鶴見川に新たな架橋検討、綱島上町や新吉田周辺など間隔が広い4カ所を調査へ | 横浜日吉新聞

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鶴見川と東急東横線

大綱橋より上流側には、東横線の鉄橋のほかは新羽橋まで2.1キロにわたって鶴見川を渡れる橋はない

“横浜”と日吉・綱島や新吉田などの地区を分断する鶴見川。港北区や鶴見区、都筑区で橋の間隔が長い場所のいずれかに新たな橋を架けるべきではないかとの議論が浮上しています。横浜市は2016年度の予算で初めて調査費として300万円を計上し、架橋の位置などを検討するといいます。

新しい橋を必要としている鶴見川沿いの4つの地域が候補としてあげられているだけに、「選考漏れ」の可能性も高く、日吉や綱島周辺の住民にとって、メリットをもたらす計画になるかどうかは不透明です。

綱島付近の鶴見川には、綱島街道の「大綱橋」をはじめ、綱島東6丁目と樽町・鶴見区駒岡方面を結ぶ「樽綱(たるつな)橋」や、日吉6丁目に近い綱島東5丁目には、駒岡との間に架かる歩行者・自転車専用の「鷹野橋人道橋」という3つの橋が存在していますが、上流側の綱島西や綱島上町地区方面にはまったく橋がなく、新羽(にっぱ)駅近くの「新羽橋」(新羽~大倉山)まで鶴見川を渡ることができません。

日吉・綱島周辺の架橋状況(国土交通省京浜河川事務所が制作したマップを本紙で加工し位置情報などを付加した)

日吉・綱島周辺の架橋状況(国土交通省京浜河川事務所が制作したマップを本紙で加工し位置情報などを付加した)※クリックで拡大

大綱橋(綱島街道)から新羽橋までの間隔は2.1キロにのぼっており、この間の地域は対岸と完全に分断された形となります。加えて、同じ港北区内では、新羽橋からさらに上流側にも橋がなく、次の「新横浜大橋」(北新横浜~小机)までは2.2キロもあいています。

港北区は区の真ん中に川幅の広い鶴見川が流れているため、「日吉・綱島」「綱島上町・新吉田東」の各地区と役所などが置かれている「大倉山・菊名」方面とは真っ二つに分断された形となっています。この周辺で鶴見川を車で往来できるのは、大綱橋と樽綱橋の2カ所しかありません。

現在、横浜市が新たに架橋する位置の候補としてあげているのは、港北区内で“無架橋”間隔が長い「大綱橋~新羽橋間(2.1キロ)」「新羽橋~新横浜大橋間(2.2キロ)」の2カ所に加え、

・都筑区と緑区の区境にある「鴨池大橋」と「新川向橋」の間(1.6キロ)
・鶴見区の「末吉橋」と「新鶴見橋」の間(1.5キロ)

の合計4カ所において、下記にあげる4つの観点から橋を新設する検討を行うといいます。

(1)周辺地域の利便性向上の程度
(2)都市計画道路のネットワーク、歩行者と自転車の回遊性
(3)地域防災拠点や広域避難場所への避難ルート
(4)両岸にまたがる小中学校の学区、福祉施設のサービス範囲

これは、昨年(2015年)2月の市会で市が表明したものです。

橋の間隔が広すぎるという点では、港北区内2カ所のいずれかに架橋するのが“当然”ともいえますが、綱島上町や新吉田地区を考えると、現状では大倉山や大曽根側から「新しい橋」を渡ってやってくる交通を受け止める道路や道路計画が見当たらず、「都市計画道路のネットワーク」という点では弱さも見られます。他の3カ所には架橋後の道路ネットワークを想起させるような“それらしい都市計画道路”が存在しているのが現状です。

また、最近の横浜市会では、鶴見区側の無架橋間に人や自転車専用の「人道橋」として新設を求める声をあげる議員も出ています。綱島上町や鶴見川に近い新吉田東地区においても、架橋の必要性を積極的に訴えていく必要がありそうです。

【関連記事】
<横浜市が案を提示>綱島街道4車線化と下田町へのバス通り拡幅を優先整備へ(2015年11月14日、都市計画道路に関する記事)

【関連リンク】

平成28年度道路局予算概要について(横浜市、PDFの5ページ目「鶴見川中下流流域の橋梁間隔短縮検討調査」参照)

鶴見川の概要(国土交通省京浜河川事務所、橋などの全体図あり)


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