綱島温泉の歴史に光、開港資料館の企画展「銭湯と横浜」で繁栄振り返る展示や講演も | 横浜日吉新聞

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断片的にしか知ることができなかった「綱島温泉」の歴史に新たな光が当たるかもしれません。今月(2018年1月)31日(水)から日本大通り駅近くの「横浜開港資料館」で開かれる企画展「銭湯と横浜~“ゆ”をめぐる人びと」(4月22日まで開催)で、綱島温泉の歴史が詳しく触れられます。

横浜開港資料館の企画展「銭湯と横浜-“ゆ”をめぐる人びと」のチラシ(同資料館の案内ページより)

大正初期に現在の樽町付近で温泉が湧出し、昭和初期には東急電鉄(当時は東京横浜電鉄)が乗客誘致を狙って「綱島ラヂューム温泉」を設け、駅名を綱島温泉とするなど温泉地としての基礎を築き、戦後は昭和30年代から40年代にかけて最盛期を迎えたと言われる綱島温泉。

最後に残った綱島東1丁目の日帰り入浴施設「東京園」が2015年に閉店して以降、目に見える形で温泉地として面影をしのぶことは難しくなっています。加えて、綱島温泉に関してまとめられた書籍や資料は非常に少なく、その歴史を振り返ることも容易ではありません。

今回、横浜開港資料館で開かれる企画展は、横浜の都市が形作られていくなかで、銭湯や温泉の役割に焦点を当てた内容で、特に横浜で随一の温泉地だった綱島温泉の歴史についても掘り下げているのが特徴です。

昭和8年につくられたという「ラヂウム霊泉(温泉)湧出記念碑」が大綱橋近くの樽町2丁目に残り、ここが綱島温泉の原点と言われている

展示では、イトーヨーカドー綱島店の隣地付近にあったかつての温泉旅館「梅島館」が所蔵していた資料を中心に、綱島温泉の誕生から発展への歴史をひも解きます。また、同資料館では綱島の江戸期以降が記録された貴重な資料として知られる「飯田助知(すけとも)家文書」(3100点余)を再度読み解き、これまで知られていなかった綱島温泉に関する新たな事実の発見にも力を注いだといいます。

こうした展示に加え、3月17日(土)14時からは講演会も企画されています。「今回の企画展を行うにあたっては、綱島温泉に関する本を1冊書けるくらいに調査をしてきました」と話す同館調査研究員の吉田律人さんが「綱島温泉の誕生」と題してその歴史を90分間にわたって解説。さらに4月6日(金)には「京浜の『奥座敷』・綱島温泉を歩く」とのテーマで、実際に綱島を散策するツアーも実施予定です。

このほか、期間中の2月3日(土)13時30分、23日(金)18時、3月23日(金)18時、4月14日(土)13時30分の4日間は展示物の解説も行われます。

横浜の街が発展していくうえで、綱島温泉がどのような役割を果たし、そして、綱島の街はどう変わっていったのか。歴史を学ぶ絶好の企画展となりそうです。

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【参考リンク】

横浜開港資料館の企画展「銭湯と横浜-“ゆ”をめぐる人びと」(2018年1月31日~4月22日開催、2月12日を除く月曜日と2月13日火曜日は休館)

横浜開港資料館のアクセス(みなとみらい線「日本大通り」駅から徒歩3分)

とうよこ沿線「旅館70軒、芸者衆300人の綱島温泉町」(梅島館の写真も掲載)


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