<日吉の人>米の著名投資家集団からも注目、ITビジネス分野の起業家・林高行さん | 横浜日吉新聞

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インタビュー

インタビュー日吉・綱島・高田で飛躍が期待される人のインタビューコーナー。今回は米国の著名投資家集団からも注目を集める起業家、日吉本町5丁目に本社を置く株式会社ヴィクセスの創業者・林高行さんをご紹介します。大学進学と同時に日吉に住んでまもなく20年。第二の故郷からITビジネスの分野で羽ばたこうとしています。

大阪市内の中心部で印刷業を営む家に生まれた林さんは、1998年の大学進学と同時に日吉に居住。「慶應義塾大学へ進学した兄が日吉に住んでおり、私が入学した大岡山の東京工業大学にも近いということで、転がり込みました」。

林さんの兄は慶應大を卒業後、家業を継ぐため大阪へ戻ったものの、自身は日吉の街が気に入り、現在では自宅も購入。起業の地にも選んでいます

2012年に日吉で起業した林さん

2012年に起業した林さんの日吉在住は19歳の頃からと長い

「大学生の頃は、綱島東のパナソニック工場前にあったレストランでアルバイトしていたのですが、風景がすっかり変わりましたよね。当時は綱島街道を走る暴走族や日吉駅周辺でもあまり風貌のよろしくない集団の姿も見られましたが、今ではそんな風景もなくなり、さらに住みやすい街になった気がします」。

東京工大で開発システム工学を学び、大学院へ進んだ末、技術者として米シティバンクに就職。その後、6年間在籍したみずほ証券で、近未来の起業につながる技術や知識の基礎を身に付けたといいます。

「『デリバティブ商品のクオンツ業務』というのですが、複雑な金融商品に関しての分析や予測を行う業務を主に行っていました。その後、膨大なデータを扱う分野で起業したのは、この時の経験が生きています」。

「データが大好き」企業の分析サービスを開発

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ビジネスインテリジェンス(BI)の分野で注目を集める株式会社ヴィクセス

林さんが2012年8月に創業したヴィクセスは現在、企業が持つ売り上げ情報などの膨大なデータを集めて瞬時に分析する「ビジネスインテリジェンス(BI)」と呼ばれる分野のサービスを行っています。

「通常、ビジネスインテリジェンスのシステムを作るためには、膨大なシステム開発費と時間が必要なのですが、私たちが開発した独自の『Analytica(アナリティカ)』というサービスでは、インターネット上から容易にいつでも使えることを可能にしました」。

インターネット上で使える「クラウド型」のビジネスインテリジェンスシステムは珍しく、金融機関などからも引き合いがあるといいます。

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米の著名な投資会社である「500 Startups(ファイブハンドレット・スタートアップス)」の投資家らの前でプレゼンテーションする林さん(2016年9月神戸、YouTubeより)

昨年(2016年)秋には、世界最大級の投資ファンドと言われる米国の「500 Startups(ファイブハンドレット・スタートアップス)」の投資家が並ぶ前で、初めて事業のプレゼンテーションを行っています。今は同社から出資を受けるまでには至っていないものの、世界の投資家に与える影響が大きい集団に林さんのビジネスが知られることになりました。

「彼らの前で発表できたことで、自らを見直す機会になり、もっともっと仕事をスピードアップしなければと痛感させられました」。

今後の成長が期待される林さんのビジネスですが、起業した当初は、一般層を相手にした「BtoC」の“派手なインターネットサービス”を作ったものの、上手くいかずにサービスを閉じたことがあったといいます。

「自分は本当に何がやりたいのか、何をやるべきなのかを突き詰めた結果、やはり『データが大好きだ』ということに気づき、現在のサービスが生まれています」。

起業当初の失敗経験を経て、今は迷いがなくなったという林さん。日吉の街に根を張り、ビジネス向けの「BtoB」分野でITサービスを磨き続けています。「目標はもちろん上場することです」。

今後のさらなる飛躍に期待が集まります。

【参考リンク】

株式会社ヴィクセスの公式サイト

Analytica(アナリティカ)の紹介

林高行さんの「500 STARTUPS KOBE DEMO DAY 2016」でのプレゼンテーション(英語、2016年9月)


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