<建築家コラム>新たな宅地を見つけづらい日吉、地元の建築家に何ができるか

横浜日吉新聞
日吉の建築家コラム

日吉の建築家コラム日吉では相次ぐ再開発が進むだけでなく、街では新たな試みも始まっています。その一つが先日(2016年5月22日)、日吉駅前の中央通りを封鎖して行われた大型フリーマーケット「日吉楽市」です。

その日、私自身は打合せがあったため、中央通り近くにある事務所から日吉駅へ行く際に少ししか見ることができなかったのですが、朝にもかかわらず既に多くの人が歩いており、活気が伝わってきました。次回の開催を期待しつつ、その際は地元住民の一人として楽しみたいと願っています。

2016年5月22日(日)に中央通りで開かれた「日吉楽市」は大きく賑わっていました

こうした新しい試みは今後も増えてくるはずです。前回お話ししたように、日吉周辺での大きな再開発により、生活人口がさらに増加すると考えられるからです。全国各地では人口減による小学校を統廃合するニュースが目立つなか、日吉や綱島の一部では教室が足りなくなり、2020年春には箕輪町2丁目に新たな小学校さえ設けられる予定です。保育所も続々と建てられています。働く世代の住民は今後も増加していくでしょう

個人的には、日吉の街がより良くなる方向の取組みとしては大歓迎です。騒音や交通、ゴミ問題など、既存住民に対する配慮は大切なことですし、魅力的な街づくりや住環境を考えていくのも私達、設計事務所としての責務だと思います。

そこで最終回となる第3回は、日吉で新たに暮らしてみたい方や、転居を考えている方に向けて、建築家の視点から3つの考え方をまとめてみました。

(1)良い土地がなかなか出ない日吉、その探し方とは

日吉には山道のような「公道」もけっこうあります

日吉には山道のような「公道」もけっこうあります

日吉という場所は東横線沿いで人気のエリアということもあり、良質な宅地がなかなか出ないことでも知られています。

横浜市が実施している調査においても、特に日吉駅から徒歩圏内のエリアでは「供給が少なく、市場に出回れば希少性が認められ60万円/平方メートル前後の高値で取引される場合もある」(横浜市「地価水準・賃料・利回り動向レポート」2016年1月発行号)と報告されています。

たまたま見つかったとしても、狭小地であったり、がけ地であったりと一般的に住宅を建てるには敬遠される土地であることもしばしばです。日吉駅はもともと丘陵地に作られ、同時に宅地開発が行われたため、駅の周辺地域を中心にどうしてもがけ地が多くなってしまいます。

日吉の丘の上から富士山が見えることもあります。地元民しか知らないスポット

日吉は丘が多いだけに富士山が見えることも。地元民しか知らないスポットです

そこで活用したいのが建築家の情報網と視点です。不動産的な観点では、地価や交通利便性などから「まず家を建ててしまうこと」に目が向きがちですが、私達のような建築家は、その土地で依頼主が考える理想的な家が建つかどうかを一番のポイントとして見ています。土地が持つポテンシャルを最大限引き出す家づくりを常に考えているのが特徴です。

依頼主が理想とする家を作るために、どのような土地が適しているのか――。常にアンテナを張って地域の情報を収集しています(特に私達は住民として長年住んでいるためか、必要以上に情報が入ってきます……)。

日吉での土地探しから検討している方は、地元建築家に土地探しの協力を求めるのも一つの方法です。

(2)予算額の大小ではなく、まずは使うお金を明確に

p160531p02日吉での生活を楽しむために、住まう所を見つけたあとのライフプランはとても大切なことです。過度に家だけにお金をかけてしまうと、のちの生活にも影響してきます。

まず、住まいへかけることができるお金の額を正確に把握することが大事です。そのうえで、土地からの家づくりが良いのか、マンションを購入してリノベーションした方がいいのかなど、さまざまな選択肢が生まれてきます。ライフスタイルに合った住まい方を考えることが大切です。

