塾高卒業生らが結束の「クレド交響楽団」、12/28(土)日吉で年末公演 | 横浜日吉新聞

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若さほとばしるクラシック演奏会で、今年最後の想い出を――。慶應義塾高校(日吉4)・慶應義塾女子高校(三田2)の卒業生らが創設した「クレド交響楽団」は、今週末(2019年)12月28日(土)14時から16時まで(開場13時30分)、日吉駅前の慶應義塾大学日吉キャンパス協生館2階・藤原洋記念ホール(藤原ホール)で、第3回演奏会を開催します。

今週末(2019年)12月28日(土)14時時から16時まで、日吉駅前・藤原洋記念ホールで開催される「クレド交響楽団」演奏会の案内チラシ(主催者提供)

今週末(2019年)12月28日(土)14時時から16時まで、日吉駅前・藤原洋記念ホールで開催される「クレド交響楽団」演奏会の案内チラシ(主催者提供)

楽団の由来となる「クレド」は、ラテン語で「信条、志、主義主張といった意味」(同楽団サイト)。

昨年(2018年)3月に、両高校メンバー在学生による「ワグネル・ソサィエティー・オーケストラ(高校ワグネル)」の定期演奏会で、ロシアの作曲家として知られるショスタコーヴィッチの交響曲第5番を演奏披露、成功を収めたことから、卒業直後の(同)5月に有志らが結集し、同楽団を創設したといいます。

当時の定期演奏会での指揮を担当し、クレド交響楽団の正指揮者としての創設者となったのは、慶應義塾大学在学、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラのヴァイオリン・パートにも参加している豊平青(しょう)さん

豊平さんは、ショスタコーヴィチの交響曲5番に作曲者が込めた意味をできる限り詳細に読み取るため、同作品を高校の卒業研究のテーマにも据えたとのこと。

ショスタコーヴィチ自身が「(交響曲第5番の生い立ちに深く関わっている交響曲第4番について)この作品は私の創作活動のクレドである」(同楽団サイト)との記述を残したことから、優秀論文ともなったというその研究の成果、定説にとらわれずに「音楽の本質」を突き詰めた末の一つの結論として、(豊平さんによるその)新しい解釈は団員全員に共有されたと、塾高在学時から一緒に豊平さんと歩んできた、同楽団主宰の山本悠揮さんは説明します。

クレド交響楽団の公式サイト(写真・リンク)。今回の演奏会は今年の夏(7月下旬)頃から企画を開始。運営担当が13人、全体では約70人が携わっているという

クレド交響楽団の公式サイト(写真・リンク)。今回の演奏会は今年の夏(7月下旬)頃から企画を開始。運営担当が13人、全体では約70人が携わっているという

そんな豊平さん、楽団メンバーらが出会った「音楽第一」をモットーとし、楽曲、ひいては「音楽の本質」に迫るような演奏を常に目指しているという同楽団は、現在は高校ワグネルの卒業生に限らず、「幅広いバックグラウンドの団員」で構成されているとのこと。

今年8月に東京都内で行われた第2回演奏会では、フランスのヴァイオリニストの巨匠として知られる、ジェラール・プーレ氏との共演も果たしたとのことで、「プーレ氏との共演で成功を収め、大きく成⾧したクレド交響楽団の若い奏者たちが、モーツァルトとベートーヴェンという、古典派の2大巨匠の傑作交響曲を奏でます。当団が、地元・日吉で奏でる豪華な年末コンサートは必聴です」(山本さん)と、当日の多くの来場を呼び掛けています。

モーツァルトとベートーヴェンの「古典の傑作」を初披露

指揮者の豊平さんは、4歳からヴァイオリンを弾いていたとのことですが、「音楽一筋で生きてきた」わけではなく、小・中学生のころは野球に打ち込んでいたとのこと。

案内チラシの裏面には、「クレド交響楽団」についてや、指揮者の豊平青さんの経歴などが詳しく記されている(主催者提供)

案内チラシの裏面には、「クレド交響楽団」についてや、指揮者の豊平青さんの経歴などが詳しく記されている(主催者提供)

高校から塾高に入学するにあたり、「野球を続けるか、音楽をとるか迷いました。そのときに、これから先の人生でより⾧く自分の人生を豊かにしてくれるのは(自分にとっては)音楽であると考え、高校の伝統あるオーケストラ部、高校ワグネルに入部を決めました」と、音楽の道を選ぶことになったきっかけを説明します。

豊平さんは、「一人での演奏は幼いころからやっていましたが、オーケストラでのヴァイオリン演奏は初めてだったので、非常に楽しく、新鮮なもの」と感じたといい、「最初はコンサートマスター(ヴァイオリンパートのリーダーであり、オーケストラのリーダーも務める役割)になるつもりでした」と、当時を思い起こし、振り返ります。

しかし、数々の偉大な楽曲に演奏者として内側から接するようになったという豊平さんは、「このように演奏すればもっと音楽的だ」とか、「この部分には作曲家のどんな気持ちがこもっている」ということを“理解できる自分”に気づいたとのこと。

YouTube(ユーチューブ)(写真・リンク)でも一部演奏会の様子を発信している

YouTube(ユーチューブ)(写真・リンク)でも一部演奏会の様子を発信している

それらのアイデアをオーケストラに反映しうる立場は指揮者だったため、「高校1年生の時に指揮の勉強を始め、自分が当時もっとも演奏したいと思っていたショスタコーヴィチの交響曲第5番を指揮、これが本当に会心の演奏で、1年かけて楽譜を猛勉強し、世界の誰も知らなかったこの曲のメッセージを世に放った、そういう感覚でした」と、指揮者としての手応えも感じたという豊平さん。

「当初は、“人生一度きり”のつもりでこの曲を指揮したのですが、同じ達成感をまた味わいたいという気持ちと、他の曲の価値も自分なら伝えていけるのではないかと思うようになった」(豊平さん)。

結果、指揮を続けることになった豊平さん、そして豊平さんの考えと行動力に共感するメンバーらによる、新たな交響曲の演奏という「挑戦」が、今回もここ本拠地・日吉で生まれることに。

「クレド交響楽団」ツイッターでも、演奏会の情報など、こまめにツイートしている

「クレド交響楽団」ツイッターでも、演奏会の情報など、こまめにツイートしている

モーツァルトの人気曲・交響曲第38番「プラハ」と、ベートーヴェンのやはり真骨頂とも言える作品「交響曲第7番」を、どのように豊平さん、山本さんたちが奏でるのか。

若い奏者と傑作のエネルギーが融合した時、あなたは音楽の持つ巨大な力を目の当たりにすることでしょう」と語る、豊平さん、山本さんほか、同楽団メンバーたちの熱き想いを反映させた演奏会に、慶應関係者のみならず、日吉近郊の音楽ファンたちからの熱き視線が注がれていきそうです。

なお、演奏会は全席自由で1000円。ホームページ上やツイッターで購入予約可。入場は小学校1年生から可能とのことです。

【参考リンク】

クレド交響楽団公式サイト

楽団紹介(クレド交響楽団)※楽団設立の経緯、名前の由来など

クレド交響楽団ツイッター

クレド交響楽団第3回演奏会チケットお申し込みフォーム(Googleフォーム)※「残り50席を切り、当日までに完売する見込み、お早目にお申込みください」(2019年12月24日22時45分現在)とのこと

塾生指揮者豊平青とクレド交響楽団を追う(慶應塾生新聞、2019年12月17日)


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