<箕輪町計画で公聴会>「計画は“まち壊し”」「公共用地が多く期待」 | 横浜日吉新聞

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旧アピタ日吉店(箕輪町2)などの大規模跡地での再開発「港北箕輪町二丁目地区 地区計画」で、都市計画を決定する前段階となる「公聴会」がきのう(2017年4月)25日(火)夜に日吉南小学校(日吉本町4)で開かれ、抽選で選ばれた10人の公述人(発言者)のうち、9人が出席し意見を述べたほか、1人が文章で意見を表明。会場には約150人の傍聴者が詰め掛け、約2時間にわたる公述人の発言に耳を傾けました。

公聴会が開かれた日吉南小学校の体育館

公聴会が開かれた日吉南小学校の体育館

冒頭、横浜市側から、公述希望者をどのように受け付けたのなどの経緯が説明されるともに、「公聴会の運営に関して疑問や不安を生じさせる結果となってしまったことを、反省してお詫び申し上げます」と陳謝する異例の展開で始まりました。公述希望者から抽選番号の振り方などに対する質問が上がったものの、市側では4月の人事異動で担当者が入れ替わったこともあり、その場で明確な説明や回答が行えず、公聴会の場で説明することになったものだといいます。

公聴会で発言した10人の公述人は、

  • 計画に疑問を持つ立場:6人(4人が代理出席、1人が文章での意見表明)
  • 計画に賛同する立場:3人(1人が代理出席)
  • 新小学校の建設に関する意見表明:1人

という構成となりました。

疑問を持つ立場の6人からは、

  • 「(この計画は)まちづくりの名による“まち壊し”だ」
  • 「マンション販売業者にとって、(公共用地としての)広場を作ることは痛くもかゆくもないはずで、逆にマンションの販売価値を上げるものではないか」
  • 「落ち着いた街並みが続いているのが日吉や箕輪の誇りであり、鉄筋コンクリートの壁は必要ない
  • 「(事業者は)1320戸の戸数ありきで、建物をタテにするかヨコにするかしか考えておらず、元々がオーバーフローだ」
  • 「(工場用地から居住地への)土地転換はやむを得ないにしても、この地に武蔵小杉のような高層マンションを林立させることは許されない
  • 「(マンションの高さが)異様な大きさで圧迫感がすごい。(計画地周辺にあるマンションなどの)保有資産の価値が下がる」
  • 「(周辺マンションの)資産価値が下がる前に売り出している人も出ている」
  • 「工事に影響ないと思われる(旧野村総研データセンターと旧損保ジャパン日本興亜の日吉センター入口にあり、地域の桜の名所となっていた)桜並木を切り倒したのは、(計画に)反対しても無駄だというあきらめ感を(住民に)植え付けたかったのではないか」
  • 「(計画地の事業者である野村不動産は)まず計画地の近隣にマンション(工場跡地に建てられた「プラウド日吉」)を建設して人口を増やし、(箕輪町計画の計画地に)新小学校を作るように演出したかのように見える。市はそれに踊らされているのでないか」

などの意見や見方が表明されました。

賛同する立場の3人からは、

  • 「車で綱島街道を運転していると歩道が狭く、はみ出して通学している生徒らもおり、危険を感じる。高さ(を認めること)と引き換えに(快適な)歩行者空間が生まれるのは良いことではないか」
  • 「(計画では)公共的な場所が多くなるので期待している」
  • 「(防災に対応した広場など公共空間の整備により)地域の防災力が向上することが期待される」
  • 高さ制限の緩和によって広場や緑地が生まれるのだから、さらに高さを上げても良いのではないか」
  • 「箕輪町2丁目周辺には(アピタ日吉店の閉店で)商業施設がなくなってしまったので(本計画の)商業施設に期待している」
  • 「(計画は)周辺地域の魅力的なまちづくりにつながると考えている」

などの意見や見方が表明されました。

計画に関連して予定されている新小学校の建設について意見を述べた1人は、

  • 「新小学校を建設するための約1ヘクタールの土地を購入するために43億円(を支払うのは)は高額すぎる。納得できる説明が欲しい」
  • 「日吉台中学校や樽町中学校など周辺部の中学校が大規模化している。なぜ(計画地に)中学校建設を検討しなかったのか
  • 「港北区より(10万人以上)人口が少ない旭区や保土ヶ谷区、港南区には中学校が11~15校あるのに、港北区には9中学校しかないのはおかしいのではないか」

との意見を表明しました。

出席した9人の公述人は、疑問を持つ立場の人は全員が60歳代以上とみられ、箕輪町の在住者だと表明する人が目立ちました。賛同する立場の人は全員がスーツ姿で30~50歳代のビジネスマンとみられ、「30年前に日吉へ通学していた。いつかは(日吉に)住みたいと思っている」と述べた人もいました。

賛同する3人のうち2人が意見表明後は速やかに会場を後にしていたことに対し、疑問を持つ立場の公述人からは「(公述人として)あれで(意見表明後は即座に立ち去って)いいのか」と横浜市側に確認する一幕も。一方、疑問を持つ立場の人が発言した後には会場から大きな拍手が上がっていました。

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【参考リンク】

港北箕輪町二丁目地区地区計画の決定について(横浜市都市整備局、説明会のスライド資料[PDFファイル]も掲載)


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