訪者が写真を撮影したり、周辺で観賞したりと、今年は、菜の花を囲んでの風景をゆっくりと楽しめる日々となりそうです。
なお菜の花は、来月4月頃までの開花が予想されているとのこと。
「低温で、小雨があれば、花は比較的長くもちやすくなる」(同NPO法人)とのことです。
【寄稿】12年前からビオトープの管理・運営に携わり、現在も毎日様子を見ている、NPO法人鶴見川ネットワーキング代表理事で、慶應義塾大学名誉教授の岸由二(きしゆうじ)さんが、現在の「菜の花」の様子についての文章を寄せてくれました。
◆かわべ なのはな はなざかり(川辺 菜の花 花盛り)◆
綱島の鶴見川川辺に、東西500メートル、面積3000平方メートル規模の高水敷(こうすいじき)と呼ばれる緑地があります。
いまその真ん中で、ナノハナ(菜の花)満開。国の管理する河川敷の一部を港北区が占用し、綱島の町内会とNPOが共同で管理をすすめるその花園は幅100メートル、5万株前後のナノハナが、咲き誇っています。
といっても当地は、実は花をめでる畑ではなく、川辺で暮らすチョウたちを育む「ビオトープ(生息場所)」というのが正式な位置づけです。モンシロチョウを育てるナノハナばかりではなく、モンキチョウを育てるシロツメクサ、キアゲハを育てるハナウド、アゲハを呼ぶキスゲなども大切にされています。
晴天の、ぽかぽか陽気の午前中なら、50人、100人規模の保育園、幼稚園児が歓声をあげて遊ぶ緑。休日は家族づれでキャンプ場のような賑わいも見せる鶴見川・綱島川辺の高水敷。3月下旬から4月にかけて、花と、チョウと、子どもと市民の、仰天の賑わいが広がります。
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【参考リンク】
・鶴見川河川敷の「菜の花畑」の位置(グーグルマップ)