県筆頭の重要道「綱島街道」、日吉・綱島での拡幅は10年単位の年月が必要なのか

横浜日吉新聞
ひよしコラム

ひよしコラム2019年4月の開業を予定する相鉄・東急直通の鉄道新線工事が進むなか、日吉と綱島では大きな再開発5つが進められており、これらすべてが「綱島街道」沿いに位置しています。しかし、日吉と綱島における綱島街道は大半が2車線のまま。拡幅する計画こそあるものの、実際に工事がほとんど進んでいません。周辺土地の再開発が加速するなかで、それを支えるインフラは受け止めることができるのでしょうか。

綱島街道は正式名を「東京丸子横浜線」といい、川崎市中原区の「丸子橋」から武蔵小杉駅周辺や日吉、綱島、大倉山駅付近を通り、京急子安駅近くの神奈川区浦島丘交差点までの13キロ弱を結ぶ道路です。

綱島街道は神奈川県道2号線というトップナンバーが付けられた重要道路

綱島街道は神奈川県道2号線、1号線が欠番となっているため事実上のトップナンバーが付けられた県の重要道路

神奈川県道としては「2号」という路線番号が付いており、1番が元から欠番となっているため、県道ではトップナンバー。同様に「中原街道」と呼ばれる東京都内の区間(品川区西五反田~大田区丸子橋間)も1号が欠番なため「都道2号」として“筆頭都道”です。

都県を代表するこの重要な道路は、2010年の調査において都内区間で1日(24時間)あたり5万弱~4万5000台ほど、中原区の丸子橋周辺で約3万5000台程度の通行量が記録されています。ただ、横浜方面へ向かうにつれて車の数が減っていき、元住吉駅の周辺まで来ると2万4000台ほど、日吉から先の港北区内では2万台から1万8000台程度まで規模が落ちます

そのためか、横浜市内である日吉駅を過ぎると綱島街道はそれまでの4車線から2車線に縮小。途端に狭く走りづらくなってしまいます。

関連スポンサー広告(グーグルから配信)

「住民を説得する本気度が足りない」

箕輪町地区の綱島街道はほんの一部だけ拡幅されている箇所もある

箕輪町地区の綱島街道は一部だけ拡幅されている箇所もある

綱島街道は今から70年前、戦後すぐの1946(昭和21)年8月には横浜市が都市計画決定を行っており、1973(昭和47)年までには「幅員(ふくいん=道路幅)20メートルの道路にする」との計画が定められています。

ところが、今も箕輪地区(日吉駅付近から北綱島交差点手前まで0.9キロ)と綱島地区(北綱島交差点の先から綱島交差点まで0.8キロ)の間は、おおむね12~12.5メートルの道路幅(歩道含む)で残されたまま。幅20メートル化の計画は実現していません。

両地区とも朝夕は自家用車から路線バスまでがぎっしり車道を埋め、この区間では車の平均速度が昼間でも20km以上になることはまれと言われるほどの窮屈さ。一方、幅が2メートルほどしかない歩道には小学生から中高生、通勤客、自転車までもがはみ出さんばかりにひしめきながら、駅や勤務先へ向かって歩かなければなりません。

最近では、両地区で行われている複数の再開発と相鉄直通線建設の工事車両も加わり、道路渋滞が激しくなるだけでなく、児童や生徒の通学時の危険性も高まるばかりです。

横浜市は2008年に港北区内の綱島街道を拡幅する具体的な計画を示していたが(市の資料より)

横浜市は2008年に港北区内の綱島街道を拡幅する具体的な計画を示しているが具体的な動きは見えない(市の資料より)

横浜市は2008年に港北区内の日吉駅~綱島~大倉山(港北区役所手前)間の拡幅に向けた事前評価を行い、122億円をかけて2009年度以降に事業化へ動き出すとのスケジュールを提示しているものの、2016年の現在までに目立った動きは見えません。

日吉に長年住むある住民は「横浜市は拡幅へのやる気は見せるものの、建設予定地の住民を説得するという本気度が足りないのではないか」といいます。「拡幅のために土地を売りたくない、と言われた時点ですぐに諦めてしまっているようだ」と指摘します。

また、綱島の有力者も「市は再開発でもいろいろな案は考えてくれるが、これまで実際に動かなかったケースが多い」と明かしました。

今年度は測量などに着手、少しは前進中

日吉駅の先(綱島寄り)から綱島駅東口近くまでの綱島街道は二車線のまま

日吉駅の先(綱島寄り)から綱島駅東口近くまでの綱島街道は二車線のまま

これまで横浜市は、綱島街道で何も手を付けてこなかったわけではなく、中原区との境界に近い日吉3丁目の「仲の谷交差点」から「日吉駅東口」周辺までの約0.5キロ超の区間で、2013年5月に4車線化(道路幅約25メートル)を完成させました。これにより、都内から日吉駅の周辺までの綱島街道(中原街道)は、ほぼ快適に走れるようになっています。

