時系列で見るアピタなど一連の跡地再開発、「箕輪町計画」はどのように決まったか

横浜日吉新聞
ひよしコラム

ひよしコラム2年前の2015年11月に「アピタ日吉店(旧サンテラス日吉)」の閉店から始まった箕輪町2丁目の大規模再開発計画。今月(2017年11月)14日に開かれた「横浜市都市計画審議会」で地区計画案が可決されたことによって、再開発を行ううえでの法的な手続きは終えたことになります。

東京ドーム1つ分が余裕で建てられるほどの規模で行われる「日吉箕輪町計画(港北箕輪町二丁目地区 地区計画)」は、いつ浮上して、どのように決まっていったのでしょうか。これまでの動きを時系列にまとめてみました。

※各時点での動きを詳しく知りたい場合は、 [参考記事] や外部リンク先をご覧ください

■ 2015(平成27)年の動き

4月10日:
ユニーグループ・ホールディングス(当時)が4月10日発表の「2015年2月期 決算参考資料」の閉鎖リストに日吉店を掲載。建通新聞電子版が「港北区 ユニー アピタ日吉店を今秋閉店へ」と報じる [建通新聞電子版の記事はこちら]

4月23日:
野村総合研究所(NRI野村総研)が「2015年3月期決算説明会」の資料で日吉データセンターと日吉寮を32億円で売却(売却先は非公開)したことを明かす [同資料はこちら<PDF>]

5月16日:
神奈川新聞が「パナ跡地近隣も再開発 横浜・港北、エコ技術を共有」との記事を掲載。野村不動産がアピタ日吉店跡地の土地を取得し、近隣の綱島SST(Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン=綱島東4)とともに一連の再開発として行いたい、との意向が報じられる [神奈川新聞の記事はこちら]

8月下旬:
アピタ日吉店が「閉店セール」のチラシを通じ11月下旬の閉店を公式に発表 [参考記事]

10月:
NRI野村総研の社員寮敷地で、野村不動産が至近に建設した大型マンション「プラウド日吉」のモデルルームを建設 [参考記事]

11月19日
横浜市と野村不動産、アピタなど一連の敷地内で「日吉台小学校第二方面校(仮称)」の新設や「都市型コンパクトタウン」の建設を公式に発表。同時に神奈川新聞と日本経済新聞が「1000戸以上のマンション」を建設するとの可能性を報じる [参考記事]

横浜日吉新聞の取材に対し、横浜市の開発関係者は「武蔵小杉のような超高層マンションが箕輪町に建てられることはないだろう」「(アピタの正面に建つ14階建ての)日吉ロイヤルマンションのような20階建て以下の建物が基準になる」との見方を示す [参考記事]

11月29日
「アピタ日吉店」が閉店 [参考記事]

12月28日:
野村総合研究所(NRI野村総研)のデータセンター閉所式(IT Proの記事による)を開催 [参考記事]

■ 2016(平成28)年の動き

1月29日~3月30日:
横浜市が新小学校「日吉台小学校第二方面校(仮称)」の建設について設計事業者を公募し、4社のなかから奥野設計を選ぶ [参考記事]

2月15日:
損保ジャパン日本興亜が「日吉センター」(日吉計上センター)を閉鎖 [参考記事]

3月28日
「綱島SST」に関する記者会見の場で、野村不動産の宮嶋誠一社長が箕輪町計画についても触れ、商業施設や保育施設、サービス付き高齢者住宅などを含めた計画であることを発表。横浜市の林文子市長も、「(綱島SSTと)隣接する日吉エリアにおよぶ全長2キロメートルにわたる広域的なまちづくりも一体的に推進する」と述べる [参考記事]

3月31日:
旧「アピタ日吉店」内に残っていた専門店が全店撤退し完全閉館 [参考記事]

5月26日
横浜市の審議会、都市美対策審議会第30回「景観審査部会」における非公開議事「魅力ある都市景観の形成について」のなかで、箕輪町計画が初めて取り上げられる(議事録は8月8日公開)[第30回「景観審査部会」の詳細はこちら]

6月~:
旧「アピタ日吉店」をはじめ、野村総合研究所(NRI野村総研)のデータセンターと社員寮(マンションモデルルーム部分を除く)、損保ジャパン日本興亜の研修施設「日吉センター」など一連の敷地で解体作業に着手 [参考記事]

8月8日:
都市美対策審議会の第31回「景観審査部会」が開かれ、新小学校のグラウンドと校舎の位置を入れ替えた計画案が示される。また、前回(第30回「景観審査部会」)における非公開議事部分も含めた議事録を公開 [参考記事]

8月19日:
日吉と綱島の綱島街道沿いのエリアで、まちづくりや土地利用の方針を定めた「日吉綱島東部地区まちづくりビジョン」の当初案を市が発表 [参考記事]

