JR東日本の「北加瀬」再開発、住宅は2LDK中心、商業施設は小規模店のモールか | 横浜日吉新聞

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計画地の北側から見た完成予想図(北加瀬社宅跡地開発計画「条例環境影響評価準備書」より)

計画地の北側(バス通り側)から見た完成予想図(北加瀬社宅跡地開発計画「条例環境影響評価準備書」より)

JR東日本グループが幸区北加瀬2丁目の社宅跡地で進めている再開発計画では、賃貸住宅は2LDK(約55㎡)を中心とした60戸とし、商業施設の建物は2棟設ける計画であることが分かりました。川崎市に提出された環境影響評価の準備書で明らかにしたものです。

「北加瀬社宅跡地開発計画」と題したこの計画は、JR東日本グループのジェイアール東日本都市開発が行うもので、「多世代が交流できるまちづくり」として、賃貸住宅や商業施設のほか、子育て支援施設や高齢者福祉施設(老人ホーム)の4種類の建物が建設される予定です。

計画地の土地利用図(北加瀬社宅跡地開発計画「条例環境影響評価準備書」より)

計画地の土地利用図(北加瀬社宅跡地開発計画「条例環境影響評価準備書」より)

計画されている建物はAからEまでの5棟で、うちAとBが商業施設、Cは共同住宅、Dが高齢者福祉施設、Eは子育て支援施設となっています。

以下、現段階で発表されている詳細です。

<商業施設「A棟」>

バス通りの市道「古市場矢上線」(「北加瀬2丁目」バス停至近)にもっとも近い側にあり、3階建て(高さ約12メートル)となる建物の延べ面積は1515平方メートル。計画図によると、8つのテナントと、2階に屋上テラスが設けられるとみられる。

<商業施設「B棟」>

加瀬山から見た5月時点での計画地の様子、左手奥には

加瀬山(写真手前がD棟建設予定地側)から見た5月時点での計画地の様子、左手奥には日吉3丁目のゴルフ練習場「梅里カントリークラブ」が見え、右手すぐの至近距離には同じく練習場「新川崎リンクス」がある

A棟の後方にあるA棟より小さい3階建て延べ面積1015平方メートルの建物で、計画図によると6つのテナントと2階に屋上テラスが設けられるとみられる。

なお、A棟とB棟を合わせても延べ面積は2500平方メートルほどしかなく、新川崎駅西口(鹿島田駅側)の商業施設「新川崎スクエア」と比べても7分の1程度の規模にとどまる。

同駅東口の「シンカモール」にある「京急ストア新川崎店」の延べ面積(約1880平方メートル)と単純比較すると、同スーパーよりは大きいものの、計画図を見る限りでは、テナントスペースが細かく分けられているため、現時点では大~中規模のスーパーが入ることは考えづらい

環境影響評価の準備書によると、テナントには「小規模な店舗など地域の交流の促進につながる業態を誘致」するとしており、小規模店のモール的な商業施設になる可能性がある。

<共同住宅「C棟」>

(北加瀬社宅跡地開発計画「条例環境影響評価準備書」より)

住戸タイプの面積・戸数と標準住戸タイプの平面図(北加瀬社宅跡地開発計画「条例環境影響評価準備書」より)

5階建て(高さ14.8~18.1メートル)の建物(延べ面積3852平方メートル)に60戸の賃貸住宅になるとみられる。このうち47戸を占めるのが2LDK(占有床面積55平方メートル)の物件。3LDK(占有床面積62平方メートル)も4戸のみ計画されている。

<高齢者福祉施設(老人ホーム)「D棟」>

5棟の建物のなかで延べ面積4711平方メートルは最大規模。4階建ての建物は「通所並びに入居型の高齢者福祉施設を整備する計画」(環境影響評価の準備書)としている。

<子育て支援施設「E棟」>

JR東日本は子育て支援と高齢者福祉の複合施設「COTONIOR(コトニア)」を首都圏で展開しており、そのノウハウが北加瀬で生かされる可能性も考えられる(JR東日本ホームページより)

JR東日本は子育て支援と高齢者福祉の複合施設「COTONIOR(コトニア)」を首都圏で展開しており、両施設が並んで建てられる北加瀬では、運営ノウハウなどが生かされる可能性も考えられる(JR東日本ホームページより)

バス通りの市道「古市場矢上線」からもっとも奥まった位置にあり、D棟と並んで建つ形となる2階建ての建物(延べ面積760平方メートル)。2階に屋上園庭が設けられており、建物の多くは保育所として利用されるとみられる。そうなると、90~100名規模の園児受け入れが可能か。

今年(2016年)3月に発表されたニュースリリースでは、この子育て支援施設は「JR東日本グループが推進している沿線活性化事業『HAPPY CHILD PROJECT』の一環」で設けられるという。

HAPPY CHILD PROJECT(ハッピーチャイルドプロジェクト)では、駅型保育園や駅型学童保育などを建設する取り組みのほか、JR東日本による子育て支援と高齢者福祉の複合施設「COTONIOR(コトニア)」の取り組みについても触れられており、今回の北加瀬再開発でも運営ノウハウが生かされる可能性が考えられる。

<その他>

計画地はバス通りに面し、川崎鶴見臨港バスの「北加瀬二丁目」停留所が目の前にある

計画地はバス通りに面し、川崎鶴見臨港バスの「北加瀬二丁目」停留所が目の前にある

・プレイロットと呼ばれる幼児向けの遊び場(830平方メートル)がE棟(子育て支援施設)周辺に設けられる予定。

・南東側にある加瀬山では春に桜が多く咲き、北側のアプローチ道(山を上る道路)は低木のヤマブキが植えられていることから、計画地の東側には低木のヤマブキや桜並木を配置し、加瀬山との連続性を創出する計画

車の駐車台数は73台、共同住宅分が30台で、残り43台分が商業施設や高齢者施設、子育て支援施設用

・・・

以上が環境影響評価の準備書をもとにした計画の全体像です。

なお、工事着工から約1年で建物などを完成させる計画となっており、現時点では2017年度下期の開業が予定されています。

計画地は日吉駅から直線距離で約1.5キロ、矢上橋を渡って少し歩いた場所で、新川崎駅(東口)から徒歩約10分の距離です。

【関連記事】

“川崎日吉”の北加瀬で「子育て世代」意識した再開発が進行中、JR東日本など計画(2016年5月27日)

【参考リンク】

北加瀬社宅跡地開発計画「条例環境影響評価準備書」(川崎市、2016年6月10日発表)

ジェイアール東日本都市開発「川崎市内において多世代が交流できるまちづくりを進めてまいりますPDF、2016年3月25日)

JR東日本の子育て支援事業「HAPPY CHILD PROJECT」について


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