日吉の流通評論家・渡辺さんに聞く、「これ以上、買物環境は便利にならない時代」

横浜日吉新聞
渡辺広明さん
渡辺広明さんは日吉本町在住。会社員と流通評論家を兼業し、現在は複数のメディアで連載記事を執筆するほか、NHKラジオ「すっぴん」のコメンテーター。テレビ出演も多い

渡辺広明さんは日吉本町在住。会社員と流通評論家を兼業し、現在は複数のメディアで連載記事を執筆するほか、NHKラジオ「すっぴん」のコメンテーター。テレビ出演も多い

アピタ日吉店や綱島駅ビル、下田町の「サミット日吉店」と日吉と綱島では立て続けに歴史あるスーパーが閉店しています。再開発での発展が期待される一方で、高齢者を中心に日常の買物への不安も広がります。日吉と綱島の買物事情について、日吉に住む流通評論家の渡辺広明さんに現状と今後を分析してもらいました。

渡辺さんは、日吉駅から日々都心へ通勤する会社員である一方、大手コンビニエンス・ストアチェーンで商品開発や店舗運営に携わった経験を生かし、流通評論家として活動。定期的にレギュラー出演するNHKラジオの番組をはじめ、テレビや講演、新聞・雑誌での連載など広範囲に活躍の場を広げています。

常に小売業を全国な視点で冷静に見ながら、現状と課題を指摘し続けてきた専門家は、自らの地元について「日吉はある意味、日本でもっとも買い物に便利な街」と分析。その理由は日吉や綱島周辺を広範囲でとらえることで見えてくるといいます。

トレッサ横浜は同じ港北区内であるため、日吉からも綱島からも近く、路線バスも出ている

トレッサ横浜は同じ港北区内であるため、日吉や綱島から近く、路線バスも出ている

「確かにアピタやサミット、綱島駅ビルの東急ストアは閉店してしまいましたが、アピタは旧店舗に近い綱島東4丁目で来年秋にも再オープンが予定されていますし、東急ストアもいずれ綱島駅至近で復活するでしょう。その間も日吉と綱島の中間的な地点には引き続きドン・キホーテが健在です。日吉駅へ行けば日吉東急アベニューがあります。東横線や目黒線に乗れば、武蔵小杉のショッピングエリアはもちろん、渋谷や新宿三丁目の百貨店へ行くことも容易です。車があれば、日吉や綱島から近いトレッサ横浜(港北区師岡町)をはじめ、ラゾーナ川崎(川崎駅西口)やIKEA(イケア)港北(港北インターチェンジ近く)、コストコ(Costco)川崎店(川崎区の臨港警察署近く)といった大型ショッピングセンター(SC)まで足を伸ばせます。地下鉄グリーンラインが直通するセンター北駅や南駅方面へ向かえば、こちらでも多数のSCが存在しています。私自身も時折、覚えきれなくなるほどの買物場所があります」。

そのうえで渡辺さんは、「全国で多くの街を取材をしてきましたが、周辺にここまで多彩な買物スポットが存在する街はありませんでした。流通評論家の視点で見ると、日吉は絶対に住むべき場所なんです」と熱く語ります。

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高齢化で食べる量が減れば、売上が落ち撤退

とはいえ、相次ぐスーパーの閉鎖によって、日吉や綱島で近所で日常の買物ができる場所が減っている現状があります。

2016年6月26日のサミット日吉店における閉店セール当日

2016年6月26日のサミット日吉店(下田町)における閉店セール当日

この点について渡辺さんは、「高齢の方を中心に買物がしづらくなっているのは事実です。加えて、日吉や高田は急な坂道が多いため、より苦労することになるのは地元住民として十分に理解できます。しかし、今より買物が便利になるということは、少子高齢化が進む日本で実現しづらいのも現実です。これまでが便利すぎたともいえるでしょう。子どもが減って高齢者世代が多くなれば自然と食べる量が減り、スーパーや商店の売り上げも減少します。残念ですが、利益が出なくなると、民間企業ですから撤退するしかありません」と説明します。

そんな少子高齢化の影響をもっとも受けるのが、乗用車を持たず自転車にも乗れず、遠くまで歩くのも難しい“交通弱者”です。日常の買物をどうすればいいかとの課題が出てきます。

7月8日のオープンjに向け日吉5丁目でも「まいばすけっと」建設が進んでいる

7月8日のオープンに向け日吉5丁目では「まいばすけっと」の建設工事が進んでいる

「地域の核となっていたスーパーの閉店に目が向きがちですが、一方で日吉と綱島ではイオン系の『まいばすけっと』に代表される“ミニスーパー”が次々とオープンしています。日吉はすでに8店、7月には9店にまで増えます。綱島でも4店を展開中です。スーパーと比べれば商品数は少ないのですが、食料品を一通り揃える店が、歩いて行ける範囲に必ずと言えるほどあります。加えて、食料品を扱う『ドラッグストア』は2つの街を合わせて10店以上あるため、“買物難民”ということにはならないはずです」との見方を示します。

「日常の買物の主役は、ミニスーパーやドラッグストアに加え、重い商品や足りない物はインターネットで『ネットスーパー』や通販サイトから注文する形が中心になるでしょう。それだけにネットを使えない高齢層の買物はつらい時代となってしまいます。私の実家でも、高齢の母親がネットを使えないため、遠くに住む私のきょうだいが代わりにネットスーパーへ発注しています」。

スーパーのないエリアは“魚屋さん”が欲しい

これまでのような“普通のスーパー”の行方について、渡辺さんは次のように分析します。

南日吉商店街にある「メグミマーケット」(左側)周辺は夜店などの祭りの日に地元住民が多く集まり活気にあふれる

南日吉商店街にある「メグミマーケット」(写真左)周辺は夜店などの祭りの日に地元住民が多く集まり活気にあふれる

「ミニスーパーもドラッグストアも、ネットスーパーも三者そろって苦手にしているのが肉と野菜と魚の“生鮮三品”。仕入れと販売のノウハウがまだ不足しています。肉と野菜は徐々に対応しつつありますが、鮮魚が最大のネックです。特に高齢化社会では肉より魚のニーズが高まると考えられます。スーパーのないエリアは“魚屋さん”が欲しいところです」。

日吉と綱島で注目するスーパーとして、「綱島から近い『ビッグヨーサン綱島樽町店』は、築地で朝仕入れた魚を午後から売るという従来のスーパーチェーン店では考えられないようなユニークさを持っていますし、日吉本町3丁目の『メグミマーケット日吉本町店』も三崎港の水産会社が運営していて魚が得意です。こうしたスーパーは買物していて楽しいですよね」と、渡辺さんは地元住民らしい感想をもらしました。

これからの時代、スーパーの浮沈は生鮮品の品揃えが握っており、なかでも鮮魚にかかっている、ということが言えそうです。

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<日吉新生活ガイド3>再開発が終わる2020年頃まで、少し不便が続く買物事情(2016年02月14日、日吉と綱島の買物スポット詳細)


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