悪質な犯人からの詐欺電話に「すっかり騙されてしまった」という高齢の男女を、JAバンクと横浜銀行の職員が“鋭い職務上の勘”で救いました。
先月(2017年)9月に金融機関を舞台に発生した2件のオレオレ詐欺事件。1人目の70代女性を救ったのは、JA横浜(横浜農業協同組合)日吉支店(日吉本町3、南日吉郵便局向かい)に勤務する、融資相談係長の今野将志(まさし)さん。携帯電話で通話しながらATMを操作する女性に対し、積極的な声掛けを実施。手続き理由など具体的な確認を行うことで、医療費還付名目の振り込め詐欺被害を未然に防止することに成功しました。
もう1件は、横浜銀行大倉山支店(大倉山1、レモンロード)に、保険料の還付が得られるとやってきた70代の男性。窓口案内係の服部健一さんは、この男性が保険料の払い戻し手続きについて尋ねてきたことから、これを詐欺と看破、男性を説得し犯人への入金を懸命に阻止したものです。
港北警察署は2人の功労に対し、先週(10月)5日に感謝状を贈呈。牧智明署長は「思いきって遠慮なしに声掛けいただいて詐欺防止できたことは有難いこと。これからも少しでもおかしいと思ったら警察に連絡をいただければ」と、金融機関ならではの「最終段階」に対しても全力サポートしたいと熱く伝えます。
特に還付金詐欺の被害者は男性が多い傾向にあるともいい、説得が難しいケースも。オレオレ詐欺など港北区内の特殊詐欺の件数は、10月4日現在の暫定値で未遂3件(犯人逮捕)も含めて計59件(対前年24件増)、被害額も1億9800万円(対前年比3800万円増)と、昨年の被害総額3億円超に迫る勢いで拡大傾向となっています。
同警察の生活安全課・森聡さんは「相手は一日に“ものすごい量”の電話を架けては、言葉巧みに相手を騙(だま)す会話術を上達させています。身内の声も、電話では全く違う声になると思い込む罠(わな)がそこにはあります。お金、ATM、キャッシュカード、そして暗証番号という言葉が出てきたら、それは詐欺の疑いが濃厚です。1件でも被害を減らすよう、警察も地道に活動しています。ぜひ、冷静に、また少しでもおかしいと思ったら、一旦電話を切って警察にご相談ください」と、より一層の注意を呼び掛けています。
今回の被害者はいずれも70代。自身で判断がつくと思い込み、急ぎ焦って対処してしまう被害者も多いとのことで、冷静に対処する金融機関の目、またそこで働く職員2名の勇気が詐欺をストップしたことは、より金融機関の社会的な役割の大きさ、そしてその責務を改めて証明する機会となったとも言えそうです。
【関連記事】
・「見知らぬ2人」の声掛けが詐欺をストップ、駅前ATMでの手柄に感謝状(2017年6月23日、新横浜新聞)
・「かもめ~る」作戦で詐欺ストップなるか、綱島などの15社がはがき寄付(2017年7月28日)
・区内被害額の6割は日吉エリアの高齢者、振り込め詐欺の“草刈り場”か?(2017年5月2日)
【参考リンク】
・港北区内の振り込め詐欺発生情報(港北区役所、町名別の具体的な被害状況を速報)