「風を切る」心地良さを伝えたい、バイクと生きる日吉の店主の独り言 | 横浜日吉新聞

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法人サポーター会員による提供記事です】バイクの楽しさはどんなところにあるのでしょう。「それは、“風を切る”心地良さ、でしょうか」と語る、日吉の二輪車店の店主の独り言。

日吉7丁目で「2輪の店よしい」を営む吉井昌彦さんは日吉生まれ、小学校3年生まで箕輪町で過ごす。「物心付いた時からバイクが身近にありました」と、懐かしい幼少時を振り返る

日吉7丁目で「2輪の店よしい」を営む吉井昌彦さんは日吉生まれ、小学校3年生まで箕輪町で過ごす。「物心付いた時からバイクが身近にありました」と、懐かしい幼少時を振り返る

日大中学・高校がある箕輪町にも隣接した日吉7丁目「2輪の店よしい」を営む吉井昌彦さんは、日吉生まれ。

先代の故・吉井和男さんが綱島街道沿いの旧アピタ日吉店向かい(箕輪町2)に1961年に設立した日吉ホンダモーターが、2017(平成29)年4月に東急新横浜線(2022年度下期=2022年10月~2023年3月末開業予定)工事の影響で閉店

現在地に翌5月に移転し、はや2年4カ月もの歳月が流れようとしています。

旧店があった敷地内の家で育ったという吉井さん。日吉駅に近い桜井産婦人科(日吉本町1)に生まれ、日吉台小学校(同)で小学校3年生まで過ごしたという吉井さんは、「箕輪町は自分にとっての大切な“ふるさと”とにかく自然がいっぱいで、ザリガニを獲ったり、山の上の公園や(当時入ることができた)洞窟で探検したり、崖の上に上り、当時流行していた炭酸飲料を飲んだりしたことが思い出されます」と、元気いっぱい過ごしたという、当時の箕輪町での懐かしい想い出を振り返ります。

日吉ホンダモーターの別拠点があった川崎市高津区に移り住んだ吉井さん。しかし、社会人になり「今は亡き父にレールを敷かれていたのでしょうか」と、迷いもなく“バイクと生きる”店を選択

父や親族が経営する日吉ホンダモーターに入店、以降30年超もの時間をこの「バイク業界」とともに生きてきた中で、当時は今とは全く違う業界の隆盛があったといいます。

「16歳になったらバイク」の風潮、数年で乗り換えも当たり前

吉井さんが就業した1985(昭和60)年当時は、バブル経済に突入した頃。「16歳になった人は、バイクの免許を取るのが当たり前、またバイクは新車を購入し、乗り換えるという価値観が主流の時代でした」と、多くの人々がバイクに高い関心を持ち、またバイクを乗り換えることで、中古バイク市場も活況を呈していたと、まさに“賑やかだった”という当時を懐かしみます。

「2輪の店よしい」は、日大中学・高校(箕輪町)にも近い株式会社宮崎通信「パソコン救急センター日吉店」、ローソン港北日吉七丁目店の隣にある

「2輪の店よしい」は、日大中学・高校(箕輪町)にも近い株式会社宮崎通信「パソコン救急センター日吉店」、ローソン港北日吉七丁目店の隣にある

しかし時代はバブル崩壊、長い「経済の低成長」時代、さらには劇的な少子高齢化に加え、インターネットで誰もが世界中の情報をパソコンやスマホで入手できる時代へ。

「鉄道やバスといった公共交通が整備された反面、オートバイ用の駐輪場がなかなか整備されず、原動機付自転車(原付バイク)に乗る人が減ってきているという印象です」と、バイクを乗り換えるところか、バイクに乗る人の減少も、長い業界経験の中で感じてきたといいます。

それでも、吉井さんたちの対応やサービスに魅了され、多く地域や人と人とのつながりから、バイクの購入客や修理などのリピーターも獲得してきた同店。

「結果、バイクを公私で必要としている、またバイクが大好きなお客様に支えられていると感じます。ぜひ、バイクや二輪車に関して不安なことがあれば頼ってもらえれば」と、大手の系列店などとは異なる、“地域の店”だからこそ、できることがあると感じる日々とのこと。

バイクの魅力は「風を切り」走る瞬間、自然や人とのふれあいも

バイクの魅力について吉井さんに聞くと、「なんといっても、風を切り走る瞬間。一般の乗用車などとは異なり、閉め切っていない空間の中、心地よい風を感じ、自然や、旅先で出会った人とふれあいながら走ることですね」と、その魅力を熱く語ります。

若い世代にも、バイクの魅力を語り継いでいきたいと店主・吉井昌彦さんは感じている(写真左は息子の友佑さん)

若い世代にも、バイクの魅力を語り継いでいきたいと店主・吉井昌彦さんは感じている(写真左は息子の友佑さん)

