<沿線レポート>幼児に最適化された“遊びの国”、皇室ゆかりの「こどもの国」は53年目 | 横浜日吉新聞

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【日吉・綱島・高田からの沿線レポート】青葉区奈良にある「こどもの国」が1965(昭和40)年に開園してから今月(2018年5月)5日(土・祝)で53回目の誕生日を迎え、当日は中学生までの入園料が無料となります。親子二代や三代にわたって“遊びつくした”人も多い同園ですが、名前は知っていても、実際に訪れたことがない人もいるのではないでしょうか。かつて「港北区内」だった場所にある同園を訪ねてみました。

「こどもの国」は1965(昭和40)年に開園してから今月(2018年5月)5日(土・祝)で53回目の誕生日を迎える

「こどもの国」は、その名の通り、子どもに最適化された“巨大な公園”で、特に小学生低学年くらいまでの子どもが喜ぶように作られているのが特徴です。建設前には「『ニッポンのディズニーランド』ともいえる『こどもの国』が作られる」(昭和36=1961年5月5日のニュース映画「生れかわる田奈弾薬庫」)とも言われていました。

確かにディズニーランドも、こどもの国も、子どもが喜ぶ施設であるという共通点はありますが、ウォルト・ディズニーが創り出したアニメ作品の世界観をもとに、テクノロジーも駆使して創り上げた“夢の国”に対し、こどもの国は日本の皇室と関わりが深いという背景もあり、日本の子どもの「遊びの原点」ともいえる素朴な楽しさを追求している点に違いがあります。

2015年に行われた50周年の式典など、天皇・皇后両陛下はたびたび「子どもの国」を訪れている(園内の掲示写真より)

こどもの国は、現在の天皇陛下が皇太子だった1959(昭和34)年に正田美智子さん(現皇后陛下)と結婚した際、全国から寄せられたお祝い金を基金とし、国費や寄付などによって当時は港北区内だった「旧陸軍田奈弾薬庫」跡地に作られました。

そのため、天皇・皇后両陛下をはじめ、幾度も皇室の人々が訪れており、最近では2015年の50周年記念式典に両陛下が参列し、園内を見学しています。

こうした経緯もあり、当初は国営でしたが、現在は社会福祉法人こどもの国協会による独立採算の運営に変わっています。また、遊園地的な機能も一部持つ同園ですが、児童館や児童公園(遊園)と同様の「児童厚生施設」という位置付けとなっており、園内に“儲けのにおい”がほとんどしないのも特徴といえます。

「こどもの国」の公式サイト

たとえば、入園料は大人600円小・中学生は200円、3歳以上の幼児は100円と“公営施設”レベルです。

別料金となっている園内施設のプール(300円または600円)やスケート場(150円または400円)、バーベキュー場(100円~1000円)、乗り物(100円または150円)、ボート(400円または600円)などの料金も低く抑えられており、「高い」と感じるようなことは、ほとんどないのではないでしょうか。家計には大変ありがたい行楽施設となっています。

少し前置きが長くなりましたが、そんな巨大公園「こどもの国」を写真でレポートします。なお、毎週「水曜日」が休園日で、きょう5月2日(水)もお休みですので、明日(5月3日)以降に訪れてみてください。

かつては港北区内だった青葉区奈良にある「こどもの国」ですが、日吉から同地へは、旧区内の端から端まで移動することになり、当時の港北区がいかに広かったかがわかります。電車だと所要は50分ほど。一番速いのがこちらのルートで、菊名駅で横浜線に乗りかえ長津田駅からこどもの国線に乗りかえます。運賃は日吉から片道524円(運賃表示はいずれもICカード)、綱島からは494円です。(グーグルマップより)

日吉本町駅や高田駅からの移動におすすめなのが「グリーンライン」を使って終点の中山駅へ行き、横浜線とこどもの国線に乗り継ぐルートです。運賃は少し高い(日吉から片道607円)のですが、結構楽です。(グーグルマップより)

運賃を安くしたい時は、遠回りですが、同じ東急の自由が丘から大井町線や田園都市線を乗り継いで移動するルートもあります。時間は少しかかりますが、日吉・綱島から片道453円と最安です。(グーグルマップより)

