<日吉新生活ガイド4>日吉と綱島で家やマンションを買うなら小学校区に注意を | 横浜日吉新聞

横浜日吉新聞
日吉新生活ガイド

日吉新生活ガイドようこそ日吉へ――。今年(2016年)も日吉の街に多くの人が引っ越してきます。横浜日吉新聞ならではの新生活ガイド、第4回は日吉と綱島における公立小学校・中学校の「学区」についてまとめてみました。小中学生の子どもを持つ世帯が引っ越しを考える際、場所の選択次第では「こんなに遠い場所から通わせるのか!」と驚くことにもなりかねません。

現在、小学校は日吉に5校、綱島は3校がありますが、その学区はかなり複雑です。例外が下田町(1~6丁目)で、ここは全域が下田小学校」(下田町4)へ通うことになるため、非常に明快です。日吉本町2丁目と5~6丁目周辺の一帯を学区とする駒林小学校」(日吉本町2)もまとまりがあります。なおかつ、この2つの小学校は中学校でもそのまま「日吉台西中学」(日吉本町5)という比較的小規模な中学校へ行けることになっています。2小学校の周辺は学区に関する複雑さや心配が比較的少ないエリアです。そのため、地域と学校の結びつきも強い傾向があります。

このほかの日吉と綱島においてはそうではありません。「隣のマンションとは違う学校だった」とか「近所に小学校があるのに遠い小学校へ通わなければならない」というケースさえ見られます。

横浜市教育委員会による公立小中学校の校区図、赤い線が小学校区、水色が中学校区(クリックで拡大)

横浜市教育委員会による公立小中学校の校区図、赤い線が小学校区、水色が中学校区(クリックで拡大)

これは、大型のマンションが建てられる度に学区が見直されてきたためで、今後もこうした状況が続くとみられます。たとえば「綱島西」という住所は3つの小学校区(北綱島、綱島、日吉南)に分かれており、ちょっとした場所の違いにより、同じ町であっても小学校はもちろん公立中学校も別になってしまいます。

現状の日吉と綱島の小学校区を地図で見ると、図表のようになっています。赤い線が小学校区で、青い線が中学校区です。

この図からは「日吉台小」(日吉本町1)と「矢上小学校」(日吉3)の校区が他の小学校と比べかなり広いことが分かるのではないでしょうか。

日吉台小学区内で一番遠い「日吉7丁目7番」から学校までの距離は約1.6キロ、大人の足で歩いても20分はかかります。同様に、矢上小学区の端にある「市営さかえ団地」(日吉6)から学校までの距離は約1.6キロ、こちらも20分は要することになります。低学年の子どもなら30分近く歩くことになるかもしれません。重い荷物を持っての登下校はなかなかハードです。いずれも通学路には車の往来が多いなど、環境が良いとは言えないので、交通事故も心配です。

両校とも、敷地の狭さでは港北区内で下位となっている小学校ですが、逆に学区は相当に広いという特徴があります。

日吉駅の周辺を拡大して、校区を色分けしてみたのが下記の校区図です。

p160328p000002

日吉駅周辺の小学校区(クリックすると拡大)

この図からは、日吉台小」や「日吉南小」(日吉本町4)、「北綱島小」(綱島西5)の周辺の学区が入り乱れていることが分かるのではないでしょうか。特に箕輪町2~3丁目や綱島東4丁目、綱島西5~6丁目と日吉本町4丁目、主要県道の「日吉元石川線」(荏田(えだ)綱島線)周辺地域が複雑です。

日吉台小は綱島街道を挟んで広く複雑な形となっており、日吉南小は校区が狭いながらも綱島西6丁目付近にまでおよんでいます。逆に北綱島小は日吉本町4丁目付近も学区となっています。

3小学校の校区を見ると、住所の枝番によって細かく分けられており、線引きに苦心している様子が読み取れます。

<「日吉台」小学校の2015年4月現在の学区>

・日吉1丁目:1番~6番10号、6番15号~25番
・日吉2丁目:全域
・日吉3丁目:1番~3番
・日吉4丁目:2番~3番
・日吉5丁目:1番~4番
・日吉7丁目:1番~7番
・日吉本町1丁目:全域
・日吉本町2丁目:1番~13番、31番~32番、34番~42番
・日吉本町3丁目:1番~19番、26番
・箕輪町1丁目:全域
・箕輪町2丁目:1番~2番、6番~20番
・箕輪町3丁目:1番~13番、17番