オープンカーなども一部「開放」した空間を走りますが、「バイクは小回りが利くことも魅力ですね。細い道や山道を登るのも開放感をより感じられる貴重な時間。車にはない楽しさがあると思います」と、1980年代に流行したバイクツーリングさながら、グループで、そして個人で全国を旅することの楽しさ、その魅力を、より若い世代にも伝えていきたいとのこと。

一方で、二輪車の新車購入ユーザーは、長期的に高齢化が進み、若いユーザーが減少傾向に。二輪車の使用状況をみると、使用日数、走行距離ともに減少、需要形態では、吉井さんが感じてきた通り、新規での購入が減少。一時中断や再度の購入を下回る水準になっているといいます(2018年3月、一般社団法人自動車工業会資料)。

「2輪の店よしい」公式サイトでも、息子の友佑さんと旅した千葉県銚子市の犬吠埼灯台の写真をトップページに採用。「風を切る」バイクツーリングの魅力を伝えたいと吉井昌彦さん

「2輪の店よしい」公式サイト(写真)でも、息子の友佑さんと旅した千葉県銚子市の犬吠埼灯台の写真をトップページに採用。「風を切る」バイクツーリングの魅力を伝えたいと吉井昌彦さん

1台のバイクと、より長く付き合う時代になったと言えると思います。新規購入、乗り換えはもちろん、下取り、そして何より、“愛車と長く付き合う”メンテナンスについても、地域のバイク店らしいアドバイスをさせていただいているのですよ」と、メーカーによらず、真にその人に合った「バイク」との付き合い方に着目し、30数年のキャリアを活かした、日々のバイク生活のサポートを行っています。

特に、今社会的問題にもなっている自動車の「あおり運転」についても、「人とのふれあいよりも、ゲームなどバーチャルな世界を楽しむ人々が増えているのでしょうか。自分が悪いのにイライラする人、自分本位の車の運転をする人が増えているように感じます。もし、運転マナーが良くない人と出会ってしまったら、クラクションを鳴らさない道をまずは譲るといった対応も必要だと思います。くれぐれも事故やトラブルに巻き込まれないよう、自身の運転で予防することが大切です」と、自分の身を守るための運転術も身に付けてもらいたいと感じているとのこと。

二輪車をよりアクティブに“愉しむ”、おすすめツーリングスポット

移転後は自転車も扱う。新車販売(店頭・取り寄せ)や、パーツの変更、パンクなどの修理にも対応している

移転後は自転車も扱う。新車販売(店頭・取り寄せ)や、パーツの変更、パンクなどの修理にも対応している

移転後、新たに自転車の取り扱いも開始したことから、「特に女性客が増えました。バイクとはまた異なる性質の乗り物ですが、パンク修理やチューブ交換など、より細かな仕事が増えていますが、何よりお客様が頼ってくれて、笑顔で帰ってくれるのが嬉しい」と、『2輪の店』と銘打つ店名にも恥じない仕事をこれからも行っていきたいという吉井さん。

特に、一般の自転車から、電動自転車への乗り換えも引き合いが多いといい、「意外と、乗り換えてしまったら楽で助かりました。もっと早く乗り換えていれば」という声もたびたび寄せられているとのこと。

また、これから本格的な秋に向かう季節、ツーリングにも「最適な時期」だという吉井さんがおすすめする訪問スポットについても聞くと、「千葉県房総半島、内房の温泉ですね。館山(館山市)の魚料理店は最高です。旬の魚を店主に聞いて、採れたてをいただくととても美味しい」と話します。

「二輪車に関するお困り事はぜひご相談ください」と店主の吉井昌彦さん

「二輪車に関するお困り事はぜひご相談ください」と店主の吉井昌彦さん

また、群馬県方面への旅では、「横川(安中市)・本舗おぎのやの『峠の釜めし』が最高です。山梨県や静岡県方面では、富士山を見ながら自然あふれる道を“走りまくる”のも楽しい。9月から10月は涼しくなってくるので、ぜひ目的を持ってツーリングに出てもらえたら」と、吉井さんは、より楽しい“二輪車ライフ”へと、多くの来店客を誘います。

鉄道の建設、大型再開発といった、日吉・箕輪町周辺の激動の時代に押し流されながらも、「変わらぬバイクの楽しさ」を伝える吉井さんの存在は、“地域の身近な二輪のプロフェッショナル”として、これからも、より多くの日吉に行き交う人々に親しまれていきそうです。

【関連記事】

綱島街道沿いの老舗バイク店が日大高校近くに移転、新たに自転車も取り扱いへ(2017年5月4日)※移転時の記事

綱島街道を眺めて半世紀、旧アピタ前のバイク店が鉄道工事影響で4月閉店(2017年2月13日)

【参考リンク】

2輪の店よしい公式サイト(2018年1月開設)

2輪の店 よしいFacebookページ

2輪の店 よしいの場所(グーグルマップ)

法人サポーター会員:箕輪町商工会 提供)


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