オレオレ詐欺「だまされたふり」で今年県内初逮捕、綱島の男性に感謝状 | 横浜日吉新聞

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港北警察署の陶山和美(すやまかずよし)署長から、「だまされたふり作戦」でオレオレ詐欺の犯人逮捕に協力した綱島上町の大橋信三さんに感謝状が手渡された。今年に入り、オレオレ詐欺の現場での検挙は、この件が神奈川県内では初めて

港北警察署の陶山和美(すやまかずよし)署長から、「だまされたふり作戦」でオレオレ詐欺の犯人逮捕に協力した綱島上町の大橋信三さんに感謝状が手渡された。今年に入り、オレオレ詐欺の現場での検挙は、この件が神奈川県内では初めて

「だまされたふり作戦」で、オレオレ詐欺の犯人を、神奈川県内で今年初逮捕――神奈川県港北警察署は、2016年1月14日、詐欺未遂の疑いで、北九州市居住の無職男性(すべて自称)を、現行犯逮捕しました。

この「オレオレ詐欺」の犯人逮捕に「だまされたふり」をして捜査に全面協力した大橋信三さん(綱島上町)に、2016年1月29日(金)に港北警察署で、陶山和美(すやまかずよし)署長から感謝状が授与されました。

今回の事件は、大橋さん宅に息子を名乗る被疑者から電話があり、「仕事で使うかばんを紛失した。その中に小切手が入っており、取引先に支払わねばならない。必ず返すから、350万円貸してくれないか」などと言われ、大橋さんは「すっかり信じ込んでしまった」と、金融機関へ出向きます。

大橋さんが金融機関で下ろそうとしたお金の金額が高かったことから、不審に思った金融機関が港北警察署に通報。港北警察署員に「オレオレ詐欺の疑い」を指摘され、だまされたふりを行い、警察署員の特別配備もあり、犯人の現行犯逮捕に至ったものです。

犯人逮捕に協力した大橋さん。「近くに息子も住んでいるのにだまされそうになってしまった。やはり実際に確認するべきだった」と、金融機関まで行ってしまったことを悔やむ

犯人逮捕に協力した大橋さん。「近くに息子も住んでいるのにだまされそうになってしまった。やはり実際に確認するべきだった」と、金融機関まで行ってしまったことを悔やむ

「警察の方に”詐欺の疑い”と言われても、”(息子に対する)仕事を、邪魔してくれるな”とすら感じるほど、すっかりだまされていたんです。けれど、よくよく考えたら、”息子は仕事で小切手を使っていたかな”と、確かにおかしいと思い、捜査に協力したんです。犯人から指定された場所まで出向き、現金受け渡しを行った後、犯人を警察の方が取り押さえてくれました。一生懸命工面したお金をこういったかたちで奪おうとするのは、とても許せないことです」と、大橋さんは、捜査に協力した状況や心境を語ります。

電話を受けた場所も、現金受け渡しを行った場所も、自分が住む街・綱島だったという大橋さん。「テレビやマスコミなどで良く聞く『オレオレ詐欺』は、認識はしてはいたのですが、自分とは別世界の出来事だと思っていました。まさか自分が、渦中に入ってしまうとは。まんまとだまされ、金融機関に行ってしまいました。金融機関の方や、警察の方からの”これは危ない”という指摘がなければ、だまされ続けていたところでした」と、まさか、自分が当事者になるとは思いもよらなかったと、金融機関に行くまでだまされてしまったことについて悔やみます。

ましてや、「息子は自分の近くに住んでいるんです。一本、電話などで声かけさえしていれば。直接やりとりせねばダメだな、と感じました」と、息子さんへの事実の確認の必要性についても、実体験を基に説明してくれました。

犯人検挙の場に居合わせた刑事第二課長の金子祥之さん。「だまされたふり作戦」は、犯人に見破られると即逃げてしまうので、大橋さんの演技力が犯人逮捕に至ったと思います、と大橋さんを称える

犯人検挙の場に居合わせた刑事第二課長の金子祥之(よしゆき)さん。「だまされたふり作戦」は、犯人に見破られると即逃げてしまうので、大橋さんの演技力が犯人逮捕に至ったと思います、と大橋さんを称える

少しでも、犯人は”怪しい”と勘付くと、その場を立ち去ってしまうのです。このオレオレ詐欺の”だまされたふり”というのは、とても難しいものなのです。大橋さんの”演技力”により、犯人逮捕に無事至ることができました」と、今回の捜査を担当した刑事第二課長の金子祥之(よしゆき)さん