<「日吉南」小学校の2015年4月現在の学区>

・日吉本町3丁目:20番~25番、28番~32番、34番~39番
・日吉本町4丁目:1番~14番
・箕輪町2丁目:3番~5番
・箕輪町3丁目:14番~16番、18番~27番
・綱島西6丁目:7番~8番、18番~21番
・綱島東4丁目:1番~2番

<「北綱島」小学校の2015年4月現在の学区>

・綱島台:1番29号~1番30号、13番、14番15号~27番
・綱島西4丁目:8番~19番
・綱島西5丁目:全域
・綱島西6丁目:1番~6番、9番~17番
・日吉本町4丁目:15番~28番

この3校の学区は、教育委員会の人でも絶対に記憶できないのではないか、と思われるほど細かく分かれています。学校によって校舎の大きさが異なるため、増えていく児童を分散させるために考えた結果がこうした“線引き”になったとみられます。

3校区内では大型マンションの開発が今後も予定されているため、さらに複雑になる可能性もあります。

2020年4月の新小学校建設で学区がどうなるか

現在の小学校建設予定地付近の様子(2016年1月撮影)

箕輪町2丁目の小学校建設予定地付近の様子、現在は野村総研の建物(データセンター)が残っている(2016年1月撮影)

学区の複雑な状況に拍車をかけるとみられるのが、4年後の2020年4月に新しい小学校が箕輪町2丁目に建設されることです

日吉台小や矢上小に見られるような遠距離通学や、一部小学校で起こっている教室不足を解消できる可能性は高まりますが、新小学校の学区をどのようにするかによっては、在学途中で“転校”となる可能性も考えられます。

この新小学校は「日吉台小学校第二方面校」という仮の名前が付けられているため、これから日吉台小学校に入学する児童の一部は確実に新小学校へ移る対象となります。周辺の他小学校でも対象となる可能性があるでしょう。

児童にとっては、2020年4月時点で横浜市のもっとも新しい小学校に通うことができるうえ、通学も近くなるため大いに喜ばれそうですが、“大人の事情”は異なるかもしれません

p15.0718_daisyojpg

145年以上の歴史を持つ日吉台小学校

ある地元有力者は「日吉でもっとも歴史のある日吉台小学校の学区だったことを理由にマンションや家を買った人もいるため、新小学校の学区と簡単に分割できるものではない」と明かします。

また、綱島東小の校区ではパナソニック工場跡地の「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」(綱島SST)をはじめ、新たなマンション開発が相次いでいるため、急増する児童を新小学校で吸収することが期待されています。

ただ、日吉と綱島では町内会や自治会がまったく別の組織となっているため、「小学校は防災拠点となる場所でもあり、2つの地域が混在した校区は望ましくない」(自治会関係者)との指摘もあります。

巨大な再開発が2カ所で行われることを契機に決まった新小学校の建設ですが、校区の線引きは若干難しくなるかもしれません。(新小学校の建設に関する最新記事はこちらをご覧ください

徒歩30分超!川崎の公立中のほうが近い場所も

p151220p00001

日吉を代表する公立中学校「日吉台中」は生徒数900人超の大規模校

もう一つ、公立中学校についても日吉と綱島では課題があります。通学距離が長くなってしまいがちなことと、綱島には地元に公立中学校がないということです。

北綱島小は綱島西地区の小学校ですが、校区の一部は日吉を代表する大規模校の「日吉台中学校」(日吉本町4)へ通うことになります。このほか、住所に「綱島」が付く多くの地域では、鶴見川を渡った先にある「樽町中学校」(樽町4)に通うことになります。綱島に住んでいるのに、綱島には公立中学校が存在しないので、地元で通えないのです。

また、日吉でも大規模校ならではの校区の広さから、通学距離が長くなる場所がかなりあります。たとえば、矢上小学校は日吉台中のエリアですが、同小学校から同中学校までは最短距離でも約2.5キロ、歩けば30分以上かかります。川崎市幸区にある「川崎市立日吉中学校」ならわずか700メートル、徒歩10分弱で行けるのですが、行政区域が違うので当然通うことはできません。

日吉と綱島で公立中学校へ進学する場合は、場所によって通学距離が極端に長くなるということを、覚えておいたほうがいいでしょう。

【関連記事】

<コラム>日吉・綱島の「公立中学校」へ向けられる悪い定番イメージの真偽(2015年10月25日)

<アピタ跡の再開発地>新小学校は日大高校の裏手、プラウド日吉近くに建設(2016年1月31日)

小学校に関する記事一覧

【参考リンク】

横浜市教育委員会「小・中学校通学区域のご案内」


カテゴリ別記事一覧