“川崎日吉”の北加瀬で「子育て世代」意識した再開発が進行中、JR東日本など計画 | 横浜日吉新聞

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JR東日本による北加瀬における再開発のイメージ
日吉駅と新川崎駅からの再開発地の位置図(グーグルアースを加工して使用)

日吉駅と新川崎駅からの北加瀬における再開発地の位置図(グーグルアースを加工して使用)

日吉駅から直線距離で約1.5キロほど、矢上橋を渡って少し歩いた場所にある川崎市幸区北加瀬2丁目周辺で再開発の動きが広がっています。子育て世代向けの賃貸住宅や保育園、商業施設の設置を計画しており、発展が続くJR横須賀線の新川崎駅や南武線の鹿島田駅まで徒歩圏内という利便性を生かし、かつての工業地帯を支えてきた地は、子育て世代を歓迎する住宅地へと変わりつつあります。

北加瀬の地は、隣接する大倉町に現在も三菱ふそうトラック・バスの巨大な工場が位置するなど周囲に工場が多く、至近の新川崎駅一帯には東洋一と呼ばれた新鶴見操車場が置かれるなど、工業と鉄道のまちづくりを支えてきました。

ただ、現在では三菱ふそう以外の大規模な工場は多くが撤退しており、新鶴見操車場も大半の機能を停止。産業構造の変化で空いた土地を使っての住宅地開発がさかんとなっています。

JR東日本が再開発を予定する北加瀬2丁目の敷地、後方には建替えられた社宅が見える

JR東日本が再開発を予定する北加瀬2丁目の敷地、後方には建替えられた社宅が見える

日吉駅側に近い位置となる北加瀬2丁目では、JR東日本の社宅跡地1万1600平方メートルを使い、JR東日本グループがファミリータイプの賃貸住宅を中心に、子育て支援施設や商業施設、老人ホームも含めた再開発を進めようとしています。

かつてこの場所には、新鶴見操車場で働く人のために国鉄時代の「官舎」が存在。JR東日本への移行後も「北加瀬社宅」として活用されてきましたが、老朽化による建て替えを行い、この際に余った土地を活用しての計画となります。現在は更地となっていますが、2017年度下期には完成させる予定だといいます。

神奈川県住宅供給公社による約174戸の賃貸住宅と保育所の建設現場(北加瀬1丁目)

神奈川県住宅供給公社による約174戸の賃貸住宅と保育所の建設現場(北加瀬1丁目)

このJR社宅跡地から歩いて1分ほどの場所にある北加瀬1丁目では、神奈川県住宅供給公社による約174戸の賃貸住宅と保育所の建設が進んでいます。

ここは1950年代後半から公営の団地があった場所で、取り壊された後は、約8000平方メートルほどの敷地に「子育て家族が快適かつ安心・安全な暮らしを送ることができる」というコンセプトで、5階建ての公営賃貸マンションを2017年4月の完成へ向けて工事が行われています。

いずれの開発も川崎市立日吉中学校(北加瀬2)の周辺で行われている

いずれの開発も川崎市立日吉中学校(北加瀬2)の周辺で行われている

これ以外にも、両敷地の道路1本挟んだ場所にはかつて、日本発条(ニッパツ)の川崎工場があり、多くはゴルフ練習場「リンクス新川崎」として使われていますが、それ以外の土地は大型マンションが建っており、既に多くの子育て世代が流入。北加瀬は子育て世代の街へと変貌を遂げようとしています。

かつて横浜側の日吉とともに、日吉村の仲間であったことを校名に残す「日吉中学校」(北加瀬2)にほど近い場所で相次ぐ再開発。日吉駅から直線距離では近所といえる距離にもかかわらず、“横浜日吉”と“川崎日吉”を結ぶ道路が貧弱なために公共交通機関が少なく、生活圏が交わりづらいのが残念なところです。

※見出し左の写真はJR東日本による北加瀬2丁目における再開発のイメージ(同社ニュースリリースより)

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【関連リンク】

ジェイアール東日本都市開発「川崎市内において多世代が交流できるまちづくりを進めてまいります」PDF、2016年3月25日)

(仮称)北加瀬1丁目賃貸共同住宅の賃貸施設における認可保育所の設置運営者の募集について(神奈川県住宅供給公社、2015年11月2日)


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