日吉で店を立ち上げ21年の美容室グループが、地域に根差した経営を行っているとの好評を博しています。1996年にオープンした「美容室ACT(アクト)」(有限会社ACT)は、この6月で開業21周年を迎えました。
現在、ACT group(アクトグループ=ACTグループ)として、いずれも日吉本町1丁目の日吉商店街に、「美容室ACT」のほか、「ACT ZIP(アクトジップ)」、「ACT JAM(アクトジャム=フランチャイズ店)」の3店舗を展開しています。
ヘアメイクはもちろん、顧客のリクエストに応じてエステやまつげエクステ、着付けやオリジナルのアクセサリー販売といったトータルでの「美」のアレンジを追求できるビューティー・サロンとして、日吉周辺の幅広い世代からの注目を集めています。
「ACT(アクト)」の名称は、「A」が“愛のある”、「C」が“クリエイティブな”、そして「T」が美容師らしい“テクニック(技術)”でおもてなしをしたいというACTグループ創設者で現在も同グループを経営する代表・内田敏夫さんの、このお店の経営に賭ける熱き想いから命名。
ACTグループの親会社に当たる横浜、川崎を中心に現在25店舗を展開している美容室C-LOOP UNITED(シーループユナイテッド)グループ(株式会社アイ・ビー・シー:鶴見区)での接客教育の取りまとめ役としても重責を担っている内田さん。
内田さんをはじめとした、ACTグループで“日吉”での地域密着をはかるスタッフの心意気、日々のチャレンジについて、詳しく話を聞きました。
テレビの世界や流行に憧れ美容師に、社内外で“高い評価”を得るまで
内田敏夫さんは山梨県生まれ。高校時代は静岡の学校へ出るも、1980年代頃までの幼少時から青春時代まで、「8時だョ!全員集合」(TBS系列放映)や「オレたちひょうきん族」(フジテレビ系列で放映)などのテレビ番組を“トレンド”として見聞きし、育った世代。
最終的には東京都内へ出たいと思い、世田谷にある4年制大学に入学するも、かねてからの夢を諦めきれず、憧れていたという美容師の道を選択。都内の美容専門学校へ進学後、株式会社アイ・ビー・シー(シーループユナイテッドグループ)に入社します。
内田さんは鶴見駅前の美容室サロン・ド・ジョー(SALON DE JOE)に配属になり、わずか3年7カ月で店長に就任。着任後7年間で店舗売上を倍にすることに成功。個人の売り上げ、店舗売上もグループ内でトップとなり、神奈川県で当時最大と言われたJUSTカットコンテストでも1994年夏の開催時に3位入賞するなど、数々のコンテストやヘアーショーでも活躍。
グループ内の教育を任されるようになり、さらには夢にも描いてきたフランチャイズとしての「独立」を目指し、新しい物件をここ首都圏近郊で探すことになったのです。
2つの偶然で日吉に出店、会社ぐるみでPRし経営も軌道に
東京・恵比寿や綱島、仲町台(都筑区)など、内田さんは新規出店する際に、どこで出店すべきか、大いに悩んでいたといいます。そんな折、帰省先の山梨で、当時NHKの大河ドラマ「秀吉」を見ていた内田さんの母が一言「日吉がいいんじゃない」。竹中直人さん扮(ふん)する豊臣秀吉の幼少名が「日吉丸」だったこともあり、東横線沿線が良いかな、とちょうど内田さん自身感じていたこともあったため、結果的に日吉が第一候補になったと内田さんは笑顔でそのエピソードについて語ります。
また、新規出店する際に、親会社(シーループユナイテッドグループ)の上司が物件を確認する際、「別の立地の良い物件と勘違いをしてOKを出してくれたことから、日吉でのオープンが決まったんです」と、元々ブティックがあったという別の交通至便な場所との誤解もあり話が進み、結局、最終的に日吉での現在の場所での1号店のオープンが決定。「この2つの偶然がなければ、この街・日吉には出店しなかったかもしれません」と、開業した1996年当時を懐かしく振り返ります。
地縁・血縁もない中での日吉での開業は「採算度外視で来客促進の一大キャンペーンを打つなど、それはもう大変な苦戦でした。会社ぐるみのPRで、なんとかお客様を増やすことができたんです」と内田さん。
当時は、現在ほどには美容室の数こそなかったものの、開店の約4年後の2000年には、美容師役を木村拓哉さんが務めたドラマ「ビューティフルライフ」(TBS日曜劇場で放映)が流行するなど、一気に美容の大ブームも訪れ、日吉のライバル店も開業当時のおよそ倍にまで今では増加、競争も年々厳しくなってきているといいます。
