2009年9月に始まった2期にわたる改築工事を経て、昨年(2015年)4月に病院棟の大幅リニューアルを終えた川崎市立井田病院(川崎市中原区井田2)。今年から新たに進められているのが交通アクセスの改善です。約150台が収容できる2階建て立体駐車場の新設を行うほか、元住吉駅や武蔵小杉駅を結ぶ川崎市営バスの便数拡充も予定されています。
1949(昭和24)年に結核・伝染病院として開院した井田病院ですが、年々診療科目を増やしながら、現在では383床のベッド数を持つ川崎南部の中核病院として、がん診療の拠点病院にもなりました。
一方で川崎の市民病院ながら、公共交通機関の最寄は日吉駅(徒歩15分、東急バス「日23」系統で5分)であるように、道路1本を挟んで日吉1丁目と下田町2丁目に接しています。病院前にある“門前薬局”のすべてが横浜市側に設けられるほど、“ぎりぎり川崎市”という位置に建っています。
そのためか、川崎市立ではあるものの、日吉周辺の「横浜市民」にとっても、もっとも近い大型病院として昔から広く利用されています。反面、井田病院の利用者に占める川崎市民の比率は低いとも言われています。一つの要因と考えられるのが、元住吉や武蔵小杉といった中原区内の主要駅からアクセスがあまり良くないことです。
川崎市内の主要駅から井田病院へは、元住吉駅や武蔵小杉駅、川崎駅西口、武蔵新城駅(南武線=中原区)、宮前平駅(東急田園都市線=宮前区)などを結ぶ市営バス6路線が通じていますが、現状では各路線とも1時間あたり1~2本の便数しかない状況。昨年は武蔵小杉駅や武蔵中原駅に近いエリアの町内会から便数の拡充を求める陳情が川崎市議会に出され、全会一致で採択されたほどでした。
そのため、市営バスでは今年(2016年)4月1日から井田病院と武蔵小杉駅を結ぶ便を大幅に増便。平日には急行バスも新設する計画を掲げています。
また、平日の日中は井田病院が独自に武蔵小杉駅を結ぶ無料シャトルバスを40分に1本の割合で15往復を運行し、川崎市側からの利便性を向上させる試みも2006年12月から継続して行われています。(※追記:市営バスの増便にともない2016年3月末で廃止するとのことを発表しました)
ただ、現状では井田病院などと元住吉駅や武蔵小杉駅を結ぶ市営バスの「住吉線」は、2014年度実績で1日平均329人の利用客しかなく、これは全市営路線のなかでは最下位の数値となっています。また、井田病院の無料シャトルバスも1日当たり約210人の利用にとどまっているといいます。
バスが不便だから利用客が少ないことが考えられますし、便数が増えることで利用者の利便性が高まるのは事実です。また、今年10月には立体駐車場の完成も予定されているため、今後、川崎市側から井田病院へのアクセスが改善されることは間違いなさそうです。
【参考リンク】
・川崎市立井田病院の交通案内(シャトルバスの案内も)
・平成28年4月1日から小杉駅東口を中心に市バスを増便します(川崎市、2016年1月26日)