日吉で学生たちが作るオリジナル映画を楽しめる!――慶應義塾大学最大の公認演劇サークル「創像工房in front of.」は、年一回の恒例となった「FILM FESTIVAL2016」(フィルムフェスティバル)を、2016年2月5日(金)~2月7日(日)まで、慶應日吉キャンパスにて開催します。
この映画祭は、演劇だけでなく、「多岐にわたるエンターテイメントを創作する」同サークルの年1回の恒例となった冬から春にかけての映画祭で、今年で5回目を迎えます。
上映される6作品は、全て今回の映画祭に向けて作成された最新作となっており、約5分と短いものから、約50分までの長さの作品まで、オムニバス方式で上映されます。
前作は他大の映画祭で高評価!注目集まるかつりかさんの作品
最大のみどころは、最長時間約50分をかけて上映される「今日も、今日とて」。監督・脚本のかつりかさん(慶應義塾大学理工学部在学中)は、同サークルでも映像作品を仕上げる手腕は、一目置かれる存在として活躍。昨年(2015年)の第4回となる同映画祭に披露した「10年後の君へ」は、昨年3月に青山学院大学で開催された学生映画祭「AOYAMA FILMATE」(青山フィルメイト)にて、準グランプリを受賞。今回の作品にも注目が集まります。
かつさんにとって6作品目の映画作品となる「今日も、今日とて」は、この3月で大学を卒業するかつさんが、創像工房に在籍した4年間の集大成として制作したもので、本年(2016年)5月に開催される東京学生映画祭にもエントリーするなど、大学を越えた評価を目指して作成された作品となります。
今回の作品のテーマは「落語」。大学1年生の時、同大学の秋の文化祭「三田祭」で、同大学の公認団体である落語研究会の発表をみて、題材として採り上げたいと思ったのがきっかけ。「落語を見て、感動したんです。約20分ほど、たった一人で、高座に立っている。“一人芝居”をやっているようで、とにかく面白い。たった一人に照明が当たる具合が、映像として絵になると思いました。いつか、落語を題材に映画を撮りたいと思っていました。ようやく最終学年になり、落語研究会のメンバーに話をもちかけ、落語を題材とする映画の構想が具体化したんです」とかつさん。
「落語の導入部にあたる「枕」の作り方を教えてもらったり、練習会を見学させていただいたり。また、着物まで貸していただいて、落語研究会の皆さんには大変お世話になりました」と、納得のいく作品作りのために、落語研究会の全面協力が欠かせなかったとかつさんはいいます。
前作よりカメラワークや映像の美しさにこだわったという同作品には、4年間、「日常の風景」にこだわって作品を作ってきたかつさんの想いが込められています。
「いつもと同じに思える日常でも、ほんのちょっとしたことで変わってゆく可能性があることを描きました。ご覧になった方が元気になればと思い、今回は作品を作りました」と、編集や調整、カット割りなども含め多くを自身で制作した苦労に込めた思いも、かつさんは教えてくれました。
企画責任の鴇田哲実さんが描く「忘失」の世界
今回のフィルムフェスティバルの企画責任担当となる鴇田哲実(ときたてつみ)さんにもこの度インタビュー。「高校時代はサッカー部だったのですが、卒業を前にした3年生の文化祭で恒例となる演劇があり、主人公を演じたら、演劇が大変面白く感じました。また、映像については、それまで映画もよく見ていたし、親がテレビでよくドキュメンタリーの放送をよく見ていて、自分も、ドキュメンタリーのような映像をつくりたい、と思うようになり、大学入学後、創像工房の扉を叩いたんです」と、鴇田さんは入団のきっかけを語ります。
入団後から役者として活動することも多かった鴇田さん。2016年2月に開催される全国学生演劇祭への出品作品「DO THE 雷(ドゥ・ザ・ライ)」にも役者として出演予定で、フィルムフェスティバルで今回上映する「今日も、今日とて」にも主人公の同級生、先輩風を吹かせた”ちょっと調子に乗った役柄”(鴇田さん)で登場するとのこと。
今回のフィルムフェスティバルでは、4番目に上映される約15分間の作品「忘失」の監督・脚本を手掛けた鴇田さん。テーマは、その名の通り、「忘れて失う」こと。「どんなに辛いことがあったにしても、覚えているべき。全て覚えていないと、自分でなくなってしまう。今の時代、自我を喪失し、自ら命を絶ってしまうような人もいますが、もし、今の自分を忘れてしまったら、今の自分はいなくなってしまうんです。辛いことから逃げるのは悪いことではないのですが、忘れることは、とても悲しいこと、というメッセージを込めました」と、今回の作品への想いを語ります。
「自分の作品は、映像が綺麗、面白い、というのではなく、今まで思っていたことを表現しやすい映画という手段を使って、自分が思っていたこと、伝えたいことを表現しました」と鴇田さん。
「映画は全てが難しいです。演劇は、特に役者は感覚で出来る部分もありますが、映像はそうはいかない。他の映画サークルの作品作りにもこれまで携わるなどして、映画作りのノウハウを学び、それを今回の作品にも活かしています。演劇好きな皆さんにも、ぜひ映画の面白さを、演劇にプラスアルファして楽しんでもらいたいと考えています。これまで映画作品にあまり慣れ親しんでいない方も、ぜひお越しください」と鴇田さんは、多くの来場を呼び掛けています。
創像工房in front of.「FILM FESTIVAL(フィルムフェスティバル)2016」は、慶應義塾大日吉キャンパスの塾生会館地下アトリエ合Cにて開催。入場料は500円。「一度チケットを購入したら、期間中何度も作品をご覧いただけます。6作品通しで観ることが難しい方も、ぜひ回を分けてご来館ください」(鴇田さん)とのこと。
【参考リンク】
・創像工房in front of.「Film Festival 2016」Twitter
・創像工房in front of.「Film Festival 2016」チケット予約画面(Google Forms)
・創像工房in front of.公式ホームページ(問い合わせ・アクセス)
・AOYAMA FILMATE 2015~作品紹介(「10年後の君へ」かつりか についての記載)
・全国学生演劇祭ホームページ~スポットライト(創像工房 in front of.)
・「10年後の君へ」かつりか(YouTube)
・「yellow」かつりか(YouTube)
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