「自分自身も多くトライしてきたコンテストに社員・スタッフが挑戦する、またチャレンジできる環境を作ることで、技術を磨き、スタッフも、お客様のためにと日々成長してこられたのではないかと思っています」と内田さん。
日吉中央通りと浜銀通りの間にオープンした1号店「美容室ACT(アクト)」が人気となり、2001年には2店舗目となる「ACT ZIP(アクトジップ)」を中央通りからやや普通部通り側の場所にオープン。2014年には日吉駅から徒歩4分の日吉中央通りに「ACT JAM(アクトジャム)」が誕生。
グループ全体で数々のコンテストへ挑戦を積極的に行うことで受賞者も多く生まれ、ヘアメイクのレベルアップをはかるほか、“業界”で活躍しているというヘアメイクアーティストも数名輩出。雑誌のヘアメイクを担当しているスタッフもいるといいます。
また、一般顧客に対する着付けやヘアメイクにも力を入れ、七五三、成人式、卒業式はお向かいの場所に位置するカワダ写真館(日吉本町1)や近隣の貸衣装店などとのコラボも実施、ウエディングでは結婚式場にもスタッフを派遣するなど、「七五三、成人式、そして卒業式などの着付けやヘアメイクだけでも、毎年100名以上のお客様を担当しているんです」と、顧客にとっての人生の“晴れの日”のイベントにも大いに力を入れているといいます。
日吉のファッションの特長とは?地域密着が支持され拡張も視野に
ACT(グループ)が日吉に進出し現在も地域に受け入れられている理由、それは「まさに地域密着です」と内田さん。日吉の駅から西側、慶應とは反対側の商店街エリアは、東急電鉄が街を造成する時に、田園調布とも似た扇形の街並みを作り上げましたが、「田園調布ほどの<高級感>や<セレブ>感はなく、とはいえ多く慶應義塾大学の関係者や学生も在勤・通学・在住し、すっぴんで歩くには難しい、少し<きちんと>しなくてはいけない雰囲気の街なんです」と内田さん。
少しお金や生活に余裕がある方が居住し、元住吉や綱島の親しみやすい雰囲気ともまた少し異なる「清潔感」や「落ち着き」が主流にある街。何より「少しオシャレなもの」を身に着けなければ、と感じる街であると内田さんは日吉の街の特長を感じ、「スタッフにも、日吉の街に合うような服装をしなさいと実は厳しく言っているんです」と、日吉のファッションリーダ―としての立場でも、“この街に合ったやり方を追求してきました”と、21年間培ってきた、また顧客とともに日々見つめてきた“日吉らしさ”についても言及します。
日吉で勤務して18年、「美容室ACT(アクト)」で現在店長・ディレクターを務める布(ぬの)久美子さんは、内田さん同様に東京に憧れ、四国・愛媛県から上京し東京・六本木の美容学校に入学、友人がつないでくれた縁もありACTグループに入社したといいます。
「この店では“大人の女性”をメイン・ターゲットにしています。ガラス張りで外から全てが見えてしまいそうな雰囲気の美容院とは異なり、やや外からは見えにくい、落ち着いた雰囲気で寛いでいただけるような高級感も演出しています。40代から50代のお客様が最も多い客層なのですが、この業界での様々な情報やアイテムについて着目し、より良いものはいち早く仕入れて確認するなど、髪の毛や美容に関するトラブルに対処できるアドバイザーとしての役割を果たせるようスタッフ一同努力を重ねています。ぜひ小さなことでも相談いただけたなら嬉しいです」と、頼れる美容室で在るよう、スタッフ一同、“研鑚を重ねる”日々であることを強調します。
“若々しい雰囲気”に満ちた「ACT ZIP(アクトジップ)」は20代前半の客層が中心。
「はじけるくらいに若い雰囲気、トレンドを追求しています」と総店長・ディレクターの金子一茂さんも、最新の情報を追いながらも、「美容室ACT」とは全く別の“日吉トレンド”で学生はじめ、より若いお客様との想いを日々共有するべく努めていると語ります。
“癒やしの空間”を創出しているという「ACT JAM(アクトジャム)」は、おおむね30代前半くらいがメインの客層になっています、と店長・ディレクターの月岡二郎さん。
それぞれの店の特長を活かし、研鑚を積み、33名もの社員・スタッフらが志す「日吉No.1(ナンバーワン)」。その成果からか、「土日や祝日は特に美容室ACTでお客様を長くお待たせしてしまうことも多くなっていることから、来年中くらいまでには店舗スペースを拡張できないか、とも考えています。可能であれば現在は別フロアにあるエステやまつげエクステ部門も、同一の階に設置できないかといった、より良い店舗作りができるよう、物件も探している最中です。ぜひ、多く皆さまにご満足いただけるサービスを今後もグループ全体で提供できるよう、努力を重ねていきたい」と、内田さんはこれからの構想、そして“夢”を現実にするための想いを披露します。
