【グルメレポート第15回：2017年3月21日「日吉町エリア編1」】慶應義塾大学の理工学部に所属する3年生以上が通う「矢上キャンパス」（日吉3）は、日吉駅東口から歩いて約15分。住宅街の丘を切り拓いて作られたキャンパス周辺は、駅前にある「日吉キャンパス」と比べると飲食店の数はごくわずかですが、一昨年（2015年）秋に現れたのが小さなラーメン・カレー店。簡素な店構えからは想像もつかないほど、個性あふれた一品を提供しています。
矢上生にはおなじみ、慶應の駐車場を通ってのみアクセスできる喫茶「オコ」
矢上キャンパスの周辺には、門前で45年間営業を続けてきた著名な食堂「たちばな」と、慶應の駐車場を通ってしかアクセスできない老舗喫茶店「オコ」が今も健在ですが、周辺が住宅ばかりという環境に加え、「キャンパス内で食事する学生が多くなり、周辺の飲食店は年々少なくなっていった」と古くから住む地元の人は言います。
今回ご紹介する「佐藤」（日吉4）は、「チロル幼稚園」（日吉3）のほど近く、かつて矢上キャンパスの学生に親しまれた中華・ラーメン店「大門」が営業していた場所です。9年ほど前に店主が亡くなったため閉店し、長い間空きテナントとなっていましたが、2015年9月に新たな料理人がやってきてオープンしました。
2015年9月にオープンした「佐藤」には駅前飲食店のような派手さはない
20席ほどの小さな中華・ラーメン店時代の店舗をほぼそのまま使って、赤い看板には「ラーメン・カレー佐藤」とのみ掲げられ、外にはメニューも出されていません。
自動ドアはずっと故障中で、店内には手書きの文字メニュー表のみ。かつて街でよく見かけた大衆食堂のように、特に個性を出さない“黄色いカレーライス”と薄口のしょうゆラーメンを出す店かと思ったらこれが大違いでした。
キーマカレーとチキンカレーが一度で味わえる二種盛り（900円）
カレーメニューは、チキンカレー（税込800円）とキーマカレー（同800円）、そして2つを半分ずつ盛った「二種盛り」（同900円）の3種類。チキンカレーは長時間煮込んだ濃厚なタイプで、スパイスの効いた辛さがカレー好きにはうけそう。
色の濃いキーマカレーは見た目とは違ってマイルドな味わいで、辛さが苦手な人でも食せるはずです。食堂のような店構えなのに、専門店で出されているかのようなカレーが出てくることにまず驚かされます。
本格的なカレーだけでなく「醤油ラーメン」（600円）も味わいたい
もう一つの柱である「醤油ラーメン」（税込600円）も、想像していた“大衆食堂然”としたラーメンからはほど遠く、背油が浮かんだ濃い目のスープは、日吉駅前の専門店で食しているかのよう。ちなみにチャーハン（同600円）は「いかにも中華店」といった味わいでした。
いずれも予想を裏切られるしっかりした料理なので、カレー店なのかラーメン店なのか、または中華店なのかさっぱり分からなくなってきます。
チャーハン（600円）もボリューム十分。セットにできるミニチャーハンがないのは残念
このほか、「野菜盛りラーメン」（同600円）や「みそラーメン」（同700円）、「もつ煮込み定食」（同800円）、「チャーシューやさい丼」（同800円）、「ギョウザ（7個）」（同400円）などのメニューもあり、すべてを制覇したくなってしまいます。
オープンから1年半、ここが“穴場”の飲食店であることは矢上キャンパス生にも徐々に知られてきたようで、昼間は常連らしき学生の姿も目立ちます。
日吉駅前にある飲食店のように派手さはまったくありませんが、知る人ぞ知る矢上エリアの新たな名店。駅から少し歩いてでも訪れる価値はありそうです。
（※）2017年7月に移転のため閉店を告知、詳細はこちらの記事をご覧ください
- このコーナーは記者が個人的に訪れているなかで、「ここは！」というお店についての情報を紹介するとともに、個人としての所感を述べていく連載。バックナンバーはこちら。なお、日吉・綱島・高田以外の港北区内エリアの情報は「新横浜新聞～しんよこ新聞」をご覧ください
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・慶應矢上近く日吉4丁目、旧「中華大門」の場所にラーメン・カレー店オープンへ（2015年9月19日）
・慶應矢上キャンパス前で45年、理工学生待つ「たちばな」の忘れられない家庭的な味（2016年9月29日）
【参考リンク】
・ラーメン・カレー「佐藤」（「食べログ」のページ）
