日吉には数少ない「ご飯」や「おかず」にこだわる和食店がオープンしました。日吉エリアの井田(中原区)出身の店主が、夢だった“地元”での開業を実現、早くも口コミで情報が伝わり、リピーターも訪れているといいます。
先月(2018年)1月10日に開店した「飯場 松の葉」(日吉本町1)は、日吉駅から日吉中央通りを直進、 約3分ほど(約240メートル)進んだ「ORIGIN(キッチン・オリジン)」の角で右折した場所、かつて中華料理三光軒が2014年頃まであった店舗スペースで営業しています。
同店の店主・松本久美子さんは、元々はサラリーマンとしての経験を積んだといいますが、「今後のキャリア・後半の人生の方向性を再構築すべき時期にきた」と判断し、2009年に退職。
充電期間や趣味として料理を行う延長線上で料理教室の講師を始めたとのことですが、「次第に料理の奥深さを知る」こととなり、本格的に料理の世界へ踏み出したといいます。
東京・ミッドタウン内の和食店や新丸ビル内の蕎麦店で修業も重ね、“ご飯に関する幅広い知識の普及啓発”を行うという「ご飯ソムリエ」(公益社団法人日本炊飯協会=東京・豊島区)資格や、調理師免許も取得。晴れて、「生まれ育った」地域での出店が叶(かな)い、開業するに至ります。
店名の「松の葉」については、松本さんの名前にある「松」の漢字にちなんだほか、その「松」が持つ、針葉樹の「マツ(末)の木の葉」、贈答品の包みの上に書く「寸志」の意、松の葉に包むほど「わずか」という意味も込めているとのこと。
同店の料理について、“特別な日”に食べるような華やかなものではなく、誰もが馴染みのある、ホッとできるものを提供しているとのことで、「日常のひと時、ちょっとだけ心豊かになって頂ければ」と願うような気持ちで努めていると説明します。
メニューは、全て「定食」スタイルで提供しているというランチタイムの「昼ご飯」(1080円・価格は全て税込)では、「いつものおかず」として、サバの塩焼き、アジフライ特製ソース添え、豚の生姜焼きなど約7種類のメニューからチョイスが可能。
2月20日からスタートしたばかりの夜営業でも、ランチタイムと同様に「定食」スタイルで選べる「夜ご飯」(1100円~)や、「冷菜」としてのもろきゅう醤油豆掛け(350円)、ちぎりキャベツの辛味噌添え(380円)、「温菜」としての大根と牛蒡のきんぴら(380円)、揚げ餅おろし醤油添え(380円)、レンコンと茄子の肉味噌掛け(400円)といった、“和”そして野菜など素材の特性を活かした小皿料理を用意しています。
特に「飯汁菜」を提供するに際し、大切にしていることとして、ご飯ソムリエの松本さんらしく、米は「コシヒカリ・ササニシキ」など、農薬・化学肥料を抑えた特Aランクの特別栽培米を中心に選んでいること、ご飯はガス直火で、“選りすぐった”鍋や釜を使って炊いていることを挙げています。
また、味噌汁専用に、毎朝、昆布・鰹味の出汁(だし)を引いているとのことで、味噌汁も“一品料理”と位置づけ、毎日具材を変更しています。
さらに、それぞれの料理は、化学調味料を使用せず、店内で調理するほか、一部完成品の料理を購入し、手を加えずそのまま提供する場合は、仕入れ先店舗名を表記するなど、「食材がどこからやってくるのか」という“食”の不安をなくす工夫を凝らしているといいます。
特に大切にしているという「ご飯」についても、「『ご飯』は日本人とは切っても切り離せない存在。当店で、『ご飯ってこんなに美味しかったっけ』と気がついてくだされば本望です」と、松本さんは、同店への多くの来訪を呼び掛けています。
日吉駅前では、昨年(2017年)11月頃より老舗喫茶店など飲食店の閉店が相次いでいることもあり、今回の「松の葉」のオープンは、久しぶりの明るい話題として地域に受け留められそうです。
【参考リンク】
・飯場 松の葉のサイト ※営業案内あり
・ごはんソムリエについて(公益社団法人日本炊飯協会)