桜の開花待つ日吉の丘公園(箕輪町3)で、珍しいヤマザクラの治療が行われました。
先月(2018年)2月22日の午前、地元・日吉在住で横浜に根差した樹木医として知られる池本三郎さんらNPO法人自然への奉仕者・樹木医協力会(安部鉄雄理事長、日吉本町3)、日吉の丘公園愛護会(小幡和夫会長)ほか約20人が集い、昨年(2017年)2月から行ってきたというヤマザクラの治療がどのように完了したか、土を掘り起こしての確認作業を実施しました。
「このヤマザクラは樹齢70年から、80年」と池本さん。「巻き殺しの根」といわれる、根が自分の木を巻いてしまい、それにより木がダメージを受けてしまったものを、昨年に“切除治療”し、今回は、土を再度掘り、根の状況を確認したところ、「傷跡もなくなり、大変きれいになっている。幹も太くなり、すっかり治っています」と、痛んでいた木も、完全に“治療”が行われたことを確認することができました。
今回の治療は、池本さんも「この公園のお世話を始めて以降、初めてのことなんです」と、今回の治療が大変に珍しいことと説明します。
この日は、昨年(2017年)3月に、学習の一環で同公園の花壇作りに参加した玉川大学農学部(東京都町田市)の学生3人や、日吉地区のボランティア団体日吉駅前花壇 花ポケット(小出瑛子代表)のメンバー7人も見学。
日吉駅前花壇 花ポケットは、毎年春に港北区で行われている庭や花壇の公開イベント「港北オープンガーデン」(同運営委員会主催)で同公園を案内していることから、「池本先生にぜひお会いしたいと連絡をしたら、今回の治療完了確認に来ませんか、と声をかけていただいたんです」と、今回立ち会うことで、より一層、同公園を深く理解しようと努めます。
一般に、桜の木の寿命は、ソメイヨシノが50年から60年とも言われていますが、「きちんと“面倒を見る”ことで、寿命が100年以上になることもあるんです」と池本さん。
ヤマザクラは、日本全国では樹齢1000年を超えるものも見られるといい、「今、この公園では、オオシマザクラやエドヒガンなど、ソメイヨシノの親とも言われる桜を“種”から植えたものが少しずつ大きくなってきています」とのこと。
なお、池本さんによると、同公園の新たな名物となりつつある「菜の花」については、昨年10月の日照時間不足や、以降も続く寒さが原因で、ハクサイダニが大発生。
最近の葉物野菜の高騰の原因と同様に、ハクサイダニにより菜の花も生育不良となり、「東京と神奈川で10月1日以降に植えたものについては、広域的に大きな被害を受けてしまっています。まさにその被害は“壊滅的”です」と、今年のハクサイダニによる甚大な被害について言及します。
また、今年の桜の開花については、平年開花日の3月26日より早くなるか、遅くなるかは、「咲くまでの気温次第」と池本さんは説明します。
今回治療を行ったヤマザクラは、ソメイヨシノよりも1週間程度遅い時期、平年だと4月上旬頃から咲き始めるとのこと。
池本さんは、「今年は昨年のような美しい菜の花畑を見ていただけず、大変残念ですが、国の天然記念物として著名な久保桜(山形県長井市)の種から育てたエドヒガンも順調に育ってきています。樹木の名前プレート(樹木札)も、日吉台小学校(日吉本町1)の2年生が作成してくれました。ぜひ、今年も桜の花見や公園の木々、草花を楽しんでいただけたら」と、同公園への来訪を呼び掛けています。
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・日吉街あるきで旅行気分、港北オープンガーデンの「ルート案内ツアー」は土日が人気!(2016年4月23日)※日吉駅前花壇 花ポケットのメンバーがボランティアで案内
・気象庁の満開予想は4/2(日)、日吉・綱島・高田の「桜」スポットを紹介(2017年3月29日)※昨年の記事
【参考リンク】
・日吉の丘公園(横浜市港北区の公園案内)
・伊佐沢の久保桜(いさざわのくぼざくら)~国指定天然記念物のエドヒガン(やまがた観光情報センター)