JR横浜線と東急田園都市線が乗り入れている長津田駅が、こどもの国線との乗り換え駅です。

こどもの国線は、通常1時間に3本(20分に1本)しかないのですが、ゴールデンウイーク中など多客期には10分に1本に増発されることも。 なお、こどもの国線の運営は東急が行っていますが、別の鉄道会社なので別途運賃がかかります(片道大人154円、小児77円=ICカード)。

車の駐車場は1700台分(乗用車1日900円)が用意されていますが、ゴールデンウイークなどは途中のアクセス道路を含め大混雑することが多いので、9時30分の開園時間以前に着くように行ったほうがいいかもしれません。

こどもの国駅の駅前には「ローソンスリーエフこどもの国駅前」があります。駅から4分ほどの場所には「スーパー三和 子供の国店」もあるので、必要な買い出しはこちらで。

こどもの国へは駅から2分ほど歩きます

途中の歩道橋は、大人には少し歩きづらいのですが、幼児が歩きやすいよう階段の高さが低くなっていて、子ども中心の思想がうかがえます。もちろんスロープも別に作られています。

入園料は大人600円、小中学生は200円、幼児(3歳以上)は100円と割安です。園内はとにかく広いので、チケット売り場で配布されている地図を持って行ったほうがよさそうです

園内の広さは約100ヘクタール(100万平方メートル)と一部は町田市にまでまたがり、東京ドームが20個以上入るほどの規模がありますので、1日ですべてをまわるのは難しいかもしれません。最初は内周道路(地図のオレンジ色のライン=約2.4キロ)を時計まわりに巡ってみてはいかがでしょうか。このルートには園内一周バス「あかポッポ号」(1人1回200円)も運行されています(GW中など混雑時は運休の場合もあり)※クリックで拡大

こちらは正面出入り口。こどもの国の営業時間は9時30分から16時30分(7・8月は17時)まで。なお、子ども向け施設なのでアルコール類の持ち込みは厳禁です。

正面入口を入ってすぐ左手にはベビーカー(B型、300円、うち100円は保証料で返却時返金)や荷物車(400円、うち100円は保証料で返却時返金)の貸し出しも行われています。コインロッカー(100~500円)も隣にあります。

入って真正面に広がるのが、その名も「落書き広場」。チョークを使って地面に好きなだけ落書きをすることができます。入園後すぐに落書きに熱中してしまうケースも多く、次の地点になかなか進めないことも……。

落書き広場の左手にある園内レストラン「さんかくぼうし」(11:00~16:00営業)は、園内のメイン食事スポットとなっています。

同レストランの名物は、園内の牧場でとれた牛乳を使った「牛乳ラーメン」(税込680円)。この冷やしラーメン、暑い日にはクセになりそうな味です。

正面入口の先にあるのが中央広場、ここだけでも十分に巨大で、演技の発表やフリーマーケットなどさまざまな用途に使われています。GW中は空に浮かぶ「こいのぼり」も見どころです。

園内では大道芸が披露されることもあり、写真はフラフープのギネス世界記録保持者であるフープマン・ユーヤ(山田祐也)さん。5月6日(日)には「フープマン・ユーヤ杯フラフープ大会」も開かれます。

それではメインとなる「内周道路」(約2.5キロ)を時計回りに歩いていきましょう。園内各所にある芝生ではテントを張る人も多くみられます。園内には芝生エリアがとにかく多いため、子どもが転げまわる?ことも予想されますので、着替えや虫刺され・擦り傷の薬などは持って行ったほうが良さそうです。

内周道路を歩くとすぐに「ミニSL太陽号」(1人200円)の乗場があります。1周5分間の“旅”はいかがでしょうか。

こちらは0歳から遊べるという公園「すくすくアイランド」。園内のいたるところに遊具があるので、気に入った場所で遊びながら進んでいくのがよさそうです。

大人から見ると謎?のトンネル。背の低い子どもしか通れない高さで、「光のトンネル」と言うそうです。

奥に見える赤い屋根は「皇太子記念館」。トイレ休憩はこちらでどうぞ。

皇太子記念館の近くにあるのが全長110メートルで横浜で一番長いという「ローラーすべり台」。GWなど混雑時はかなり行列ができる人気のアトラクションです。

ローラーすべり台の向かいには「プール」(7月14日~9月2日営業)があり、幼児向けの浅くて大きなプールやチューブスライダーなども設置されている本格的な施設です。オムツの取れていない小さな子も入ることができるのは、こどもの国ならではです。なお、冬季は敷地内に「スケート場」(12月中旬~2月末営業)がオープンします。

