“信号マン”やロック奏でる歌手、そしてあの著名な着ぐるみも総動員――子どもたちに交通安全を伝える新たな試みが大きな話題となっています。
神奈川県警察の都筑警察署と港北警察署は、先月(2019年)6月28日(金)の午前に、高田エリアにも近い新吉田町にある新吉田第二小学校(土屋俊朗校長)での交通安全教室を実施しました。
都筑区内で行われているこの「ステージ方式」での交通安全教室は、同小学校の児童が港北区のみならず、都筑区内からも通っていることから、都筑署と港北署と合同で実施が決定。
「この驚きのステージを、港北区の皆さんにも知ってもらいたくて」と語る、都筑署・交通課の下山(しもやま)一夫さんは、年3、4回しか開催できないこの交通安全教室が、都筑区内で“引っ張りだこ”で、順番待ちの状態であると説明します。
全校生徒が集まる体育館で、まずは都筑署の生活安全課担当から、「万引きは絶対にしないで、自転車には鍵をかけて、悪い人にはついていかないで」といった夏の犯罪に巻き込まれないためのレクチャーを実施。
続いて、都筑区内で地域に密着した活動を行うことで知られる、歌手の広井顕真(けんしん)さん、ベースのキューピー金子さんが登場するや、「交通安全ロック」などの楽曲を披露、子どもたちのボルテージは一気に最高潮に。
下山さんが前任地の鶴見区での勤務時代から「つながりがありました」という、ヤマト運輸株式会社神奈川主管支店(鶴見区安善町)の加藤良昭さんがコラボのきっかけを語る、同社のマスコットキャラクター「黒ネコ・白ネコ」の着ぐるみも登場、ステージを一気に盛り上げていました。
あの劇団員は誰?地域で始めた自動車学校の「社会貢献」
続いて登場したのは、「劇団ルール」という謎の演劇集団。「信号マンが願う歩行者と自転車の交通安全」というタイトルの演劇を、約30分間にわたり披露しました。
この劇団の「正体」は、1963年創業の老舗自動車学校「日吉自動車学校」(三栄興業株式会社・日吉6、中村孝雄社長)の教職員。
“交通安全のお姉さん”こと、辻暁子(あきこ)さん、“信号マン”こと石塚良雄さんの、2人の学科の指導員が、2003(平成15)年頃から、鹿島田(川崎市幸区)の商店街で、交通安全のビラ配りのボランティアを始めたことから、活動がスタートしたといいます。
そのインパクトからか、活動を続けていくうちに神奈川県警察との接点も生まれ、警察とのコラボレーションでの交通安全キャンペーンへの参加も増加。2016年春から、都筑署との「演劇」を披露する形での交通安全教室を行っています。
“ルールくん”扮(ふん)する、永迫淳さんや他の職員も交え、「劇団ルール」として活動。教習の合間に、ヒヤリングに基づく「その学校ならでは」の特色を織り交ぜた台本を執筆、稽古(けいこ)も行い、本番に臨んでいるとのこと。
辻さんは、「“信号マン”は、誰ですか?と、かつてのボランティア姿を、憶(おぼ)えていてくれた生徒が入校してきてくれたんです。この教室の帰り道に、子どもたちが、劇中の歌を歌い、保護者に語っている姿を見るのも感激でした」と、その活動に手応えを感じる瞬間があると、熱くこの寸劇への想いを語ります。
自動車学校、宅配企業、そして地元歌手をも巻き込み、「交通安全」を“熱く”訴える都筑・港北署の試みは、近郊の学校教育、何より、日々通学路で危険と向き合う子どもたちの「心」にも、交通安全へのより強い意識を生み出すきっかけとなりそうです。
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