問題は日吉駅から先、綱島や大倉山の港北区役所手前あたりまでの区間です。特に箕輪・綱島地区では、アピタなどの跡地を使った「野村不動産日吉複合開発計画(仮称)」(箕輪町2)や「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン(綱島SST)」(綱島東4)といった国内でも注目を浴びる都市再生型の開発が相次いでいます。せっかくの再開発が行われても、周辺の道路が貧弱なまま残されたままなら車や人が滞留してしまい、周辺環境をより悪化させることになりかねません。

横浜市は綱島街道をどうするつもりなのか、公式発表などをもとに現在の状況をまとめたのが下記の事項です。

  • 今年(2016年)3月に市が発表した「都市計画道路の優先整備路線」の選定において、「2020年度頃までに事業着手する先行着手区間」として指定
  • 市広報でも拡幅化に向けた動きを紹介している

    市広報でも拡幅に向けた動きを紹介している(「広報よこはま港北区版」2016年4月号)

    日吉駅から大綱橋(綱島東)までの区間で、「道路を拡幅整備する事業の早期着手に向け、2016年度は測量や設計などを実施する」と表明(「広報よこはま港北区版」2016年4月号)

  • 新綱島駅の周辺(綱島東口)は駅周辺の再開発とともに綱島街道も拡幅(まもなく計画が正式決定)
  • 同様にアピタなどの跡地付近(野村不動産日吉複合開発計画)でも土地買収の問題がないため、再開発工事と同時に道路拡幅や改修を行う可能性が高い
  • 北綱島交差点周辺や綱島SSTの付近の拡幅は既に行われている

以上のように、今年度(2016=平成28年度)は測量や設計を行うことを公式に発表しているため、拡幅へ向けて少しは前進しているといって間違いありません。また、再開発地に面した場所(区間)は、再開発計画に道路拡幅の工事も含めることで、確実に実施する方針と見られます。

4車線化完成までに15年もかかる?

箕輪町2丁目の「日大高校入口交差点」付近の拡幅計画線、水色の線は「相鉄東急直通線」の計画線(横浜市行政地図情報提供システム「iマッピー」より)

箕輪町2丁目の「日大高校入口交差点」付近の拡幅計画線、水色の線は「相鉄東急直通線」の計画線(横浜市行政地図情報提供システム「iマッピー」より)

一方、再開発地以外の区間での課題は土地の入手です。本紙が綱島街道拡幅の都市計画図から類推したところ、箕輪地区で5から6棟、綱島地区で20程度の建物が拡幅工事の計画線内に存在しています。道路を広げるためには、計25ほどの建物を除去するか削るために土地を入手したうえで、工事を行う必要があります。

日吉と綱島の綱島街道沿いに関しては、市が2008年に「堅牢な建物が数多くありますが、これらの土地の都市計画にかかる部分は、駐車スペース等の比較的取得が容易な状態が保たれています」とし、「過去に先行取得路線として、事業化に先立ち地権者からの申し出により、一部用地を取得しています」と表明していますが、それでも今も計画線上に25程度の建物が残ったままです。

仲の谷交差点から日吉駅東口周辺までの550メートルを拡幅するのに約15年かけている(横浜市のページより)

仲の谷交差点から日吉駅東口周辺までの550メートルを拡幅するのに約15年かけている(横浜市のページより)

綱島街道の仲の谷交差点から日吉駅東口周辺までの500メートル超の間を拡幅する際には、市は1999年度から2015年5月まで約15年を費やしています。工事に手を付けられなかった期間があったとしてもあまりに長すぎる年月です。

もし、箕輪町と綱島地区の綱島街道拡幅への事前評価を行った2009年を初年度であると計算しても、16年後は2025年。今から9年も先です。新たな鉄道の完成はもちろん、日吉と綱島の再開発はほとんどが終わって数年が経った頃になるでしょう。

それまでの間、再開発で街が新しくなり、人口と交通量は増えているのに道路だけが古いままで、車も歩行者も我慢を強いられるということになるのでしょうか。

綱島SSTや新綱島駅の周辺などの再開発に市が関与したうえで認めてきた以上、新小学校(日吉台小学校第二方面校=仮称)の建設を決めただけでなく、道路という生活の基礎となるインフラ整備を本気かつ真剣に取り組まなければ、手遅れになりかねません。今年度、横浜市の動きが注目されます。

【関連記事】

日吉と綱島の風景が一変する5つの巨大再開発、2016年5月の最新動向をまとめました(2016年5月22日、すべて綱島街道沿いで実施)

綱島街道の拡幅へ向け前進、横浜市が測量や設計に着手、計画線上の土地入手が鍵に(2016年3月31日)

【参考リンク】

都市計画道路「東京丸子横浜線」整備事業(箕輪地区、綱島地区、樽町・太尾地区)の公共事業事前評価調書(PDF、2008年横浜市)

東京丸子横浜線(日吉地区)の拡幅工事について(2013年5月、横浜市)


関連スポンサー広告(グーグルから配信)