「内周道路」を離れてプールやスケート場の奥に行くと、「児童センター」があり、ここの工作室では日曜祝日に「工作教室」や「わくわく焼き物体験」なども行われています。園内は混んでいてもこの付近まで来ると人が少なく、野草園や森のなかの自然散策にも最適です。

再び「内周道路」を先に進むと、2006年3月にオープンした「おとぎの広場」が現われます。ここは、おもしろ遊具が多数あります。

おとぎの広場の奥にあるのが「ビジターセンター」。2階では園内で見られる魚や蛇などの展示も。1階には売店のほか、カップラーメン(200円)やおにぎり、肉まんなどの軽食も販売しています。

ビジターセンターの前に広がるのは水深1メートルほどの「白鳥湖」で、オールで進める「ローボート」(30分400円)や自転車のようにこいで進む「サイクルボート」(30分400円)で遊ぶこともできます。

こちらは「白鳥湖」の名物?「ドラム缶いかだ」(無料)。人気なのでなかなか順番が回ってこないことも。

なお、白鳥湖の奥へ上って行くと、ここがかつて田奈弾薬庫だったことを知らせる換気塔跡を見ることもできます。歴史に興味のある方はぜひ寄り道してみてください。

ドラム缶いかだの奥には野外炊飯場やバーベキュー場もあり、比較的安価で飯ごう炊飯体験やBBQを楽しむことができます。なお、アルコールの持ち込みは全面禁止ですが、バーベキュー場のみビールが売られています。このほか、園内には20人以上の団体のみが使えるキャンプ場や、30人以上60名以下の団体のみが利用できる宿泊施設「自然研修センター」もあったりします。

再び「内周道路」に戻ります。「おとぎの広場」前にあるのが水遊びのできる「せせらぎ」(3月中旬~10月オープン)で、これから暑くなるシーズンには人気のスポットです。

さらに「内周道路」を進むと現れるのが本物のトンネル。灯りのないトンネル内を歩くのも子どもにとっては楽しいようです。

先ほどの「第二トンネル」を越えて少し歩くと動物園や牧場エリアが現われます。「ポニー牧場」は子ども(2歳)から大人まで乗馬体験ができます。なお、併設して喫茶(軽食)コーナーもあり、そば・うどんやカレーライスなどが提供されています。

ポニー牧場のとなりは「こどもどうぶつえん」(高校生以上250円、3才~中学生200円)。ここではウサギやモルモットとふれあうこともできます。

こどもどうぶつえんの次は「牧場エリア」で、40頭の牛と30頭の羊が飼われている本物の牧場で、生乳も出荷しています。

牛や羊に竹のへらを使って餌(1カップ100円)をあげることもできます。

牛舎の中は見学することも可能です。牛舎ならではの独特のにおいに鼻をつまんでいたりする子どももいますが、牛を間近で見られるのは貴重な機会といえそう。

牧場で大人気なのが土・日・祝日の11時と14時に行われている「乳しぼり体験」で、開場と同時に牧舎横のえさ売場で整理券が配布されるので、急いで入手する必要がありそうです。

牧場エリアの必須立ち寄りスポットがミルクプラントを兼ねた売店で、ここで生産された「特別牛乳サングリーン」(300円)をはじめ、名物のソフトクリーム(350円)もここで味わえます。

牧場エリアの近くには、レールの上をこいですすむ「へリサイクル」や、ジェットコースタータイプの自転車「ローリングサイクル」、「おもしろじてんしゃ」などで遊べる「自転車のりば」があります。1回乗車につき大人150円・こども100円という安さで楽しめます。ここからトンネルを一つ超えると、ようやく園内「内周道路」の一周が終わります。距離は2.4キロですが、子どもと一緒に歩くとかなり時間がかかったのではないでしょうか。

こちらは「こどもの国駅」です。GW中のこどもの国は普段の土日祝日と比べ3倍くらいの来場者が予想され、混雑する可能性が高いとのことですが、普段の土日祝日はそれほど混むことは少ないと言われていますので、天気の良さそうな日に、ぜひのんびりと出かけてみてください。

「こどもの国」で行われるイベントなどの最新情報は公式サイトをご覧ください。また、園内の詳しいマップはこちらに掲載されています。

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