日吉出身・在住のデザイナー「esika」さんのアクセサリーも人気
日吉出身で在住のアクセサリーデザイナー・作家で、店舗レセプション(受付)も担当しているesika(エシカ)さんによる、イヤリング、ピアス、ネックレスなどのハンドメイド・アクセサリーも好評を博しており、esikaさんは「1月あたり10作品程度を1つ1つ手作りしています。同じものは2つと作ることはありませんので、その作品ならではの質量感やデザインも楽しんでいただけたなら嬉しいです」と、ガラスビーズやアクリルなどの材料のパーツを組み合わせ自作した商品で、ぜひトータル・コーディネートをしてもらえたらとPRします。
アクセサリーのオーダーメイドも承っているとのことで、「メイクや着付けに合わせた、まさに“自分だけの”オリジナル作品の製作も可能です。ワンちゃんの首輪を作成したこともありました。ご要望を多くいただいておりますので、ぜひお早目にご希望をお知らせください」と、やはり友人との出会いが縁で地元・日吉で働くことになったesikaさんが想い描く「日吉のファッション」コーディネートを自ら行うことで、日吉の街のブランディング化にもより一層貢献していきたいと熱い想いを語ります。
プライベートでは「マラソン」も。宇都宮で学んだ地域貢献を実現へ
内田さんは、日吉のほか、元住吉、鹿島田(幸区)、川崎、そして本拠地である鶴見と店舗を展開する親会社・シーループユナイテッドグループの方向性自体も、これからが「地域密着性を作ろう」がトレンドだといいます。
日吉地区のこれからの更なるトレンドは「いつまでも若く」「自分に合う」がキーワード。「昔は、最先端の流行がメディアなどであるとすると、“右へ倣(なら)え”という人が多かったように思うのですが、今の日吉周辺のお客様はそうはならない。“自分らしさ”こそを大切にしている方が多いので、そういった個々のお客様のライフスタイルに見合ったファッションを提案させていただいています」と、年齢も客層も「とても幅広い」という日吉の地域性についても分析します。
「ただトレンドを追い求める方は、都内に出てしまいます。そこで、“日吉らしいトレンド”を、地元のお客様が何を求めているのかということをきちんと統計も取るなどした上で発信していきたいと考えています」と内田さん。
2014年からは、人との出会いが縁で栃木県宇都宮市でも3つの美容院を経営している内田さんは、宇都宮と横浜・川崎、そして日吉の店舗を行き来する多忙な日々の最中、「宇都宮はより地域の活動が熱心で、そこで地域とビジネス、つながりについても多く学んでいます。日吉でも、その想いや実践を応用し、より街の発展に貢献したいと思っているんです」と、現在、日吉中央通り会(商店街)のボランティアスタッフとしても活動している内田さん。
毎日走っているという趣味のマラソンでは、年に数回は「フルマラソン」にもチャレンジ。そんな“若々しい”内田さんが毎日更新しているブログのタイトルは「一生元気で美しく」。生涯、「心」も「身体」も美しくいられるようにと、日吉のACTグループスタッフと日々挑戦を続ける内田さん。自ら、そしてスタッフ一人ひとりの心意気こそが、この街をより元気にすると確信しているかの情報発信も続けています。
日吉の街は再開発や人口増加もまだこれから。日吉を地盤にスタッフ、顧客、そして商店街のメンバーらとの結束を日々深める内田さんたちのチャレンジは、“地域密着”の成功事例としてもより大きな注目を集めていきそうです。
【関連記事】
・若手美容師が続々スタイリストデビュー、メイクやスパも激戦“日吉”らしい高み目指す(2017年10月5日)
【参考リンク】
・美容室ACT(アクト)のサイト ※日吉駅から徒歩約2分・日吉中央通りと浜銀通りの間
・ACT ZIP(アクトジップ)のサイト ※日吉駅から徒歩約2分・日吉中央通りと普通部通りの間
・ACT JAM(アクトジャム)のサイト ※日吉駅から徒歩約4分・日吉中央通りの左側
・「内田敏夫の一生元気で美しく」(アメーバブログ)
・日吉中央通り商店街‐横浜市港北区のFacebookページ(内田さんがボランティアスタッフとして参加)
(提供:A.C.T group~アクトグループ)