「だまされたふり作戦」でのオレオレ詐欺犯の逮捕は、2016年に入ってからは神奈川県内で初のケースになるということもあり、感謝状授与式では、大橋さんの功労を、陶山署長はじめ署員らが大きな拍手でたたえました。

昨年、2015年のオレオレ詐欺などの「特殊詐欺」被害は、神奈川県全体では減少傾向にあるものの、港北区では、2014年の37件に対し、2015年は44件と7件も増加。被害金額も合計で約9600万円と、「約1億円近い金額ものお金が犯人にわたってしまったのです」と陶山署長と金子課長は、港北警察署管内で被害件数が増加している状況を憂います。

大橋さんは、「実は、今から10年ほど前、娘がバイクに乗った若者2人に”ひったくり”にあった際も、港北警察署の方に犯人を検挙していただいたんです。二度まで、港北警察の方に助けられました」と語り、また、この綱島でこういったことが起きてしまったということについては、「安全なようで、そうでないな、と感じました」と、この街での犯罪の発生を残念に思いながらも、捜査を実際に行った金子課長ほか、港北警察署の捜査担当の皆さんへの感謝の思いを語ってくれました。

陶山署長は「犯人の手口はとても巧妙です。だまされないで」と、オレオレ詐欺ほか最近起こる特殊詐欺に対する注意を呼び掛けている

陶山署長は「犯人の手口はとても巧妙です。だまされないで」と、オレオレ詐欺ほか最近起こる特殊詐欺に対する注意を呼び掛けている

陶山署長は、「犯人の手口はとても巧妙です。電話での”オレオレ詐欺”は、子ばかりでなく、弁護士、役所の人間など、ありとあらゆる登場人物が出てくる場合もあります。また、一度だまされた人が、二度、三度とだまされてしまうケースもあるのです。特に港北区の新横浜では、新幹線の利便性から、福岡や三重、岐阜、そして愛知など、地方からわざわざ呼び寄せられて、現金の授受の場所にされてしまう事件も発生しています。新幹線などの港北区の交通網の発達や便利さが、心ない犯罪に利用されてしまうのです」と、この地域ならではの「オレオレ詐欺」発生状況について注意を喚起します。

今回のような「かばんを紛失してしまった」などの「状況型」の詐欺がとても昨年多かったとの事で、「多い方だと、一人で2000万円もの大金を持っていかれたケースもあります。老後のためにと貯めたお金を、卑劣な犯人にわたしてしまうことになるのです。親戚などから借金までして、犯人に払ってしまったケースもありました。今の電話は、携帯電話だと特に誰が持ち主かの特定も難しく、逮捕が通常は非常に難しくなっています」といい、「『今日までなら還付するから』と金融機関のATMの操作を急がせ、逆に振り込ませてしまう還付金詐欺や、今年2016年4月からの電力自由化に伴う巧みな詐欺も増えつつあります。まずは当事者意識を持ち、とにかく、電話で『お金』の話が出たら、まずは詐欺と疑ってください」と、強く警戒することを訴えています。

港北区全域で貼り出されている「振り込め詐欺」への注意を喚起する「三國志」ポスター。当事者になった場合でも、冷静に「会話の中でお金について話が出たら=詐欺」という意識が必要

港北区全域で貼り出されている「振り込め詐欺」への注意を喚起する「三國志」ポスター。当事者になった場合でも、冷静に「会話の中でお金について話が出たら=詐欺」という意識が必要

港北警察署では、特殊詐欺の被害増加を防ぐ目的で、昨年2015年夏以降、70歳以上の方を対象に、エリアを分け、順次自宅を訪問する「予防活動」を展開。また、金融機関で大きな金額の振り込み依頼があった場合、警察に通報をお願いをするという金融機関との連携強化も行っています。

「この”オレオレ詐欺”などの特殊詐欺は、根絶せねばなりません。皆さんも自分が当事者になる可能性もあります。少しでも怪しい、と思ったら、ぜひ警察に連絡や相談をしてください。そして、大切なお金を、決して心ない犯人にわたすようなことがないよう、周囲の皆さんと情報の共有を行っていただき、また”特殊詐欺”防止に力をいただけたなら」と、陶山署長は、今回の犯人逮捕への功労者である大橋さんを称え、また、この犯罪の撲滅に向けての決意を語ると共に、一人一人の犯罪抑止に向けた協力を呼び掛けています。

【関連記事】
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(2015年11月3日)

【参考リンク】
港北警察署ホームページ

港北警察署ホームページ(署員の活躍など)


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