“世界を旅する”季節のハンバーガーも登場――日吉駅西口から徒歩1分、駅から90数メートルの距離にあるサンロード沿いに昨年(2016年)9月23日にオープンし、大きな話題を集めたハンバーガー店「メイドインハンズ(Made in hands)」(日吉2)。
同店の最大の特徴はバンズ(パン)、ソース、ベーコンまで手作りで仕上げる本格的なハンバーガー。開店早々に注目を浴びたことで、こだわり抜いて仕入れたという「肉」の品切れにたびたび見舞われたといいます。
一方で、“世界を旅する”心地も体感できるかのような「季節のハンバーガー」などの新メニューや、一品メニュー、ドリンク類も豊富にそろえてきたことで、日吉周辺の学生やビジネスパーソンに加え、ファミリー層にも浸透しつつあります。
「この地域に見られない“究極のハンバーガーを楽しみ、味わってもらいたい”」という想いや、日々メニューと向き合うその姿勢はSNSを通じても広く伝わり、首都圏各地からの来店客にも支持され、知名度は日増しに高くなっている様子です。
「いえいえ、それでもまだ知らない方がたくさんいらっしゃって」と、リピーターに支えられて店は繁盛してきているものの、「初めての方も、まだ多いですね。『場所が分かりにくい』という声も目立ちます。知名度もまだまだです」と、代表の阿部和彦さんはにこやかな笑顔で語ります。
1周年を迎えた今、こだわりが詰まった“究極のハンバーガー”に加え、外資コンサル出身という経歴も注目を浴びた阿部さんに、ハンバーガーづくりや、店を運営するうえでの想いについて聞きました。
日吉駅から1分と超駅近、それでも「隠れ家的」立地で“PRはこれから”
同店はサンロードに古くから建つビルの2階で営業しており、まさに“隠れ家”的な場所。それでも、小振りの看板のみでPRしているのが同店らしさ。日吉に土地勘があっても、気を付けて歩いていなければ店に気付かないかもしれません。
そんな環境であっても、探し出して訪れる来店客は確実に増えているようで、「調理場があまり大きくはなく、手作りでの提供にこだわっていることもあり、混雑時は10分以上、ランチタイムのピーク時などは25分程度もお客様にお待たせしてしまうこともあります。それでも今までお客様から督促されたことがなく、一様に“美味しかった。ごちそうさま”と言って、店を後にしてくださるんです」といい、「開店以来、素晴らしいお客様に恵まれていることを痛感しています」と感謝の言葉を口にします。
かつて勤務していた世界に事業を展開するコンサルティング会社・アクセンチュア(本社:東京都港区)時代の営業マインドも自身を後押ししているとのことで、近隣の企業・店舗や語学スクールなどにも営業に出向いているとのこと。
「日吉の駅前で働いていらっしゃる方々は、特に勤務している通り以外の場所に行かない方も多いようで、一度足を運んでください、とお伝えして回っています。なかには、“毎日この前の道を通っていたのに”と驚かれる方もいらっしゃるんです」と、より地域に根差したお店としての認知度を上げていくための努力は欠かさないといいます。

昨年秋登場の「ソイチーズ」は、元々は肉みそをまかないバーガーに乗せてみたところ、評判が良かったので商品化したとのこと。肉みそ・チーズ・長ネギが意外なほどに良く合う和風バーガーとしてこちらも評判に(同店提供)
こうして獲得した顧客層のうち、リピーターは約半数の5割程度。東横線でも特に神奈川エリアでは、「ここまで手作りにこだわった本格的なバーガー店はないのではないか」と感じているとのこと。
日吉駅前でチラシなども時折配布しているとのことで、「チラシをきっかけにお店に初めていらっしゃったという中高年の皆さんが“美味しかった。こういったハンバーガーは初めて食べた”と笑顔で感想を述べてくださったのも、本当にうれしく、やりがいを感じる時間でした」と、まだまだ“知られていない”お店の魅力を広め、さらに広く多くの人々に伝えていきたいとの想いを強くしていると話します。
多彩なメニューやドリンクの新商品、季節のバーガーで“世界旅行”も
爆発的な人気を得た「手作りバーガー」メニューのほか、オープン約1カ月後には、一品などサイドメニューの提供を開始。さらに翌11月には、牛、豚そして鶏肉と、「お肉好き」の夢を実現したというハンバーガー「カーニバル (carnival)」(1600円、価格はいずれも税込)、肉みそやチーズ、長ネギを使用した和風バーガー「ソイチーズ(soy cheese!)」(1300円)の2種類のハンバーガーをメニューに追加します。