8月22日
野村不動産が住民向けに初の説明会マンションは最大20階建ての1320戸で、日吉寄りに小型スーパーを設けることを住民に向けて公式に明かす [参考記事]

9月ごろ:
旧「アピタ日吉店」の建物解体をほぼ終える [参考記事]

10月14日
野村不動産が住民向けに2回目の説明会、第1回と同様に建物の高さが高すぎることや、周辺の道路環境未整備のまま開発されることを疑問視する声が上がる [参考記事]

10月19日・20日:
横浜市教育委員会が新小学校「日吉台小学校第二方面校(仮称)」に関する保護者向け説明会を日吉台小学校と綱島東小学校で開く [参考記事]

11月7日:
新小学校「日吉台小学校第二方面校(仮称)」について、通学区域や学校名などを地域住民らで検討する「開設準備部会」(部会長・小島清日吉連合町内会会長)が発足、2017年5月まで4回にわたって議論 [参考記事]

12月12日:
新小学校「日吉台小学校第二方面校(仮称)」の校区案について、「開設準備部会」が大枠で了承 [参考記事]

12月26日:
市の「都市美対策審議会」内の景観審査部会(第35回)が開かれ、建物から受ける圧迫感を緩和するため「さらにデザインを工夫すべき」と求める [参考記事]

■ 2017(平成29)年の動き

2月19日・25日:
野村不動産が模型などを展示して計画の説明を行う住民向けの「オープンハウス」を「プラウド日吉」の旧モデルルームで開催 [参考記事]

3月6日:
新小学校「日吉台小学校第二方面校(仮称)」の「開設準備部会」が第3回会合を開き、委員の投票で校名を「箕輪小学校」に決める [参考記事]

3月17日
横浜市としては初の住民説明会を日吉南小学校で開く、高さ60メートルまでの建物を認める計画となっていることに対し住民から疑問の声 [参考記事]

4月25日
横浜市が都市計画を決定する前段階となる「公聴会」を日吉南小学校で開き、45名の公述希望者のなかから、抽選で10名の公述人を選出。このうち9名が意見を述べる [参考記事]

5月11日:
「都市美対策審議会」内の景観審査部会が建物のデザイン面で一定の評価、「課題は残るが、良い方向には向かっている」などと理解する声 [参考記事]

5月15日:
新小学校「日吉台小学校第二方面校(仮称)」の「開設準備部会」が最後となる第4回会合を開き、通学区域や「箕輪小学校」の校名案、通学路の安全対策要望などを意見書としてまとめる [参考記事]

6月23日:
「公聴会」での意見表明者に対し、横浜市が文章での見解を公開。「高層化は土地の合理的かつ健全な高度利用」と回答 [参考記事]

7月5日:
横浜市から納得できる説明がない」として、箕輪町2丁目と周辺の住民らでつくる「住みよい綱島・箕輪・日吉のまちを考える会」が宮前公会堂で公開住民集会 [参考記事]

8月4日~18日:
横浜市が都市計画法に基づく「縦覧(じゅうらん)」の手続きを開始、市が示した都市計画案に対し257名が計2435通の意見書を提出。このうち反対が252名・2429通 [参考記事]

9月9日:
「住みよい綱島・箕輪・日吉のまちを考える会」が港北公会堂で第2回の公開住民集会、高さ20メートルを超えるマンション建設を止めた元東京都国立市長の上原公子さんを招く [参考記事]

11月14日
横浜市都市計画審議会」が開かれ、「港北箕輪町二丁目地区 地区計画」(箕輪町計画)を全会一致で可決 [参考記事]

(2017年11月19日現在)

以上の経緯から見えてくるのは、再開発の計画案が浮上した時点で、地域の住民が関与したり、住民が変更を求めたりする余地はほぼない(なかった)ということです。住民が関与できたのは、新小学校の校名や通学区域の決定、通学路の安全対策要望といった点のみでした。

2015年11月29日で閉店した「アピタ日吉店(旧「サンテラス日吉」)」

一方で横浜市と事業者である野村不動産は、何らかの法に反するような行為を行った形跡はまったく見えてきませんし、計画案が固まった時期には情報を公開するとともに、住民への説明も複数回にわたって行い、理解を求めようとしています。

現在のシステムでは、市(市長)と最高意思決定機関である市議会(市議会は予算案を通じて関与)、そして市会議員も参加する都市計画審議会が認めたなら、地域の住民が関心を持とうと持つまいと、反対があろうとなかろうと、どんな都市計画であっても決定が可能だということです。

そうした観点も持ちながら、日吉箕輪町計画の決定にいたる動きを振り返っていただけましたら幸いです。


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