日吉の丘を彩る、今年で3年目を迎えた菜の花畑がちょうど見頃に――日吉の丘公園(箕輪町3)で、きのう(2017年3月)29日(水)午前、地元・日吉の樹木医として著名な池本三郎さんらNPO法人自然への奉仕者・樹木医協力会(安部鉄雄理事長、日吉本町3)や、日吉の丘公園愛護会のメンバーらにより、新たに8平方メートルの花壇作りと、同愛護会に近隣住民から寄贈された草花の種まきが行われました。
この花壇作りを指導するのは、同協力会副理事長で、神奈川県二宮町在住の樹木医・長谷川芳男さん。
20年以上にわたり「循環型社会のモデルとなる」公園や花壇作りに取り組んできた長谷川さんの指導により、2014年までは鬱蒼(うっそう)とした竹藪(やぶ)や草むらばかりが覆っていた同公園に、その翌年の2015年から花壇作りが行われることになったといいます。
元々荒れていた日吉の丘公園の「竹の伐採(ばっさい)」に取り組んだのが、日吉在住で同愛護会会長の小幡和夫さん。「身体を痛めるほどに」固い竹を切るのは大変だったとのことで、竹を刈った跡地も、竹の根が張り、「とても耕すことは不可能」(小幡さん)と、耕すことをしなくても「持続可能な」花壇作りができないか、と模索した結果、長谷川さんの指導を仰ぐことに。
長谷川さんは、相模湾を臨み、背景に富士山を抱える神奈川県二宮町の吾妻山公園で公園の斜面を一面の菜の花畑に変えたことで広く知られており、この日も土作りのために落ち葉を撒いた縦2メートル、横4メートルの新しい花壇用スペースに撒く「ぺリット」と「EM(イーエム)活性液」を用意。
微生物が落ち葉を分解し、土を発酵(はっこう)させる手法で、無農薬・無肥料で持続できる「土作り」を8月にも完成させ、今年の秋には翌春を彩る菜の花の種を撒く予定です。
この日は、書籍「日吉の丘公園植物図鑑」(2014年3月、同協力会刊)を監修した玉川大学農学部の准教授・山岡好夫さんの教え子で、生物環境システム学科の学生3名が学習の一環でこの花壇作りに参加しました。
4月から同大学の2年生に進級する武部絵里香さん(茨城県出身)は、「子どもの頃から自宅に木々があり、樹木医を志すようになりました。自然に囲まれて過ごせるよう、夢を叶えたい。子どもたちが自然と親しみながら大いに遊べるこの公園は、素晴らしいと感じています」と、2回目の訪問となる日吉の丘公園の感想を語ります。
なお、今回の花壇作りを企画した樹木医の池本三郎さんは、米ワシントンのポトマック河畔に桜並木を作るきっかけとなったエリザ・シドモア(1856~1928年)にちなんだ「シドモア桜」の普及活動を行っていることで全国的に知られています。
池本さんは、既にこの地でも大きく育ったシドモア桜のほか、自身現地での保護活動に携わったという山形県の国指定の天然記念物「久保桜」、やはり住民から寄付されたという「一葉(いちよう)桜」も植樹するなど、日吉の丘公園を美しい桜の名所として後世に遺すべく、日々尽力しています。
日吉の丘公園には、池本さんらによる草花の名前や由来を示す貼り紙や掲示のほか、池本さんの出身校・日吉台小学校の校歌の歌詞も掲示。「楽しく遊ばんわが友よ」という一番の歌詞の通り、この公園でまずは子どもたちに“遊んで”もらいたいと、地域の有志による手作りの紙ひこうきや、日吉の丘で伐採された竹を利用して作られた竹とんぼも自由に訪問者が遊べるようにと設置しています。
数年前まではまさしく「荒れ果てていた」日吉の丘公園を見事に“再生”させた池本さん、小幡さん、そして長谷川さんらの日々の努力により、「菜の花」と「桜」を楽しめるこの公園を訪れる人は、これから少しずつあたたかくなるにつれ増えていきそうです。
※菜の花畑の見頃は、今年は2月中旬~4月中旬とのことです。
【2017年4月6日追記】
【関連記事】
・日吉の池本さんがつなぐ「日米友好」のシドモア桜、3/27(月)に植樹(2017年3月25日)
【参考リンク】
・日吉の丘公園(横浜市港北区の公園案内)
・【お知らせ】NHK BS新日本風土記で二宮町・吾妻山公園が放映されます(NPO法人地球環境共生ネットワーク)※樹木医・長谷川芳男さんが所属
・NHK新日本風土記「花紀行」(2017年3月24日)※BSプレミアムにて3月31日(金)午前8時からの再放送にて長谷川芳男さんが出演