今年(2017年)の春からは、同店の「ワールドシリーズ」と銘打ち、“世界中の色々な料理や食文化をハンバーガーで表現”したものとして、新たに季節メニューとして提供するアイデアを実現。
第1弾の「ビスマルク(Bismarck)」(販売終了)はドイツ、第2弾の6月下旬からの夏メニューは、暑さ感じるインドネシアのバリ島をモチーフにした「ジンバラン(Jimbaran)」(同)。
そして第3弾となる9月中旬からは、“日本で言うと軽井沢のような場所”(阿部さん)というフランスの山岳リゾート地名から「シャモニー(Chamonix)」(販売中、1300円)と、世界各国をハンバーガーを食することで旅しているかのようなイメージにてメニューをチョイスしてもらえればとのこと。
A4サイズ両面のラミネートされたそのメニューにじっくり書かれた解説には、それぞれのハンバーガーの誕生秘話や使われている食材、その国・地域の「トリビア」についても記述があり、読み手を楽しませています。
今年夏(7月)には、「常連の方が桃を差し入れしてくれた」ことをきっかけに、桃バーガー「プリンセス(Princess)」を急ぎ商品化。桃の入荷が終わった8月20日頃に終了したとのこと。
「こういった季節の食材を活かしたメニューも随時考案していきたいと考えてます。手作り、また全てオリジナルなので、なかなか大量に作ることはできないのですが、それだけに、その季節ならではの味を、じっくりお楽しみいただけたならと思っています」と、メニュー開発に意欲を注ぐ阿部さんならではの、その季節ならではの旬の味を、これからも楽しむことができそうです。
夜の来客用「ミニ新聞」も好評、慶應学生とのコラボ企画にも挑戦
世代を超え、「知的な客層」にも受け入れられているメイドインハンズ。公式サイトやツイッターなど、SNSでの情報発信のほか、今年3月からは夜の部の来客用にとミニ新聞「ザ・ハンズ・タイムス(The Hands Times)」(A5版・8ページ)を不定期で発行しています。
「こだわりのメニュー、ディナータイムのお客様に向けたメニューやドリンクの紹介として仕上げています」と阿部さん。第4号ではディナーメニューにぴったりと合う「まるごと1冊、ビール特集号」として店頭でも配布。新たに仕入れたビールや、美味しさを感じられるポイントなどを余すところなく綴っています。
また、慶應義塾大学の大学院在学生が立ち上げたITベンチャー企業・株式会社GeNEE(ジーン・東京都豊島区)が行う学生向けのランチ・デリバリーサービス「DeliEats(デリーツ)」にも6月から参画。

慶應義塾大学大学院在学生によって立ち上げられたIT企業・株式会社GeNEE(ジーン)が提供する学生向けデリバリーサービス「DeliEats(デリーツ)」にも参加している
このサービスは、日吉駅近くの複数店舗と契約し、オーダーがあった分のみ、大学内の学生に届けるというもので、「なかなか日吉駅の商店街側に足を運ぶことができない学生の皆さんとのつながりを学生さんが自ら作っていただき、心から感謝したい気持ちでいっぱいです」と、新たな起業を試みた学生への謝意を語ります。
阿部さん自身が“起業家”であることから、新しいことにチャレンジする大学生らとのやりとりに自身も勇気を感じ、「精一杯応援していきたい」と、若き学生ベンチャー企業へのエールを送っています。
元々大手外資コンサルティング会社でキャリアを積んできた阿部さんだけに、これからの夢も一つひとつ着実に描いているとのことで、「まずは、“ハンバーガーといえば、メイドインハンズへ”ということを、日吉周辺の皆様に知っていただき、ファーストフード店とは一味も二味も違う、当店ならではの本格的な“グルメバーガー”を食していただきたけたなら」と、多くの来店を呼び掛けています。
そして、「東横線近郊エリアでの出店も新たに検討したい」と語る阿部さん。一つひとつ、手間暇かけて作り上げた“究極のハンバーガー”の先に見えるものは――。これから日吉周辺のグルメファンにどんな知見と味わいを提供してくれるのでしょうか。
【関連記事】
・外資コンサル出身の創業者がこだわる究極のバーガー店、日吉駅近にオープン(2016年10月7日)
【参考リンク】
・メイドインハンズ~made-in-handsの営業案内(営業時間・アクセス等)
・DeliEats(デリーツ)のサイト(株式会社GeNEE)
・株式会社GeNEEについての紹介(としま企業支援サイト~東京都豊島区)