綱島東口駅前で貴重な灯をともす「餃子の王将」、チェーン店らしからぬ独自の魅力 | 横浜日吉新聞

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日吉・綱島・高田のグルメレポート【グルメレポート第20回:2017年4月24日「綱島駅前編6」】関西出身者にとって「王将」といえば“ソウルフード”のような存在。近年は首都圏にも出店攻勢をかけて徐々に増えつつありますが、中華チェーンとしては、関東を地盤に約400店を展開する「日高屋」の壁を崩せず、王将は少数派です。そんな環境下でも綱島東口駅前でともし続ける王将の灯。地元にしっかり根付いていることを感じさせる店となっています。

こちらは「大阪王将」、京都「王将」ほど店舗数は多くないものの、首都圏にも展開中

こちらは「大阪王将」のサイト、京都発「餃子の王将」ほど店舗数は多くないものの、首都圏にも展開中

「王将」には京都発祥の「京都王将」と大阪の「大阪王将」があり、資本関係はないものの、どちらも餃子がメインの関西系中華チェーン。関西では両店が至近に入り乱れて分かりづらいためか、現在は大阪発祥の王将は店舗名に「大阪」を入れ、「大阪王将」となり、京都側は「餃子の王将」という呼び名になっています。

京都発祥である「餃子の王将」は、株式上場も行い、北海道から九州まで700店超を出店して全国企業となった感もありますが、このうち半数近くは関西地区の店舗神奈川県内には30店しかなく、県内で64店を展開する日高屋に水をあけられています。

京都「王将」は今後首都圏を中心に300店を出店する計画だといい、候補地のなかには日吉や大倉山、菊名も入っている

京都「王将」は今後首都圏を中心に300店を出店する計画だといい、候補地のなかには日吉や大倉山、菊名も入っている

港北区内だけを見ても、日吉・綱島西口・大倉山・菊名・新横浜と主要駅前をおさえている日高屋に対し、王将はわずかに綱島東口だけ。しかも直営店ではなく、県内では数少ないフランチャイズ店となっており、地元に根差しながら踏ん張って営業を続けていることが分かります。

そんな貴重な「餃子の王将・綱島駅前店」は、東口バスターミナルの目の前、バスを利用する人なら必ず一度は目にする場所に店を構えています。

店内はカウンターを含め30席ほどと広くはないのですが、テーブル席が多く、比較的ゆったりした雰囲気。店員の動きも早く無駄がありません。持ち帰りの注文にも素早く対応しています。

東口バスターミナルの目の前にある「餃子の王将・綱島駅前店」

東口バスターミナルの目の前にある「餃子の王将・綱島駅前店」

同チェーンのうりである餃子1皿(6個)は税別240円(税込259円)。関西エリアの店と比べて、関東エリアでは価格が少し高くなっています。

「関西より餃子が20円高いやないか!炒飯や麻婆豆腐も50円上がっとるぞ、東京価格か?」などと関西出身者なら突っ込みたくなるかもしれませんが、王将の味に飢えた人なら「近所にあるんやから贅沢は言えん、しゃあないな」となるのではないでしょうか。特に綱島店は「当たりの店」だからです。

大阪・兵庫・京都の店舗数が多い(王将の2015年度アニュアルレポートより)

大阪・兵庫・京都の店舗数が多い(王将の2015年度アニュアルレポートより)

関西の都心部では王将が大量に出店しているエリアも多く、かつてそこでは「当たりの王将」と「外れの王将」がありました。

店主のやる気がある店は、チェーン店以上の味や質を追求するのですが、やる気のない店は店内が薄汚れていたり、接客がひどかったり、餃子の焼き方も下手だったりと、入ってみて「しまった!」となる所も存在しました。なかには「変な王将」もあって、「皿洗いを30分すればお代はいただきません」などと奇妙な告知文が貼られていた店も。

今では「外れの王将」や「変な王将」はほとんどなくなりましたが、チェーン店ながら店主の裁量に任している王将の伝統は今も健在。統一メニューに加え、店舗ごとに独自メニューがあるのもそのためです。

綱島店独自の「綱島ランチ」は税込760円

綱島店独自の「綱島ランチ」は税込760円

綱島店では「綱島ランチ」(税込760円、平日15時まで)や日替わりランチ(同680円、平日15時まで)に加え、左隣にある中華店「山東厨房」の“500円ランチ”に対抗したとみられる「餃子ランチ」(税込500円、平日17時まで)などのオリジナルメニューも豊富です。

綱島ランチを注文すると、「ツナシマ、イーガー(一個)」と厨房へ向かって大きな声。同チェーン独特の“王将用語”に綱島という地名が入ったことにどこか嬉しい気分になります。同ランチは、炒飯とミニ醤油ラーメン、唐揚げ2個とサラダのセット。餃子は付いていないので「イーガーコーテル!(餃子一個)」。

綱島店の炒飯

綱島店の炒飯

すべての料理をカウンターの目の前で作るのも王将の特徴で、鍋を握る担当者の腕が悪いと“外れの王将”になってしまうのですが、綱島店では炒飯にしっかり火が通ってパラパラ感も上々。餃子には羽根も少し付いていて、焦げ目が絶妙です。若干薄目ながらしっかり味が出ている醤油ラーメン唐揚げに付いてくる“焼き塩”にも満足。

綱島店の餃子

綱島店の餃子

綱島ランチ(税込760円)と餃子1皿(税込259円)で結局は1000円を超えてしまうのですが、それでもまったく損をした気にはなりません。「綱島店は当たりの店だ」と、20年以上にわたって王将へ通い続けた身としては、いつも同じことを思うのでした。

なお、同店は火曜日が定休日となっていて、夜の営業時間も22時まで。365日無休・深夜営業が当たり前というチェーン店のなかでは、“働き方改革”が進んでいるといえそうです。

  • このコーナーは記者が個人的に訪れているなかで、「ここは!」というお店についての情報を紹介するとともに、個人としての所感を述べていく連載。バックナンバーはこちら。なお、日吉・綱島・高田以外の港北区内エリアの情報は「新横浜新聞~しんよこ新聞」をご覧ください

)昨年(2016年)12月から20回にわたって毎週月曜日に掲載してきた「グルメレポート」ですが、一旦定期的な掲載は終了し、今後は不定期連載となります。(2017年4月24日)

【参考リンク】

餃子の王将「綱島駅前店」の紹介ページ

餃子の王将「綱島駅前店」の食べログページ


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