なお、建築家を代表して一つだけPRさせていただくと、建築家は家を設計して作るのが仕事であり、今ある土地や住宅物件を売るのが仕事ではありませんので、予算に合わせた客観的な判断が可能です。

日曜日の夜に放送されているリフォーム番組ではありませんが、「このご予算で」と言われれば、その範囲内でいかに良いものが作れるかをまず考え、あらゆるネットワークを駆使して依頼者の希望を叶えようという人種ではないかと思います。もちろん、テレビ番組のように上手くいくケースばかりではないとはいえ、「何とかしよう」という思いは人一倍強いということがいえるでしょう。

(3)住まいの不安を相談できるパートナーはこう探す

p160531p01住まいづくりは、新しい生活に向けての近未来を想像したり、考えたりするなかで、楽しいことが多いのですが、同時にさまざまな不安が出てくることもよくあります。一生に何度もない“大きな買物”をするのですから、色んな思いにかられるのは当然です。

そんなときに色々と相談できるパートナーがいれば、迷った場合も一緒に解決しながらスムーズに計画が進むでしょう。自分の身近に家に関する細かな悩みを相談できる人がいれば一番良いのですが、そうそう見つかりません。なかには宅建免許を持っている知人や友人、近所の人がいるかもしれませんが、地元の事情に詳しいかどうかは分かりません。

一つの考え方として、日吉に身近なパートナーを見つけてはいかがでしょうか。同じ地域に住みながら長年不動産業をやっている方とか、老舗リフォーム事業者の方とか、地元の人にお願いすることです。こうした人は事業者である前に、自分と同じ街の住民になるわけですから、「何かを売りつけ、はいサヨナラ」ということはまずないはずです。

大手の事業者やチェーンであっても、親身になってくれる人は多々いるのですが、頼りにしていたのに遠くへ転勤してしまった、というケースもあるのが悲しいところ。優秀な人ほど他の場所でも必要とされるのでしょう。

入口の草木が目印です

中央通り近くにあるエー・エム・エーデザイン建築設計事務所

その点、地元の事業者は、事業者である前に住民ですから、地元からいなくなることはほとんどありません。私達も同様に建築家である前に日吉住民ですから、逃げも隠れもいたしません、といいますか、できません……。中央通りの「TSUTAYA」に近い場所で事務所は常にオープンしていますので、日吉で(もちろん綱島や高田も)家に関する悩みや相談がありましたら、何でもどうぞ。

・・・

これまで3回の寄稿を通じ、日吉に住むことや、設計事務所という存在に関心をもっていただけたでしょうか。

今後も私達は変わらずに日吉の街で活動を続けていきます。「建築家はこんなことをやっているのか」と気になった方は、外から事務所のなかをそっとのぞいてみてください。現場へ出かけている時もありますが、スタッフの誰かがお待ちしています。何かの機会に日吉の街でご一緒できることを心待ちにしております。「日吉の建築家コラム」を最後までお読みいただきありがとうございました。

<執筆者>

p160401a02朝倉元(はじめ):福岡県出身、1996年に武蔵工業大学工学部建築学科を卒業後、殖産住宅相互会社やアーネストホーム株式会社を経て2008年に日吉でエー・エム・エーデザイン建築設計事務所を設立

p160401a03朝倉美穂:横浜市港北区出身、1996年日本大学理工学部建築学科を卒業後、株式会社松下トータルプラン、アーネストホーム株式会社を経て2008年に朝倉元氏と日吉でエー・エム・エーデザイン建築設計事務所を設立

(提供:エー・エム・エーデザイン建築設計事務所)

【連載記事】

<日吉の建築家コラム>大変化する日吉と綱島、地元の設計事務所が果たすべき役割(連載第2回、2016年5月1日)

<日吉の建築家コラム>設計事務所って、けっこう地味な仕事だったりします(連載第1回、2016年4月1日)

人通りに面する場所に事務所を開設、日吉を拠点に活躍する建築家の思い、4月から連載(2016年3月22日)

【参考リンク】

エー・エム・エーデザイン建築設計事務所


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