元住吉駅から続く商店街を通る路線バスは「休止」のまま復活しないことが確定しました。朝の時間帯に限って井田方面から「ブレーメン通り」と「オズ通り」を通り、駅前まで乗り入れていた川崎市バスの路線について、川崎市は2016年6月28日に国土交通省へ路線廃止の届出を行うことを発表し、12月28日をもって正式廃止となることに決まりました。また、同じルートを走っていた川崎鶴見臨港バスも廃止の見通しです。
商店街内を走るバス路線は、2011年5月まで商店街の店舗が開店する前の時間帯(始発から9時30分)に限って運行されていましたが、バスルート上にある綱島街道「やぐら橋」の拡幅工事にともない、商店街と駅前を通らずに木月四丁目(焼肉交差点)を経由する暫定ルートに変更が行われました。
同年9月に工事は終了したものの、商店街などは、安全性の問題から商店街を通さずに木月四丁目経由を継続してほしいとの要望を提出。市もこれを踏まえ、商店街ルートの休止を続けました。当初、市は元のルートに戻す意向でしたが、ラッシュ時には1時間に最大で17本を運転していた商店街の道幅は狭く、歩行者も多い状態であることから、商店街側が「復活」に難色を示したものです。
一方、商店街ルート沿いには「井田交番前」や「中ノ町住宅前」「木月3丁目」など6つの停留所があり、これらが廃止されると井田中ノ町などの住民を中心に不便になることから、井田地区の町内会などは、元のルートでの運行再開を要望していました。
商店街と井田住民という中原区内の意見が二つに割れる状態となり、市議会へは「廃止」と「再開」という相反する請願が同時期に出されるなど混乱。テレビの情報番組「噂の!東京マガジン」でも特集されたほどでした。

1994年ごろ、オズ通りを通る路線バスの様子(川崎市が2014年に発表したPDF資料より)
今回、正式に廃止の届出を行うことについて川崎市は、(1)安全性の確保が困難なこと、(2)木月四丁目経由でも所要時間に差がなく、運行当時よりも商店街の通行者が増えたため逆に時間がかかること、(3)市バス運行本数の増加や路線延伸などにより、井田地区から利便性の向上が図られていること――の3点を理由にあげています。
一方で「当該地域において意見が整う見通しはなく、(法に規定する)協議会での協議が整った場合における(廃止)届出は困難」(同市発表資料)とし、再開を望む住民らの合意が取れないままの廃止届出であることを示唆しています。とりあえず、市の最終判断によって、ルート変更問題は廃止という形で決着がつくことになりました。
【関連記事】
・<井田病院>武蔵小杉行の無料シャトルバスを3月で廃止、市バスの増便で(2016年3月8日)
【参考リンク】
・モトスミ・ブレーメン通り及びモトスミ・オズ通りのバス路線廃止の届出を行います(2016年6月28日、川崎市)
・モトスミ・ブレーメン通り及びモトスミ・オズ通りの市バスの運行について(PDF、2014年8月22日、川崎市)