綱島小学校の正門前に、食事とデザートを楽しめる新しい「隠れ家的」な定食店(カフェ・居酒屋)があるのをご存知でしょうか。今年(2017年)1月15日にオープンしたばかりの「食堂たんと」(綱島西2)が、今アットホームな雰囲気の食事処として静かな人気を集めています。【2019年12月14日追記:オープン3周年を前に、メニューや料金体系なども変更しているとのこと、最新の情報は直接同店にお問い合わせくださいとのことです(編集部)】
ランチタイムは定食とカフェ、夜は日本酒とさまざまな料理を楽しめる「和モダン」なデザインの店内には、静かで落ち着きを感じられる空間が広がっています。
料理人としてキャリアを積み、店内外のレイアウトもすべて“手作り”で行ったという同店の店主・堀田(ほった)健一さんは、綱島とバスでつながるお隣・鶴見区の生まれ・育ち。
「学生の頃からの夢」だったという独立開業を実現させた健一さんがその道を歩むきっかけとなったのは、高校時代にアルバイトをした飲食店(和食店)での経験だったといいます。
“料理”職人ブームから、老舗和食店での修業の道へ
「勉強そっちのけで和食のお店での仕事にはまってしまい、先生にも怒られたくらい。その頃に、“料理って面白い”と、飲食店の経営をいつかはやってみたい、と思うようになったんです」と、今日につながる夢を描くきっかけとなった青春時代について、優しい笑顔で振り返ります。
ちょうど就職を意識した頃は、テレビでも「料理の鉄人」(フジテレビ系列で放映)や「味いちもんめ」(小学館刊行のグルメ漫画)といった料理や料理人にフォーカスするメディアの一大ブームが到来。和食料理人として一世を風靡(ふうび)した道場六三郎さんにも憧れていたという堀田さんは、迷わず東京の有名寺社の敷地内にある老舗和食店を修業先として選びます。
菓子“職人”だった父が洋菓子作りを担当、息子の独立を後押し
「そばにいて見ていて、きちんとした仕事ぶりが感じられるのは、(有名老舗店での)修業の経験があるからなのかもしれません」と語るのは、堀田さんの父・堀田耕造(こうぞう)さん(鶴見区在住)。元々相模原で菓子店を経営していた経験があり、やはり当時店を支えていた妻で健一さんの母・美奈子さんと一緒に、この食堂たんとの運営を鶴見から通い、手伝っているといいます。
菓子職人として洋菓子、和菓子作りの約20年間ものキャリアを持つ耕造さんが、この食堂たんとでは、約20年間のブランクを経て、再び「パティシエ」(洋菓子の職人)として活躍。デザートやお茶タイムにも楽しめるケーキも、「退職してから趣味で行ってきたくらいだったのですが、この店のオープンにあわせ、菓子作りも復活しました」と、今の時代や店の雰囲気にぴったり合うような洋菓子作りに腕をふるいます。
老舗和食店での修業以降も、和食、洋食そしてエスニックと、様々なジャンルの料理人として調理の第一線で活躍してきた健一さんが、いよいよ独立を決意するきっかけとなったのが、独立直前まで勤務した横浜・山下公園近くにあったという割烹小料理店(現在は閉店)での経験だったとのこと。
「その店では器にもこだわり、料理も手仕込み(てじこみ)で行っていて、コーヒーや日本酒にもこだわりがあった。ここで学んだ経験を、自分のお店で挑戦してみたい、という思いになったんです」と、独立に至る最後の道のりについて力強く語ります。
「全て手仕込み」の料理や、“綱島で厳選した仕入れ”も人気に
この食堂たんとでこだわっているのが「ソースやドレッシングまで、全て手仕込み」で作っているということ。ランチタイムも「週替わり」プレート(税込1000円)には、ぎっしり主食、おかず、小鉢が端正に並び、「和食メイン」の優しい味わいを楽しめます。
飲食店での勤務を通じ、職場だった東京と横浜の間に位置しているからと、綱島に10年ほど前から在住している健一さん。「OLとして別の仕事に就く妻が、メニュー表からホームページの作成まで、精一杯手伝いをしてくれているんです。お店の経営を全面的に応援し、バックアップしてくれています」と、まさに「家族ぐるみ」でこの食堂たんとを運営していると、少し照れながら語ります。
一児の父でもあるため、「近隣のパパ友・ママ友たちも応援してくれています」と、日頃から子育てを通じて知り合いも増えてきたという健一さん。地域に貢献したいという思いも増しているといい、メニューに加えているのが、近隣の綱島の店舗で購入したコーヒーやパン。
コーヒーは「ご近所さんの珈琲豆」としてメニュー表に表記。同じ綱島西2丁目に、1996年から店を構え21年目を迎えた「焙煎珈琲豆屋ぐらんあみ」の深煎りの“ブラジル”を使用。この「ビターでほんのり甘い」深みのある香りと味わいが、耕造さんが作る洋菓子とぴったり合うといいます。
パンは、まさに同じビルの“お隣”の場所に2012年から店を構え満4周年を迎えた「パン工房コネクト」からバケットを仕入れ、少しお腹を満たしたい夜(17時以降)の来店客用にと2切れで250円(税込)にて提供しています。
コネクトのパンも、「体に優しい無添加生地」「北海道産小麦100%使用」という特色があるといい、「全て手仕込みにこだわる料理のコンセプトともぴったり合うんです」と、“身体に良い”といわれる自然の食材・調理法で料理を提供する工夫を行っているといいます。
母と妻の支援も後押し、長く“綱島で”に愛されるお店を目指す
店主・健一さんの母・美奈子さんも「息子の作る手料理で、すっかり健康になった気がします」と、健一さんが高校時代から長く独立を夢見てきた姿を応援してきたといい、「もっと早く独立できればというくらい、応援していました」と、今の店舗の開業を後押ししたといいます。
まさに「家族が奏でるハーモニー」でオープンした食堂たんと。店内の洋風のガーデニングの書籍や、和モダンを感じられる食器のアレンジも「妻が趣味でセレクトしてくれたんです」と、キラリ光る新しい未来に向かう綱島の街らしいセンスを感じさせられる空間に花を添えています。
ただの「定食店」ではなく、「ほっと一息休める喫茶店としての役割、そして夜は美味しい日本酒も楽しめるような居心地の良い、“小粋”な居酒屋としての役割など、新しい街の“食堂”のかたちを目指し、ぜひ、長く綱島の皆さんに愛されるお店になるよう頑張りたい」と語る健一さん。
そんな健一さんを、父・耕造さんは、「いつまで手伝えるかわかりませんが、お店がより地域の方に愛され、賑わえば、いつかは人を雇い、私たち夫婦の手を離れる日がくることでしょう。それまでは、お菓子を息子とともに作っていきたい。得意な季節の和菓子作りにも近いうちにチャレンジしたいと思っていますので、ぜひお店にお立ち寄りください」と、お菓子作りで店を支える決意、そして自身の夢も胸に抱き、そっとそれをつぶやきます。
父と母、そして妻からの支援を背に、新しい「食堂たんと」の未来を作りたいという店主・健一さんの日々の挑戦は、これからもここ綱島の街で続き、また日々進化していくことでしょう。
<営業案内>
営業時間:11時30分から22時(ラストオーダーは21時まで)※ランチは17時までOK
定休日:日曜日・その他不定休あり
※店舗・サービスの詳細は下記のリンクをご参照ください。(貸切も相談可とのこと)
【参考リンク】
・【NewOpen】綱島小学校前に「食堂たんと」がオープンしました!(綱島もるねっと)
・綱島駅から食堂たんとへのアクセス(Googleマップ)