<コラム>痛ましい火災で痛感させられた日吉でも高齢化が進む現実

横浜日吉新聞
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ひよしコラムあらたまったニュース記事にはできないけれど、日吉の日常で知った情報や出来事をみなさんと共有する「ひよしコラム」の2回目です。先週の月曜日、2015年10月26日の昼過ぎに日吉本町1丁目で発生した火災では、居住者とみられる81歳の女性が亡くなるという最悪の結果となってしまいました。この火災を通じて、日吉の街でさえ高齢化が進んでいるという現実をあらためて痛感させられました

10月26日(月)13時20分ごろに発生した今回の火災では、付近の住民の発見がすぐに消防に通報し、また、かなり近所(箕輪町1)に消防署があったことから、近隣の住宅や、被災宅裏手の通称「八十階段」がある森への延焼は避けることができました

火災が起きた家は、日吉本町1丁目の住宅街のなかでも、もっとも丘の高い位置にあり、家の裏側には森が迫っていました。そのため、消化作業中には、上空をヘリコプターが旋回するなど、森への延焼を警戒している様子がうかがえました。

p151101p00001この家は、少なくとも50年以上前にはこの地に建てられていたといい、今回被害に遭ったとみられる住人の父親が著名大学(慶應義塾ではありません)の学者で、近隣の人たちにもよく知られた存在だったようです。

ただ、その先代の人が亡くなり、娘である現在の住人が一人で暮らすようになってからは、近所との交流が少なくなり、家の管理も行えていなかったといいます。火災前の家は、敷地一帯が木々に覆われ、家の姿さえ見えない状態。門扉の前には立ち入りを規制するかのように、カラーコーンさえ置かれていました。

今回被害に遭った住人は、この家で生活はしていたものの、他に居住している場所もあるのか、不在にしていることも多かったようです。そのため、近所では今回の火災時も中に人はいないものと思われていました。

火災から1時間ほどで火が消え、まだ煙の残る焼け跡に消防隊十数名が突入して一斉に捜索すると、遺体が見つかってしまい、近隣の住民は一様にショックを隠せない様子でした。

1960年に30代で家を建てた人が今では85歳

今回、火災が起こった日吉本町1丁目の住宅地は、神奈川県内では中区山手町に次いで2番目に地価が高いとされる高級住宅街で、ほとんどの家では、建物や土地をきちんと管理しており、住宅地としての街並みは美しく保たれています。

ただ、ある公的機関の関係者は「最初に家を建てた人たちが高齢世代となり、ちょうど“代替わり”の時期に差し掛かっている」と指摘します。たとえば、1960(昭和35)年に30歳で家を建てていたとしたら、55年後の現在では85歳です。今回、被害に遭ったとみられる住人も81歳でした。

最近では建て替え時に二世帯住宅としたり、自宅の上階をアパートとしたりするケースがあるほか、高齢者では管理がしづらい一戸建てを手放して、マンションなどへ引っ越す人もいます。不動産事業者などに渡った土地は、建て替えられて新築一戸建てとして売り出されるケースも多いのですが、アパートやコインパーキングに変わる例も少なくはありません。

そして、今回のように高齢化にともなって管理ができていない家や、管理が滞りがちな家も周辺にはあります。住人が訪問介護を受けていたり、一時的な入院や介護施設へ行っていたりするケースも見かけます。

アピタに通う高齢者の買物場所がなくなる

p151101p00003日吉で住民の高齢化が進んでいる現実は、まもなく(2015年11月末)閉店する「アピタ日吉店」(箕輪町2丁目)でも感じさせられます。

平日の昼間、この店へ行くと、客の多くが高齢者だということに気付くはずです。正面入口近くの店内には休憩用のソファーが置かれ、エスカレーターは都心では考えられないほどゆっくりとした速度で動かすなど、高齢者にやさしい運営が行われています。日吉に住んでアピタで買物を始めたころに30代や40代だった人が、今では多くが70~80歳代になっているからです。

アピタ日吉店が閉店することの一番の問題点は、こうした高齢の人たちが“買物難民”になりかねず、さらにはこれまでのコミュニティーさえ、なくなってしまうことです

スーパーとはいえ、毎日通っていると顔見知りも増えます。ここに通って買物して顔見知りや店員の人と会話することが、生活の一部になっている人も数多くいます。

もう、以前のように遠くへ買物へ出かけるのも難しい年代ですし、慣れ親しんだ買物場所を変えるのもつらいことかもしれません。

買物場所でさえ、新しい環境になじむのはつらいのに、もし自宅だったらどうでしょうか。年をとって新しい家に引っ越すということがどれほど大変なことかがわかるはずです。

長年親しんだ家を手放し、新しい環境へ飛び込む、体が元気なころはまだ対応ができるのでしょうが、体に不調をきたしているときに、それを行うのは難しいことこのうえないでしょう。

大きな邸宅が手放され、跡地が売られていく

p151101p00002日吉は学生が多いために平均年齢が低い街であり、居住地としての人気が高いことから、今も人口の流入が続いています。マンションも一戸建ても30~40代に高い人気があり、売れ行きも好調です。新しい鉄道ができ、隣の綱島には先進的な街が作られ、アピタの跡地も同様に先端的な計画で再開発が進むのでしょう。さらに人口は増えるはずです。

一方で住民の高齢化は確実に進んでいます。このサイトの運営を始めて以来、日吉の街をくまなく歩くようになりましたが、住宅街にマンションやアパート、一戸建てが新設される際の多くは、古くからの邸宅が手放された跡地であったことに気づかされました

また、住人がいなくなってから放置され続け、朽ちてしまった家やアパートも見かけます。人が住んでいるのか住んでいないのかわからない建物も目立ちます。建物だけは取り壊されたものの、土地だけが放置されたままの場所は、日吉駅近くでさえ複数あります。駅近くの“一等地”でもそんな状態なのです。

こうした目に見えて「何とかしなければならない」建物や土地だけではありません。病気や足腰の衰えなどにより、家から外に出られない高齢者も少なくはないはずです。あるいは、一人暮らしで長期入院となり、家を不在にするケースもあるでしょう。注意力や判断力が落ちたことで、火の扱いや管理が難しくなるかもしれません。

今回の火事のようなことが二度と起きない、起こさせないためには、何をしなければならないのか。基本的な火災予防はもちろん大事ですが、根本的な解決のためには、日本の大きな社会問題の解決策を探さねばならないことに気づかされました。

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